ラボたんけん!③ 遺伝子と心の関係を探る

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こんにちは。科学コミュニケーターの濱です。
今回はラボたんけん!シリーズ第3回目。

未来館の研究棟で活動する精神疾患の中間表現型「非成熟脳」解明プロジェクト(藤田保健衛生大学、生理学研究所)、宮川 剛研究室のご紹介です。

研究室では精神疾患の予防・治療法の開発を目指して研究が進められています

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宮川先生はもともと文学部の出身。心理学を学ぶ中で、脳科学の研究に惹かれていったそうです。

大学院時代の先生が、こころについて研究していく中で、欠かせない存在となったのが遺伝子改変マウスです。中でも、今回はノックアウトマウスについてお話しします。

ノックアウトと言えば、ボクシングなどの試合で相手に強力なパンチを浴びせて、起き上がれなくしてしまう時などに使いますね。
ではマウスをパンチして気絶させてしまうのでしょうか?それとも、殴り合いのケンカが強いマウス??
いえいえ、ノックアウトする相手は遺伝子です。

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遺伝子は、生き物のからだの中で、生き物の形や性質を決めるためにはたらいています。ヒトなら2万個ほどの遺伝子があります。実はマウスとヒトの遺伝子のパターンはとても似ていて、遺伝子の数も同じくらいなんですよ。

さて、この数ある遺伝子の中から特定のものをはたらかなくしてしまうことを、「遺伝子をノックアウトする」と言います。
ノックアウトマウスからどんなことがわかるのでしょうか?

ある遺伝子Aのノックアウトマウスと、遺伝子Aがはたらいている普通のマウスを用意します。そして、この2種類のマウスのからだの構造や行動などの違いを調べます。

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たとえば、ノックアウトマウスは普通のマウスに比べて、記憶力が低くなったとします。すると、遺伝子Aは記憶や学習に関係したはたらきをしていると推察できるのです。

KO2.png

 

宮川研究室では、膨大な数の遺伝子それぞれのノックアウトマウスを使って、普通のマウスと比べて行動や性格に違いのあった遺伝子について、そのはたらきについて調べています。言い換えれば、「行動や性格」=「こころと遺伝子の関係を探っているとも言えるかもしれません。

 

そしてこの研究の中で、統合失調症によく似た症状をみせるノックアウトマウスが複数見つかりました。それぞれ異なる遺伝子がはたらかなくなっているわけですが、共通していることがあったのです。
それは脳の神経細胞の一部が「未成熟」な状態であるということ。

神経細胞といえば、たくさんの突起がある姿で描かれますよね?

neuron.pngのサムネイル画像

 

実は神経細胞自身が成長していく過程で、無数にある突起の中からよく使う複数の突起だけを選んで、いらない突起は刈り取られるのです。そして、安定してはたらくことができる成熟した神経細胞になります。遺伝子をノックアウトしたことによって、この過程が妨げられて、未成熟な状態になってしまうのです。

神経細胞の未成熟さは、成長途中の乳幼児期の脳はもちろん、統合失調症患者さんの脳にもみられます。これらのノックアウトマウスを使った研究が進むことで、さらに詳しい病態が分かるでしょう。いずれ治療法・予防法を見つけることを期待されています。

 

さぁ、ブログ読んで興味をもってくださった、あなたにステキなお知らせです。

8月22日、23日、24日に、未来館では研究棟を見学するツアーや研究者とふれあえるワークショップを開催します。

Miraikanオープンラボ~研究者の"秘密基地"を探検しよう!~
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1407141116999.html

 

宮川研究室のワークショップはこちらです。

~なりきり研究者~ ※事前申込制(8月12日正午締切)
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1408041317114.html

皆様のご応募をお待ちしております。

 

〈追記〉

宮川先生の研究について聞く中で、娘のことを思いだしました。乳幼児を相手に「眠いなら、泣いてないで寝ればいいのになぁ」など、大人の理屈に合わない行動に首をかしげる事がたくさんありますよね。でもからだの大きさだけではなく、脳もまだ成長中なんだと思うと、なんだか妙に納得しました。じっくり見守ってゆきたいものです。

荒ぶる娘.jpg

荒ぶる娘(笑)

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