鉄子の部屋 ~鉄を知る~

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みなさん!「鉄」と聞いて何を思い浮かべますか?

カイロ? 車? 鉄腕アトム?

鉄は、自動車から冷蔵庫まで私たちが使用している金属製品の90%以上に使われています。そして日本の製鉄会社はナノレベルで品質管理をしながら用途に応じた鉄を作っています。日本の鉄は「強い、加工しやすい、精度が高い」など、優れた特徴があり、世界でもトップクラスです。みなさん知っていましたか?

前から知っているように書いてしまいましたが、私が知ったのはつい最近のこと。

お客様とさまざまな“現場”を訪れるクラブMiraikanのリアルラボの企画として千葉県にある新日鐵住金株式会社の製鉄所&研究所の見学に行ってきたからです。

今回はその時の様子をお伝えします。

何にでも好奇心が沸く私は遠足を待ちわびる小学生のように前日からワクワク☆

製鉄所が見えた時に歓喜の声を挙げるとスタッフの方から驚かれてしまいました。

なんと製鉄所の敷地は東京ドーム200個もの広さのため、バスに乗って見学します。

工場内の移動中には黒や茶色の原料の山が広がり、見たことのないくらい大きな煙突からは水蒸気が吹き出し、原料を運ぶための船が停泊し・・・同じ日本とは思えない風景でした。あまりの迫力に私だけでなくみなさん圧倒されているようでした。

圧巻だったのは高炉(こうろ)です(当日は悪天候だったため、この写真はお借りしたものです)

 

そびえ立つ高炉は約100メートルもの高さがあり、日本でも最大級。この中で鉄鉱石(主成分は酸化鉄からコークスの炭素を用いて還元し、鉄を精製しています。コークスや鉄鉱石、みなさん見たことがありますか?

コークス(左)は石炭を蒸し焼きにしたもので、鉄鉱石は右の赤い石です。

 

この二つを持ってみると重さが違い、手にした参加者の方は驚かれていました。コークスに比べ、鉄鉱石は見た目以上に重いのです。鉄鉱石の主成分は酸化鉄なので、炭素を多く含むコークスと一緒にして加熱すると、酸化鉄から酸素がとれて、鉄と二酸化炭素になります。ドロドロに溶けた状態の超高温の鉄は冷やされ、引き延ばされ、製鉄所内で板や針金のような鋼材になります。こうしてできた鉄は、各メーカーの工場でさらに成形され、自動車や冷蔵庫などの多くの製品に使われていきます。

鉄を精製する過程では、鉄以外に鉄鉱石やコークスに含まれていた成分から「スラグ」と呼ばれる副生成物がでるのですが、新日鐵住金では環境保全、そしてリサイクルに力を入れており2011年度に排出された2,295万トンのうち、 リサイクル率はなんと99.4%!!

副生成物の他にも、鉄を冷やすために使われる水や発生した熱までも再利用しているのです!二酸化炭素の排出量も削減に努めていて、2050年には 約30%まで減らすことを目標にしているそうです。こうした努力を積み重ね、製鉄で出る有害物質は年々減少し、リサイクル量は増加しています。

 

興味深く見学している途中、ふと疑問に思うことがありました。現在は強化プラスチックや炭素繊維などの新材料が開発され、様々な材料が軽量化されています。動くもの、例えば飛行機などは機体が軽くなればその分必要なエネルギーが減りエコにつながるのです。

「軽量化が求められている今、重い鉄の需要は減少していないの??」

スタッフの方によると、やはり日本などの先進国では鉄の需要は下がりつつあるものの、途上国や新興国ではビルなどの建設ラッシュの影響もあり、今後の需要はさらに伸びると予想されているとのこと。

さらに!鉄には他の材料に負けない良いところがあります!!

それは、環境に優しいところ!

