新鉱物発見ってすごいの?

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さてさて、前回に引き続き、国立極地研究所一般公開のレポート後編です。

南極・北極科学館では、前回ご紹介した生物たちの展示以外に、昭和40年代の雪上車の実物にも乗れ、ドーム状のシアターで最新のオーロラを眺めることもできます。そのほか、隕石や鉱物の展示も充実。顕微鏡でじっくり見ることもできます。

実は今回一般公開に参加した私の一番のお目当ては、この鉱物展示。ここには、今年3月に国際鉱物学連合に認定された新鉱物があったのです。初めて見ましたが、鮮やかな赤色で六角形をしたとても美しい鉱物でした。石好きな私の「実物が見たい!」という願いはこうして叶ったわけです。

しかし、新鉱物、その名も「マグネシオヘグボマイト -2N4S」と言われても??何がすごいのか、よくわかりません。その意味と奥深さを極地研究所・地圏研究グループの本吉洋一先生が教えてくれました。

川原や砂浜で少し変わった色や模様の石を拾ったことはありませんか。もしかしたらそれが新発見の石かもしれないと思ったことはありませんか。私は石を拾ってはいつもそう思っていました。

いったい何をどこまで調べればこれまでに発見されたことのない鉱物だといえるのでしょうか。

本吉先生によると、まず鉱物とは、①天然にあること(人工物でない)、②一定の化学組成をもつ、③結晶であること(一部例外あり)をすべて満たすものだそうです。鉱物は小さな粒の集まりで、その粒をさらに細かくみていくと、それは原子の集合です。つまり、鉱物とは、①自然にできたものなのに、②決まった種類の原子が、③きれいに並んでいる状態のことをいうのです。

「マグネシオヘグボマイト -2N4S」の発見者は新潟大学の志村俊昭先生で、南極で日本人が見つけた新鉱物としては二例目。マグネシウムが含まれていて、2N4Sは結晶の並び方を意味します。似た化学組成を持つものがたくさんある中で、今回の成果に至るまで一年以上の根気強い分析を繰り返し、ようやく認められた快挙だったわけです。

鉱物を分析すると、それがどんな環境ででき(生成条件)、どのような変化を経てきたのか(履歴)を知ることができます。つまり、新鉱物の発見はかつての環境やたどってきた歴史をひも解く重要な手がかりになるのです。

今回見つかった新鉱物は昭和基地から西に600キロメートル、セール・ロンダーネ山地(図中の☆)で発見されました。6~5億年前、南極はインド、スリランカ、アフリカ、マダガスカルなどの大陸や島とつながっていたと考えられています。ということは、今回と同じ鉱物がアフリカ大陸でも見つかるかもしれないのです!?

1ミリメートルに満たない鉱物が巨大な大陸の過去を知るヒントになり得るってすごくないですか!

南極には鉱物に限らず未知の発見がまだまだあるはず!という本吉先生は、これまでに9回南極に行き、うち2回は隊長として越冬隊を率いたご経験のある大ベテラン。南極では厚い氷を船で砕きながら進んでいきますが、厚過ぎて進めないと一度後退してから体当たり(ラミング)をして進むという驚きの事実を聞けるのも、本吉先生のご講演ならでは。年によっては数千回もラミングをしてようやく昭和基地にたどりつくこともあるそうですよ。

未来館では、本吉先生のご協力で、停泊中の南極観測船「しらせ」に乗船して船内する友の会のイベントを昨年と一昨年に実施しています。観測隊からは南極の調査でわかったことや今後の研究についてのお話を、海上自衛隊の乗組員には船内ツアーをしていただき観測船そのもののお話を直接聞くことができます。

リアルラボ@南極観測船「しらせ」~苦闘の初航海を糧に拓く南極観測の未来~

そしてなんと、今年も「しらせ」に乗船できるチャンスがあるかも?!秋ごろ、出港に向けて準備が整ったタイミングをねらって調整中です。開催が決まれば友の会のイベントページでお知らせしますので、請うご期待!

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