1999年に描いた地図。〜サイエンティスト・トーク「農業の現場を支援するリモートセンシング」を終えて〜

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「本郷先生、ここはなぜ1999年時点の図を使っているのですか?2013年版にしませんか?」

「この図はね、いまやっている研究のもとになっているの。1999年に描いていたことが、こうして実現したことを伝えたいの」

 

11/16(土)に千葉大学環境リモートセンシング研究センターの本郷千春先生をお迎えして、サイエンティスト・トークを行ないました。テーマは「農業を支援するリモートセンシング」。直前までインドネシアで活動されていた先生と、ご帰国早々、イベントに向け最後の詰めを行なっていました。

 

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【 1999年に描いた地図】

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当日の1枚目のスライドはブドウの写真。左端は濃い紫色ですが、右端のブドウは先の方が緑色です。これは、必要なミネラルのマンガンが不十分だから。これが、本郷先生が学生の時に興味を持った、植物の栄養診断です。

 

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気象衛星ひまわりの画像を見て、素朴な疑問が浮かびます。植物の栄養状態を「人間の目で見てわかるなら、衛星から見てもわかるのでは?」 本郷先生はこれをきっかけに、衛星画像を用いた営農支援の仕組みに向けた研究を始めます。

 

 

衛星画像の民間利用が始まって間もない1999年当時、すでに下の図で示した構想が頭にあったそうです。

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この仕組みが、徐々に実現していくまでの様子を、トークの前半でお話しいただきました。リモートセンシングを用いた農業を研究するため、北海道に通った日々。ことあるごとに出てくるジンギスカン。ほんとうは全然好きではなかったけど、農家の人たちと仲良くなるためになんとか乗り切り、最後はやっと「苦手だ」と言える仲までになったこと。

 

衛星画像への規制緩和が進み、自由に使えるようになったことで、企業との連携により、研究が前進するきっかけとなったこと。

 

トークの中盤では、米やてん菜(砂糖大根)を例に、衛星画像をもちいて、地上に栽培されている作物や土壌の栄養分を、どのように調べるのかの具体的な原理をお話しいただきました。

 

リモートセンシングでのデータをコメの栽培に応用することで、アジア、特にインドネシアとの結びつきが生まれたこと。天災による作物への被害を把握し、その損害をデータから算出することで、農家の収入を守ろうとしていること。

 

一つの達成が、つぎの門を開いていきました。

そして今年、本郷先生はインドネシアと提携し、データに基づいた農業の研究や人材育成を目的にデータセンターを立ち上げました。十数年越しの夢が、また一歩実現に近づいています。

 

暮らしの根幹である食糧、それを支える農業の話題ともあり、開催前からいろんな地域にお住まいの方から関心の声をお寄せいただきました。

イベント中は、「宇宙から、一体どうやって地上の作物の状態を見るんだ?!」と不思議に思われていた方も、衛星で計測する植物からの光の反射や、作物の根に含まれる栄養分と葉の関係を聞いて、大きくうなずいていた様子でした。

「衛星画像は、ウソがつけない」、本郷先生のこの言葉は、来てくださったみなさんの表情から、とても印象的であったのだと見受けました。

当日は、未来館で「G空間EXPO2013」も行なわれていたため、リモートセンシングに関心のある参加者が多くいらっしゃいましたので、イベントが終わった後は、長いこと、意見交換やつながりをつくる様子が見まれました。

 

わたしにとって、宇宙から地上の作物を見守るリモートセンシングは、優しいまなざしのように感じます。きっとそれは、本郷先生といっしょに今回のイベントをやらせていただいたからかもしれません。

 

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研究者の人間的な魅力に迫るサイエンティスト・トーク、当日ご参加できなかった方も、Miraikan Channelにアップロードされた映像を、ぜひご覧くださいね。

 

 

【開催概要】

サイエンティスト・トーク「農業の現場を支援するリモートセンシング」

イベントの概要はこちら

イベントのYouTube動画はこちら

講師:千葉大学環境リモートセンシングセンター 本郷千春准教授

日時:2013年 11月16日(土曜日) 14:30〜15:30

場所:日本科学未来館 3F 実験工房

当日参加人数:40名 (Ustream視聴者を除く)

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