サイエンティストトーク「ヒッグス粒子で探る宇宙の始まりー今、歴史の証人になろう」実施報告

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去る11月17日(日)東京大学の浅井祥二教授にお越し頂いて、サイエンティスト・トークを行いました。昨年「ヒッグス粒子発見」として、大きな話題になったCERN(欧州原子核合同研究機構)の日本人研究グループのチームリーダーである浅井先生に、「ヒッグス粒子とは何か」「ヒッグス粒子から何がわかってきたのか」また、「CERNではどのように研究されているのか」などをお話し頂きました。

 かなりぎちぎちに詰め込んだ椅子が満席になり、ガラス越しに会場をのぞきながら立ち見してくださった方も入れると、だいたい140人くらいの方にご参加いただきました。

さて、お話しが始まってみると、浅井先生は一度も椅子に座ることもなく、指し棒とマイクを持って、身振り手振りでアクティブにお話しされます。あいまに、スライド送りのボタンをカチカチ。それはそれはお忙しかったのではと思います。

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 前半の「ヒッグス粒子のお話」では、一般的なヒッグス粒子の紹介の後、(浅井先生曰く)「『17番目の素粒子が見つかった』というチョロい話ではない」とのお話に入りました。

 ヒッグス粒子は、空間に敷き詰められた状態にあり、中を「泳ぐ」他の素粒子に質量を与えています。

他の素粒子とは全く違い、「入れ物」としての「空間(真空)」の性質を表していると考えられていることから、超対称性理論への期待がお話しされました。参加者のみなさんは、参考のために配布した冊子を観ながら、熱心にお聞きになっていました。

 前半のヒッグスの話は少し長めに時間を取りましたので、後半は短くなりましたが、先生の小学生の頃から実験物理学研究者になるまでのお話と、今のCERNでのお仕事についてお話しいただきました。喧々がくがくの議論をする「戦う研究者」の横顔が垣間見えたのではないでしょうか。

 質問タイムでは「どうして、素粒子研究が、宇宙ができたときの話につながるの?」「何を観測して、ヒッグス粒子だとわかったのか」などの質問に、浅井先生が丁寧に答えてくださいました。

 そして、カメラが回っていなかったときのお話しもおもしろかったので、2つ紹介します。

 某テレビ局の取材で、ヒッグス粒子を探すのに巨大加速器を作ってきたわけですが、その技術は今ではがん治療に使われる「重粒子線」などを発生させる加速器に使われているという話をされたのだそうです。

 ところが、放送された番組では、間がすっぽり抜けて「ヒッグスでがんが治る!」などという話になっていたのだとか。これが一人歩きしてしまったというマスコミとの苦い経験も話されていました。

 それから、私が東大の数物連携宇宙研究機構IPMU機構長の村山斉先生から伺った話を引き合いに出して「今では加速器は日本国内にたくさんあるそうですよ。どこにあると思いますか?じつは、小型化されて病院にあるんですって」と言うと、そこへ、浅井先生が乱入。

「そうそう、彼の移動スピードってどれくらいだと思います?」って。 

お客さんともども、私まで、「????」でしたが、浅井先生曰く、「村山さんが、1ヶ月に移動した距離を時間で割るとね、1秒間に30メートルくらいになるそうなですよ。つまり「音速の1割!」すごいスピードでしょ!!」と、マッハ0.1で移動する村山先生の話もしてくださいました。

 今回Ustream中継110人程度、ニコニコ生放送では18000人強のかたにご覧いただいたようです。

これまで、先生は(ご自分でおっしゃるには)「失言が多いから」と、あまり生中継はお受けにならなかったそうですが、今回は特にとお願いして講演中継が実現し、こんなにたくさんの方に見ていただくことができました。

 実際に足を運んでくださった方、中継をご覧になった方、みなさん、本当に、ありがとうございました。 

 今年のノーベル物理学賞は、ヒッグス粒子の存在を理論的に予言してたピーター・ヒッグス博士とフランソワ・アングレール博士が受賞しました。その受賞者発表が、予定時間より1時間も遅れるというハプニングがあったことは、ご記憶の方も多いはず(発表当日の様子は本田のブログをご覧ください)。

 浅井先生が「50年間世界中が協力してようやくヒッグス粒子を発見したのに、ノーベル委員会はヒッグスさんを発見できなかった(というオチまでついている)」と話されていたように、当の受賞者とコンタクトが取れなくて発表が遅れたそうです。

 しかし、実は「団体としてCERNにノーベル賞を与えるべきだ」という意見があって、委員会が紛糾していたという話も聞こえてきました。浅井先生のお話を伺って、私としては、「いつか、CERNが研究機関としてノーベル賞が取れますように」と思ってしまいました。

 

開催日時:2013年11月17日(日)15:00~16:00

イベント紹介はこちらのアーカイブページをご覧ください。

イベントのYouTube動画はこちらから。

開催場所:日本科学未来館 3階 実験工房

参加者数:約140人

Ustream中継視聴者数:約110名

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