女性100人に1人!意外と知らない「早発閉経」~私と、家族のために、今知っておきたいこと~

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

30歳のA子は、付き合って3年になるパートナーとの結婚を考えている。既婚者である姉のすすめで婦人科検診を受けたところ、医師から『早発閉経の疑いがある』と告げられた・・・ 

40歳未満で閉経する「早発閉経」。女性の100人に1人の割合で発症する疾患です。あなたや、あなたのパートナーもA子さんのような告知を受ける可能性があります。

20140721_horikawa-1

7月12日(土)~7月27日(日)の間、未来館の5階「エンドクサ」で掲載している設問です。7/18(金)までの6日間で、すでに70名を超える来館者の方からご回答をいただきました。

途中結果では、

(a)      知っている(聞いたことがある) 20人

(b)      知らなかった          51人

 

コメントでは「発症率の高さに驚いた」という声が多い印象です。寄せられたご意見をいくつかご紹介します。

 

まずは「(a)知っていた」と回答された方では、

「だから早く子供を産みました」 36歳・女性(①)

「自分もこの病気と診断を受けた。あと一人子供ほしかったなー!」 41歳・女性(②)

「不妊は女性にとって大変つらい問題なので、男性にも知ってほしい」 22歳・女性(③)

 

また、「(b) 知らなかった」という方からも、

「自分の身近でも起こりうるので、考える必要がある」 22歳・男性(④)

「子供の教育の中で、そういうことも教えてほしかった」 34歳・女性(⑤)

「防げるのか?治療できるのか?原因は?」 22歳・女性(⑥)

 

ここでは、簡単ではありますが「早発閉経」という疾患についてご紹介したいと思います。まず、前提として3つ

(1)卵子は「原始卵胞」の中に入っている。原始卵胞が成熟すると,排卵される。

(2)原始卵胞は、胎児期につくられ、卵巣に保存されている。

(3)原始卵胞は、年齢とともに減少していく。

20140722_horikawa.jpg

(↑ クリックで拡大) 1周期で10数~20個ほどの卵胞が育ち、最終的に選ばれた1つから卵子が排卵される。また、月経の有無によらず(生理の出血がなくても)1周期で数百個ほどの原始卵胞は減り続けている。(※管理人注:7月31日に1周期で1000個から数百個に訂正しました)

つい最近まで、卵子は毎月、0からつくられていると思っていた私。卵胞はすでにつくり終えられていることが、まず驚きでした。精子は新たにつくられていますが、卵子には限りがあるのです・・・

 

まだ30代なのに、もう閉経!? 「早発閉経」とは?

早発卵巣不全、通称「早発閉経」は40歳未満で原始卵胞が急激に減少し、無月経となる疾患です。( 混同されやすいですが、45歳未満の閉経を指す早閉経とは異なる疾患です。)

不妊症の中でも患者数は多く、発症率は女性100人に1人といわれています。初期症状は月経不順で、ストレス性との区別がつきにくいため、軽視されがちです。

自分も早発閉経になるのかと思うくらい生理不順なので心配。妊娠はしたが・・・」 25歳・女性(⑦)

 

卵子は減る一方・・・問題は、そのスピード

卵子の源である原始卵胞は、胎児期につくられ、出生時の数は約200万個。しかし、新たにつくられることはなく、減少の一途を辿ります。原始卵胞の残数が1,000個程度になると、卵胞が成育しなくなるので、排卵がなくなります。このときが閉経となり、日本人の平均年齢は51歳。しかし、早発閉経が進行すると40歳未満で閉経し、自然には自らの卵子で妊娠することが難しくなります。早発閉経(早発卵巣不全)は、卵巣機能の低下、すなわち、卵巣の老化と言い換えることもできるのです・・・

「自分もそうではないかと非常に心配している」 25歳・女性(⑧)

「自分もいつかそうなる可能性もあるのだと思うと怖い」 16歳・女性(⑨)

私も初めて早発閉経を知ったとき「自分は大丈夫」と根拠もなく思いたい反面、自分の身体の中に、いつ落ちきるか分からない砂時計があるような、不安感が募りました。なにか手立てはないのでしょうか。

 

血液検査で卵巣年齢を知る!

実は、採血を調べてもらうだけで、自分の卵巣にあとどのくらいの余力があるのか(卵巣予備能)を知ることができます。それがAMH検査で、近年、卵巣年齢の指標として注目されている評価法のひとつです。

AMHは、アンチミュラー管ホルモンの略称。成育の初期段階の卵胞から分泌されるホルモンであることから、AMHの値が高ければ、卵巣内にある卵胞数が多く、値が低ければ、卵胞数は少ないと推測されます。年齢とともに卵胞数は減少するので、減少傾向から卵巣年齢を予測することができるのです。

AMHの値は、月経周期によらず、いつでも血液検査で調べることができます(周期によって数値は異なります)。費用は自己負担で、産婦人科の医院によりますが、7,000円~1万円前後が相場のようです。私も受けてみましたが、採血のみで結果は約1週間後にわかりました。

20140721_horikawa_3

ただしAMH値で、直接的に卵巣に残る卵胞の正確な数がわかるわけではありません。また、妊娠する上では、卵子の「質」も重要となるため、AMHの値が低くても(卵胞の数が少なくても)、卵子の質が良ければ妊娠に結びつくこともあります。AMH値の解釈には注意が必要です。

AMH値が高すぎる場合は、排卵されずに卵巣内に卵胞が溜まってしまう「多のう胞性卵巣症候群」が疑われます。いずれにしても、AMH検査は、簡便に、卵巣の状態を知る手段といえます。

「自分もそうではないかと不安になった。検査をうけたい」 21歳・女性(⑩)

自分もなる可能性があると知り、驚きました。20歳になったら検査をうけたい」 15歳・女性(⑪)

 

治療法はあるの?

