2番じゃダメなんです! スパコン『京』

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流行語になるほど話題となった「スパコン」こと「スーパーコンピュータ」

いったい何がどうスーパーなのでしょうか。

百聞は一見にしかず。

スパコンのすごさを見に神戸の理化学研究所まで行ってきました。

まず驚いたのは、スーパー早く駅名になっていること。

ちなみに「京」はスパコンの名前で、「けい」と読みます。

8/29にスパコン「京」の夏休みイベントやるよー、と教えてくれたのは元未来館科学コミュニケーターの干場真弓さん。今は「京」の広報として、今回のイベントを見事に仕切っていました。

さて、ここからが本題。

スパコンは何がすごいのか?

①総設備費? ②電気代? ③性能?

どれが聞きたいですか?

①か②を選んだあなた、一番よく聞かれる質問だそうです。

見学の後、「下世話な質問ですが・・・」と切り出して聞いてくれた人がいました。

その時、誰もが聞き耳を立てていたのも事実です。

答えは後にして、③を選んだあなた、性能は何で比べると思いますか?

正直私は知りませんでした。

そう、「京」という名前が大きなヒントです。

「兆」の1万倍=計算がめちゃくちゃ速い=すごいんです!

いやいや、ただ計算が速いって言われても・・・

「京」は1秒間に8000兆回計算ができるんです!

おぉ、すごい!・・・のか?

いやいや、計算1回ってどんな計算かにもよるし・・・

1回の計算とは15ケタの小数同士の演算(+・×・-)のことです。

なるほど、それを8000兆回・・・確かにすごいかも。

ようやくわかったような気がしてきました。

 

実際に計算をするのはコンピュータの心臓部、CPUです。

といっても私はCPUそのものを見てきたわけではありません。

見学したのは柱のない広い空間に、冷蔵庫のような箱が800台以上整然と並んでいる部屋でした。箱1つに96個のCPUを搭載し、全部合わせるとCPUが8万個にもなるとか。

これこそが、今年の6月、完成を待たずして世界一を勝ち取った「京」の正体だったのです!

写真撮影禁止だったので、気になる方はこちらをどうぞ。

http://www.nsc.riken.jp/K/diary.html

この誇るべき「京」、驚くのはまだ早いです。

開発グループ システム開発チームリーダーの庄司文由さんによると、

「耐久年数はおそらく5-6年で、スペック的に世界一でいられるのはあと半年か一年でしょう」

というのです。

えぇ?!そんなに短いんですか??

総設備費1200億円、電気代が1億円/月かかってるのに?(←①と②の答え)

お、恐るべし、スパコン競争の世界。

でもこの競争はどこかで頭打ちになることはないのでしょうか?

1993年から昨年までの世界一のスパコン性能の推移をグラフで見ると、ほぼ一定の割合で右肩上がりになっています。

それならお金をつぎ込みさえすれば、まだまだ性能を上げられる?

というと、そういうわけでもないようです。

スパコンの性能は、CPU1つ1つの計算能力(CPUの性能)とその総数で決まります。しかし、CPUの性能はあまり上がっていないというのです。

つまり、右肩上がりのスパコン性能が何を意味しているのかというと、性能を上げるために単純にCPUの数を増やしているということなのです。CPUをたくさんつなぎ合わせれば合わせるほど、スパコンとしての性能が上がるのです。

しかし、これがいつまでも続くわけではありません。

CPUを増やそうとすると故障の増加、耐久性の低下、電力やスペース確保の問題などがついてまわります。

つまり、このような環境を整備する一方で、今後スパコンの性能を劇的に向上させるのは、CPUの技術的なブレイクスルーでしょう。

「京」は来年6月に完成、11月頃には運用開始の予定です。

「京」をもってすれば、たとえば気象シミュレーションで、速くて細かい計算によって数百メートル単位のメッシュで予報が可能になり、ゲリラ豪雨が的確に予知できるようになるかもしれません。

庄司さん曰く、

「2番を目指して2番になれるわけじゃないですよね。世界一を目指してこその勲章だと思ってます。」

スパコン競争の世界、最近の世界陸上にも似ていますね。たとえ1位に輝いても、次の大会でその記録はやぶられるかもしれない。それでも1位を目指さない選手はいませんよね。

2番じゃダメなわけ、納得しました!

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この記事への5件のフィードバック

あえてこのタイトルにしたのは、やんわりと事業仕分けを批判してるのかなぁ?

それならそれで、きちんとその部分を書くべきかと。

と言うか、続報期待!

Slight_Brightさん、

こんにちは、岡山悠子です。

ご指摘ありがとうございます。

事業仕分けについて批判(や推進)の意図はありません。もっとも、他人事ではなかったわけですが。。。

考えてみると、「2番じゃダメなんですか?」と聞かれること自体、研究者が世界一を目指す意義と価値を納税者に説明できていなかったとも言えるのかもしれませんね。

納得している場合ではなく、研究者コミュニティと一般社会をつなぐ科学コミュニケーターの一人として精進します。

岡山悠子さま

改めまして、こんにちは。

その意味で、「スパコン」の「一番」も一つではありません(世界陸上の競技も短距離からマラソン、更には投てきから果ては十種競技がある様に)。

意外とまだ頑張ってる「一番」も、案外近くにあるかも知れませんよ。

岡山悠子様

こんにちは。

数値解析を仕事にしているので、大変興味深く読ませていただきました。

「京」の事で質問です。

来年11月頃に運用開始予定との事ですが、実際にどのように運用されるのでしょうか?

ハッブル宇宙望遠鏡のように、世界中の研究者が計算機の使用目的や価値を提案して、その内容を認められたら利用できる、なんていう制度があるといいな、と思いました。

こんにちは。コメントありがとうございます。

運用の詳細に関しては私もよくわからないのですが、整備が完了した暁には、文字通り毎秒1京回=10000兆回の計算を目指してほしいなと思います。

使い方については、私も気になって質問しましたが、まずは日本、そして世界の研究者に公募して決まるそうですよ。

玉川さんもぜひ挑戦してみては?

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