ラボたんけん!⑦環境と適応するロボット達

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こんにちは!科学コミュニケーターの蒋です。

 

いきなりですが、質問です。皆さんはロボットが好きですか?

ロボットと聞いて、まず頭に思い浮かぶのはどんなイメージでしょうか?

人間そっくりの機械?それとも工場で動く鉄の腕?

ロボットと言われたら、私はやはり「鉄腕アトム」を思い出します。人間みたいな姿で人間を助けてくれるロボットですね。

 

シリーズブログ「ラボたんけん!」は今回で第7回になります。東京大学情報システム工学研究科の稲葉雅幸教授のロボット研究の「ヒューマノイドプロジェクト」をのぞいてみたいと思います。ロボット好きな人はもちろん、そうではない人でも、ぜひお付き合いください。

 

稲葉研究室のロボットは、外見だけを見ると必ずしもヒューマノイド(人間の形)とは限りません。しかし、大きな共通点があります。それは、ロボットのために特別にしつらえた場所ではなく、人の生活空間で活躍するロボットを目指しているということ。そのために必要なキーワードは「環境と適応」です!

 私たち人間は、長い進化の歴史の中で周りの環境に適応してきました。人間だけではなく、動物や植物も環境に合わせて生き延びるために適応しています。

ロボットはまだ100年ぐらいの歴史しか持っていないですが、やはり環境に適応することがとても重要なポイントです。稲葉研究室では、環境と相互作用する知能ロボットを多数作ってきました。

まずこちらの写真をご覧ください。

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たこみたいな形で、足が4本あります。

この"たこ"ロボットの前に、はしごがあります。上ることができるでしょうか?

難しそうですね。実はそのままの硬い足でははしごを登れません。

だったら、変形させたらどうでしょう?

どのように変形すればいいのか、いろいろやり方があるかもしれません。ここでは、ユニークの素材を使用してロボットの足を作っています。50度ぐらいの温度で軟らかくなる素材です。

そうすると、適切な温度で足を軟らかくして、はしごの形にフィットすると、はしごを登れるようになるのです。

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つぎに、このような飛行ロボットが最近よく見られるようになりました。おもちゃとしてもかなり注目が集まっています。

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稲葉研究室では、このロボットが空に飛ぶだけではなく、水の上でも浮いて進み、地面の上にも移動するようにしました。

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そして、下の動画のように地面を転がることで、狭いところでもすり抜けるのです。しかも、飛ぶよりかなり省電力になります。

https://www.youtube.com/watch?v=nUA1tGdRnv4#t=12

このように様々な場所に適応して移動できるロボットが、災害現場などたくさんのところで活躍できそうですね!

しかし、適応するのに重要なのは、ロボットの形や動きだけではありません。異なる環境に合わせて動きなどを変えるなどの判断をするロボットの頭脳が必要となってきます。

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例えば、上の写真のように大きな棚を動かすために、このロボットは自ら考えて判断をした上で、行います。簡単そうに見えますが、棚を動かそうとするロボットに対して、棚から押し返す力を計算しながら、自分自身の全体のバランスを取るようにしています。実に難しいです。

さらに、同じロボットがさまざまな家事をこなすようにしようとすると、非常に大変です。20140813_Jiang_8.png

掃除や洗濯、料理など、私たち人間ならば難なくこなせることが、ロボットには非常に難しいのです。私たち人間の生活環境にうまく適応していかないとできません。それらをこなすためにも、ロボット自分自身が考えて判断することがとても重要です。

このように、人間が行っている動作を人間が過ごしている空間でロボットに行ってもらうには、人間の姿に似ているヒューマノイドだからこそ可能になるだろうという期待もあるのです。

さらに、生活の中だけではなく、災害現場などの過酷な環境にも適応できることを目指して研究が重ねられてきました。その成果として稲葉研究室のメンバーがSCHAFTというロボットを製作しました。

このロボットは、去年アメリカで開催された災害ロボットコンテストで優勝しました。

コンテストは、「車の運転」「でこぼこ道の走破」「はしごに登る」「障害物の除去」「ドアの通過」「壁の突破」「バブルハンドルを回す」「給水ホースをつなぐ」という8つのミッションをクリアしなければなりません。人間ならばこの8つの動作はすぐにできそうですが、災害現場だとするとそう簡単に入ることができません。放射線が飛び交うような人間が行かれないような場所にロボットを派遣したとしても、その厳しい環境で完璧な動作ができないと何の役にも立てません。

SCHAFTは、その8つのミッションをほぼ完璧にこなして、2位のチームに大差を付け、優勝したわけです。

日本のロボット技術は世界を驚かせました。このように、稲葉研究室の20年間でのロボット研究の積み重ねが、環境適応ロボットの開発に貢献してきました。

実際には未来館の稲葉研究室の中に、さまざまなロボットが在籍しています。この夏休み、ぜひこれらのロボットたちを見に来てください。

【Miraikanオープンラボ2014~研究者の"秘密基地"を探検しよう】
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1407141116999.html

稲葉研究室「ヒューマノイドプロジェクト」見学についての詳細はこちら

開催日時:2014年8月23日(土)13:00~14:00、2014年8月24日(日)15:00~16:00 (各回後半の30分)

参加方法:開催当日に、3階総合案内付近で整理券を配布します。

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