学生復興会議の企画に携わって

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みなさん、はじめまして。科学コミュニケーターの蓮沼一美です。私は今年の3月まで、展示フロアで対話や解説をしていました。現在は、企業のCSR活動と未来館の科学コミュニケーション活動の連携をすすめる仕事を担当しています。この連携の第一弾となった企画は株式会社リコーをパートナーとして、昨年から準備が進められてきました。未来館側で中心となったスタッフは石川泰彦。科学コミュニケーターとしては先輩にあたります。私は、震災後の今年4月からこのプロジェクトに合流し、具体的な連携プログラムの企画開発および実施をおこないました。

その具体的な連携プログラムというのは、リコーが主催し、未来館共催で8月6日に岩手県陸前高田市にて実施した「学生復興会議」です。このプログラムでは、津波で甚大な被害を受けた陸前高田市において、復興していく街で、大人に比べより長く生きていく地元の高校生が主役になれるよう、彼らの発想を存分に引き出し、さらにその発想を建築家との対話を通して具体化して市長への提案にまとめるという機会を提供しました。

主催のリコーはじめ、地元岩手の建築家の皆様、高田高校の先生方、市長、関わったすべての大人が、参加した高校生の「当事者としての主体性」に期待しました。それに対して、参加した高校生39人は朝から夕方まで7時間にも及ぶプログラムに、大人の期待を越える集中力とやる気でこたえてくれました。高校生が考えた「陸前高田の象徴として誇れ、また地元の人や訪れた人の間に交流が生まれるシンボル施設」のアイデアは、モノやハコとしての提案にとどまらず、そこに集う人の出会いと交流や、地元の新しい産業や観光など自身も関わるコトを模索するものも多く、陸前高田市の復興コンセプトとして根付いていくことが期待されます。

この学生復興会議において私の役割は、リコーのCSR担当の方たちと協力して企画を練り、プログラムを開発すること。そして、イベント当日に高校生グループに入って、彼らのアイデアを引き出したりまとめたりするファシリテーターとして議論を活性化することでした。展示フロアで活動していたときにもいくつかの企画に携わりましたが、それらはシリーズとしてコンセプトが決まっていたり、参考となる前例があるものがほとんどでした。しかし今回は、ほぼゼロから企画を生み出すという貴重な機会、かつ私にとっては非常に難しい挑戦となりました。そこで、過去に展示開発や多数のイベント開発を行ってきた先輩である石川とともに二人三脚でこの課題に挑戦することになりました。

この仕事を通して感じたことは、やはり新しいアイデアを生みだすことの大変さです。4月に私がプロジェクトに合流したとき、プロジェクトの方針として合意していたことは「偶然や予測が難しい現象とうまく付き合えるようになるプログラム」と「震災からの復興を支援すること」の2つでした。

ときには、当事者ではない私が被災地の方たちのことを考えることの限界も感じながら、それでも参加してくれる高校生にとって今しか体験できず、一生の価値があるプログラムとは何かを連日深夜まで考え抜きました。その過程では、リコーのCSR担当者との連携協力が必要不可欠でした。国の科学館と企業という異なった立場から、ひとつの「学生復興会議」を作り上げていく中で、何度も議論し、意見をぶつけ合ってきました。今回の「学生復興会議」は、企画開発のために携わったメンバーが、ひとりでも欠けていたら、完成度が変わっていたと感じています。

今回、「学生復興会議」という忘れることのできない仕事を経験して、新しい価値を生みだす過程を体験することができました。この経験を、今後の企画業務にも活かしていきたいです。

なお、当日の様子はファシリテーターとして参加した、科学コミュニケーターの豊田、野田、岡山が報告していきますので、ご期待ください!

 

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