フカシギの不思議

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拝啓 かつてわたしに数学を教えてくださったすべての先生がたへ

数字アレルギーで、数学が大のニガテだったわたしが、ついに「計算技術」をテーマにした展示のイベントを担当する日が来ました・・・

その展示の名は、

「フカシギの数え方」

見るからに数字がいっぱい。数字アレルギーのままのわたしなら、逃げ出していたはず。

でも、展示を作った人たちのエピソードを知ることで、ぐぐぐっとじぶんとの接点が見つかりました。

まだご覧になっていない方に向けて・・・

常設展示「メディアラボ」では、いろんな実験的な表現方法で情報科学を伝えていくスペースで、定期的に内容を入れ替えています。現在の展示は第11期目の「フカシギの数え方」。テーマは「アルゴリズム技術」で、JST ERATO湊離散構造処理系プロジェクトの湊真一先生たちが手がけている、複雑な計算を数学的に簡約化し効率的にする技術を紹介しています。「フカシギの数え方」は、好評につき、4月15日まで会期が延長になりました。

 

そして2月9日(土)に、湊先生をお招きし、トークイベントを行いました。

(当日の映像は、Youtubeでも視聴できます。トークイベントの映像は、こちら。)

 

「数学?」「アルゴリズム?」「計算?」・・・なんだか難しそうだなと思う方もいるかも知れません。ご安心ください。

トークイベントの話題の中心は、「なぜ、いま、湊先生がこの研究を行っているのか?」。湊先生のライフヒストリーを交えながら、研究のお話を聞いてもらうことで、これまで関心がなかった人たちにも、アルゴリズム技術を知るちょっとした接点が見つかればと思い、このテーマを選びました。

 

【電子工作少年からコンピュータプログラミングへ】

 

アルゴリズムのワザを研究する湊先生のルーツは、意外にも「電子工作」。

星がきれいなのどかな町でハンダごてを片手に、湊少年はこんな魅力的なものを作っていました。

 

電子びっくり箱(見た目はウソ発見器)

・身体に危険のないくらいの電圧を発生。

・友だちに電線を持たせて適当に質問し、何を答えてもしびれさせる。

(よい子はまねをしてはいけません)

 

家と同じ大きさの無電源ラジオ

・自宅の壁に数十メートルの電線をはりめぐらせてアンテナにし、電池を使わずにラジオ電波の力だけで365日24時間、永久に鳴り続ける。

 

自転車用エンジン音発生器

・スピーカーを自転車のライトの発電機に直結して走らせたら、暴走族のバイクみないなすごい音が・・・。友人たちに大ウケ。

 

「田舎だったので、部品がなかなか手に入らない。重要な部品は、一度作ったものをこわして再利用した。作ってはこわし、作ってはこわし・・・手間ひまがかかっていた」と先生は当時をふり返っていました。

そんな中、出あったのが「高校の物理室にあったパソコン」。プログラムを打ちこむだけで思い通りのものを作れる。ハンダづけしなくてよい!作ってはこわしだと1週間かかったものが10分で作りかえることができる。

すっかりプログラミングの楽しさにはまった先生は、来る日も来る日も回路図やプログラムに熱中しました。作ったものを学校に持って行き、時には先生に見つかり取り上げられたこともあるそうです!

 

【授業中に好きなことをやっても怒られない学校に行きたい!】

そう思いたち、大学の工学部に進んだ湊先生。大学時代は、オーケストラに所属し、音楽活動にかなりの時間を使ったそうです。

ものづくり魂がこうじ、時には

5.5拍子の特殊メトロノーム(アフリカ音楽の曲を練習するため)」

「自作の音合わせのチューナー(音程が合っているかどうか、ルーレット型の光で確認)」も短時間で作ってしまったとか。

 

一方大学の研究室では、「右手にハンダごて、左手に教科書(もの作りと論理の両方が大事)」をモットーとする教授のもと、コンピュータの内部で行われる計算の回路を研究し始めました。

スイッチのON/OFFを組み合わせて計算を行うコンピュータの内部では、スイッチが2つ増えるたびに、計算の量が2倍になります。スイッチが1個で組み合わせは2通り、2個で4通り・・・スイッチが100個で「1,267,650,600,228,229,401,496,703,205,376通り」!!!

計算手順(アルゴリズム)を工夫しないと時間がかかりすぎる!!

 

ということで現在の「アルゴリズムのワザ」の研究をすることにつながっていったというわけです。

「なぜ、いま、その研究をしているのか」、ライフヒストリーを交えながらお話しいただいたことで、親しみをおぼえながらイベントが進んでいったように思います。わくわくしながら研究を語る表情や、好きなことを一つ一つ自分のなりわいにつなげてきた生き方をみて、参加してくださったみなさんも、自分自身と向き合う時間になったようです。

これからもいろんな科学技術を紹介する中で、携わる人の生き方や人となりも合わせてお伝えできたらいいなと思います。次は農業に関わる人たちに会いに行きたいなと、ひそかに思うわたしです。

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