銅や鉛、クロムといったほかの金属とは異なり、鉄は空気中でも海水中でもどこに置いても環境を汚さないのです。海水中では鉄は腐食して海水中にイオンとして放出され、少しずつ小さくなり…いずれはなくなります。そして海の上層では放出された鉄イオンにより植物プランクトンが増え、地球の酸素量を維持するのに大きく貢献します。実は有人調査船「しんかい6500のおもりにも鉄が使われており、浮上する時には海中に破棄します。海底に残ったおもりは、鉄イオンとして徐々に海水に溶け込み酸素と反応して酸化鉄となって分解されます。深海でも環境にとって無害なものとなるのです。

 

鉄は、私たちの知らないところで、多くの研究者や技術者が日々研究を重ね、試行錯誤を繰り返した努力の結晶でした。それが、私たちが毎日の暮らしで使う製品になっているのです。そのありがたさを改めて感じました。そして、製鉄技術だけでなく、環境への配慮を徹底する姿勢にも触れ、日本の技術に誇りを持つことができました。

 

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この記事への6件のフィードバック

そうですね。昔は、鉄は重さ、強度、加工のし易さ、価格も安いでしたね、鉄は国家なりと言っていましたね。今は、それに勝る材料が出てきましたから用途によって使い分けるようになりましたね。

こんにちは。

鉄と言えば、鉄人28号ですね、私の場合。

先輩がここで働いていましたが、場内を初めて見ました。

ありがとうございます。

ところで鉄はどこで採れるのでしょう?日本?海外?

まさか砂鉄を分離する訳はないですよね。

昔、磁石で拾って遊んだことを思い出しました。

こんな記事を読んだのを思い出しましたw

ここ最近はあまり話を聞きませんが、どうなったんでしょうね(^_^;)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD23006_T20C11A2000000/

鉄は昔から研究されて使い倒されている材料なので、いろんな合金がありますねw 

それこそ鍋やかん、釜、工具、ジェットエンジンや発電所のタービンブレードなんかも鉄が基材になってるなんて、鉄無しには生活がままなりませんw もっと注目されてもいいと思いますw

石本さま

コメントありがとうございます。

今後、どのような新材料が開発されるでしょうか?

より優れた材料が開発されても、日本の製鉄技術は忘れてほしくないですね。

MARCさま

コメントありがとうございます。

確かに鉄人28号も有名ですね。

鉄の原料(鉄鉱石・石炭)は主にオーストラリアから輸入し日本で鉄に精製しています。

そのため、君津の製鉄所には大きな船が停まる港があります。

荻谷知貴さま

コメントありがとうございます。添付頂いた記事を拝読致しました。鉄無しでは生活が成り立たないということも

このブログを通してみなさまにお伝えしたかったことなのです!

鉄には鉄の役割があると思います。鉄でないといけない部分に鉄を使うのは当たり前、金でも銅でもプラスチックでもなくて電気的、強度的、重量的な箇所。腐食しても公害にならない所での使用。鉄の性質を利用できるところ。で使われる差別化された時代になるんでしょうか。

こんにちは、田村様

良い見学をされましたね。

実際には、コークス(炭素)の燃焼で加熱する高炉でできた鉄は銑鉄と言われる炭素分が多い脆い鉄なので、高炉の次に電気で加熱する電気炉に入れて炭素分を減らしたりして鋼にするのね。いろんな形にされるのは電気炉から出た後の鋼材です。
この炭素を減らして鋼にする技術と言うのが鉄を材料の王様にしたキーポイントなんです。昔の鍛冶屋は熱した鉄を叩くことで炭素を火花にして飛ばして抜いて鋼にしたりしてたんです。炭素を燃やして加熱する炉でも熱だけを反射させて集める反射炉なんてので銑鉄を溶かして炭素を抜く技術なんてのは鉄の歴史の一大発明だけどね。
製鉄で出てくるスラグも40年くらい前までは、自分たちで使っていたのね。製鉄所を見に行くととにかく広いでしょ、あの土地の半分くらいは自分で作っちゃった土地なんです。海を自分の出すスラグで埋め立てて土地にしちゃつたんです。

こんな雑学を持って製鉄所を見学するともっと面白いかもしれませんね。

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