共感覚/現実は一つでしょうか?

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“現実”というは固定されたものではなくて曖昧な存在です。1つではなくて、たくさんの現実があるかもしれません。

私たちは目や耳などの感覚器官と脳の働きによって世界を感じとっています。地球上の70億人の脳は同じように働いていると本当に言えるかな?

「共感覚」という現象があります。英語名 synesthesia は、ギリシャ語で「共に」を意味する接頭辞 syn- と「感覚」を意味する aesthesis からつけられました。共感覚は何かの感覚を受けた時に本当は受けていない感覚を感じ取る現象です。人口の1%以上と思われていますが正確な数字はまだ分かりません。数パーセントと考えていいでしょう。

共感覚をもっている人(共感覚者)はこの平凡な世界を非凡に感じ取っています。言葉に味がついていたり、名前に色がついていたりします。特に視覚、それも色覚が、よく知られている共感覚の例で、嗅覚や聴覚、味覚、触覚の共感覚よりも断然に多いようです。一番有名な例を「色字(しきじ)」と言います。文字に色がついてカラフルに見える状態。たとえば数字の5は赤く見え、2は緑に見えるといった状態です。色字の共感覚者でも、人によって色がついている文字も感じる色も違います。それぞれがユニークな共感覚を持っており、個人差はとても大きいのです。色字のほかにも、ドの音を聞くと青く感じたり、匂いや味に色がついたりする例もあります。

共感覚はなぜ存在するのか?

メリットあるのか?

進化論的にどう説明できるのか?

実はその答えはまだ分かってないです。世界中の科学者が共感覚を理解するために積極的に研究しています。でも、この脳の働きの本質を把握するのはこれからです。研究が進んで共感覚をめぐるミステリーを解明できるようになれば、共感覚者の脳だけではなくて、人類の脳の働きも分かるようになるでしょう。

現実は私たち思うより主観的です。現実はそれぞれの脳のなかで構築されているものです。この観点からみると共感覚は各自が客観的に世界を感じ取るということの劇的な差を表すパラダイムシフトになります。脳の構造について再考する必要があるみたいです。

共感覚の魅惑的な世界を探るために12月14日(金)の夜間開館でイベントを開催します。前半でこれまでにわかっている共感覚についての知識と研究の最新情報を発表します。イベントの後半には参加者の中から何人かの方々に、「色を聞く」という共感覚の世界を体験していただきます。これはどうやって可能になるかというと“Audible Color”という色を音に変化する装置を使います。

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もしかして、自分は色字の共感覚者かもしれない、と思った方はここのリンクをチェックしてみて下さい(東京大学のサイト内にあるページに飛びます)。

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イベントについての情報:

日時 :2012年12月14日(金)  19:00~19:30

会場 :日本科学未来館 3階 実験工房横の窓際スペース

対象 :中学生~大人の方

参加費 :無料

[caption id="attachment_20976" align="aligncenter" width="440"] どんな音楽になるでしょう?[/caption]

 

Audible Colorを作ったのは、コペンハーゲン在住のアーティスト/デザイナーの松井英明さんと宮崎百さん。この装置は、二人が通うCopenhagen Institute of Interaction Design (CIID)のプロジェクトとして制作されたものです。

Audible Colorについてもっと知りたい方はここのリンクをクリックして下さい。

 

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この記事への1件のフィードバック

共感覚おもしろいですね。考えてみると光という電磁波の波長については目がセンサーになっていて、音という空気中の疎密波については、耳がセンサーにと物理現象の種類に応じて異なるセンサーが受け持っているので、脳内でそれぞれが別の感覚として認識されるのは自然なことと思われます。しかしそれらが混ざってしまう脳も存在するとは、困ったものですね。共感覚を消し去り、他の人々と同じ情報を受け取れるようになれる道具を作ってあげるべきなのではないですか?

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