冬を乗り切れ!ヒントは極域の生き物にあり!!(後編)

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前回の北極・南極ブログはご覧いただけましたでしょうか。

ホッキョクグマやペンギンなど恒温動物は極寒の地で生き抜くために「体温を維持する工夫」をしているというお話をしました。

今日は周りの環境の温度に合わせて体温を変化させる変温動物についてのお話です。彼らは周囲の温度が氷点下になる場所でなぜ凍らないのでしょうか?

それでは、「凍らないようにする工夫」とそれにまつわる実験を紹介します。

工夫の一つ目は「不凍タンパク質」

水が氷になるときは、初めにとても小さな氷の結晶ができ、その結晶に周りの水が引き寄せられて大きな氷の結晶になることで水全体が凍ります。

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これが生物の体の中で起きるとどうなるでしょうか。

大きくなった氷の結晶は、細胞を傷つけてしまい、生命活動を維持できなくなってしまいます。

そこでこの不凍タンパク質が効果を発揮します!

不凍タンパク質は氷ができはじめる時の小さな結晶の周りにくっつき、それ以上水を引き寄せないようにします。すると、氷の結晶はそれ以上大きくなれないので、大きな氷の結晶ができず細胞を傷つけるのを防ぎます。

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イラスト上段は不凍タンパク質が無い場合、下段は不凍タンパク質がある場合

なんだか聞き慣れないタンパク質の名前ですが、実は私たちよく食べているんです。

それは...冷凍食品!

冷凍すると細胞が壊れてベチャっとなってしまうような食べ物も、不凍タンパク質を混ぜて冷凍させることで、解凍しても品質を損なわずに食べることができます。

「昔に比べて冷凍食品がおいしくなったなー。」と思っているあなたはこの不凍タンパク質の効果をすでに実感しているかもしれません。

極域に限らず、寒い地域や高山などにすむ生き物もこの不凍タンパク質をもっていることが分かっています。魚類や、昆虫、菌類(きのこ)、植物などいろいろな生き物がもっているようです。

今回この不凍タンパク質について、産業総合技術研究所および北海道大学大学院の生にアドバイスをいただき、スタッフのとともに簡単な実験をしてみました。津田先生の研究チームはこの不凍タンパク質をカレイなどの魚類から取り出す方法を実現していらっしゃいます。

未来館の近くのスーパーで購入したタラの身から簡単な方法で不凍タンパク質を抽出し、この抽出液に食紅を混ぜて凍らせてみました。比較として蒸留水(ただの水)に食紅を混ぜたものも作りました。

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比較で作った蒸留水に食紅を混ぜたものは、水が大きな氷の結晶になって凍ってしまっています。

一方タラから抽出した液体の方は不凍タンパク質が大きな氷の結晶を作るのを妨げ、全体的に均一に凍っています。この実験について詳しく知りたいとう方は津田先生のも見てみてくださいね。

 

さてさて、生き物が凍らない工夫はまだあります。

二つ目は「凝固点降下」

通常水は0℃で氷になりますが、水以外の物質が混ざっていると凍る温度が0℃よりも低くなります(温度は 混ぜた物の量と種類によります)。この現象を「凝固点降下」と呼んでいます。

私たち恒温動物は体温を維持する仕組みがあるので体温は0℃以上に保つことができます。魚や昆虫などは水温や気温によって体温が下がってしまいますが、この凝固点降下によって、0度以下でも凍らずに活動できているというわけです。

この凝固点降下を実際にを見てみる実験は、なんと会場で行いました!

1.蒸留水(ただの水)を入れた試験管と、蒸留水にグリセリンを少しだけ混ぜた試験管を用意します(グリセリン:アルコールの一種)。

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2.それを砕いた氷の中で冷やします。

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温度はだいたい-5℃くらい(氷に食塩を混ぜています)。

 

3.少し待つと...

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この通り、水だけの方は凍り、グリセリンを混ぜた方は凍らない!

この効果、私たちの身の回りでは道路を凍らせないための融雪剤や、車の窓ガラスのウォッシャー液を凍らせないためなどに使われています。(詳しくは田村の雪の日ブログをご参照ください。)

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北海道の友人より写真を提供してもらいました(見るだけで寒くなっちゃう...)



北極・南極の生き物が寒さを耐え抜く工夫、いかがだったでしょうか。

まだまだ寒い日は続きそうですが、北極や南極の生き物に思いを馳せながら、残りの冬を乗り切りましょう!

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