すでに卵巣機能不全が進んでいる場合、病気そのものを完治することは難しく、いの妊娠をあきらめるか、提供卵子を受けるのに踏み切るか......(ただし提供卵子の使用に関しては、法の整備が進んでいないのが現状です)。こうした状況のなかで、新たな治療法としてが注目を集めているのが、卵巣内にわずかに残る卵胞を薬剤により活性化する方法です。2013年に開発されたこの方法で、すでに赤ちゃんが誕生しています。
(管理人注:小島さまよりいただいたコメントを受け、8月1日に直前の段落の表現を改めました)。

【参考】2013年度 科研費NEWS  VOL.4

http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_letter/data/news_2013_vol4/p16.pdf

 

8月2日(土)、日本科学未来館では、この新たな不妊治療法を開発された、聖マリアンナ医科大学の河村和彦先生をお招きし、早発閉経を中心に生殖医療について、直接お話を伺うイベントを開催します。このブログでは書き切れないことや、皆さんの疑問や思いを共有する場にしたいと考えています。また、ニコニコ生放送でのライブ中継や、イベント後にYouTubeでアーカイブ映像を公開する予定です。

 

「早発閉経によって妊娠できなくなる可能性があること、調べる方法があることをより多くの人が知るべき」 29歳・女性(⑫)

「多くの人に知ってもらうことで、それぞれが新しい考えが生まれればと思う」 29歳・女性(⑬)

「不妊治療の経験者です。卵子凍結の技術も発展途上ですし、早発閉経の予防などの研究がすすむことを望みます」 41歳・女性(⑭)

 

子どもを産む・産まないは個人の判断です。ですが、知らずに選択することと、知った上で選択することの意味合いは大きく変わると思います。ひとりでも多くの方のご参加をお待ちしております。 

娘がいるので、早く解決策がみつかるといいです」 52歳・女性(⑮)

人口減少ぎみの世の中。原因をつきとめて、産みたい人に希望をもってもらいたいですね」 66歳(⑯)

 

■   ご紹介したご意見の直筆 (文中の番号と対応)

コメントをお寄せくださった皆様に、この場を借りて心よりお礼申し上げます。引き続き、7/27(日)まで、弊館5階「エンドクサ」にて、皆さまのご意見を募集しております。

20140721_horikawa_4

20140721_horikawa_5

(↑クリックで拡大します)

 

■   イベント案内

サイエンティスト・トーク 『女性100人に1人!意外と知らない「早発閉経」 ~私と、家族のために、今知っておきたいこと~』

講師: 聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センター長 河村 和弘 先生

日時:8月2日(土)14:30~16:00(15:30~16:00 質疑応答)

場所:日本科学未来館 1階コミュニケーションロビー

参加方法:参加費無料、直接会場にお越し下さい。

詳細はこちらをご覧ください。http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1407151617017.html

 

■ 参考資料

・i-wish.. 「ママになりたい 妊娠しやすいからだづくり2012」

・マイナビニュース コラム「妊娠を科学する! - 男も知っておくべき高齢出産時代の妊娠のための基礎知識」

http://news.mynavi.jp/column/miraikan_ninshin/001/

 

 

 

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

この記事への2件のフィードバック

初めて投稿いたします。当事者の立場から不妊のご相談に応じている者です。
不妊治療の現場でAMH検査が広まって、早発閉経について知る方が増えてきた実感はありましたが、科学的な観点からこのような記事を書いてくださると、不妊に直面していない方にも認知が広まりますね。ありがとうございます。

書いていらしたように、AMH値が低くても妊娠する可能性はあります。それだけに「ゼロでなければまだ妊娠の可能性はある」と治療に向かう方も多く、希望を持つと同時に新たなつらさを生む場合もあり、その受け止め方には難しい問題も含んでいます。
しかし、「知った上で選択する」ことの重要性はおっしゃる通りで、ぜひこうした活動を続けていただきたいと思います。

一つ、堀川さん自身はご理解の上書いていらっしゃると思いますが、不妊治療について知らない方には誤解を招きかねない表現があります。自分の卵子で妊娠が難しい場合の不妊治療として、「第三者からの提供卵子を用いた体外受精が主流」との表現です。
確かに海外で(国内でも)相当数の方が受けているのが現状だろうと推察できます。しかしさまざまな議論があり、法制化されてはいません。
ここは賛否を論ずる場ではありませんので、少なくとも不妊治療の現場で、通常の治療のステップアップと同列に扱われている方法ではないことを申し上げておきたいと考えました。

新たな治療法についての明日のお話、伺いたかったのですが、残念ながら都合がつきませんでした。多くの方にご参加いただけるといいですね。
こうした活動を大変心強く感じています。今後もご活躍ください。

小島さま

大変ていねいなコメントありがとうございます。現場に携わっている方の貴重なご意見をいただけることを、本当にありがたく思います。

提供卵子について説明が不足していたこと、また誤解を招くような表現がありましたこと、お詫び申し上げます。ご指摘を受けて、本文を修正いたしました。

明日のイベントでも、一般的な生殖医療のステップ、卵巣機能が低下している場合、早発閉経と判明した場合について、講師の先生より詳細を伺いたいと思います。後日、収録映像を未来館のホームページにてアップする予定です。お時間のあるときにぜひご覧いただければ幸いです。

頂いたお言葉を励みに、今後も勉強し、情報発信を続けていきたいと思います。
今後もお力添えいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

堀川 晃菜

コメントを残す