ラボたんけん!⑨ネズミの研究室へようこそ!

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こんにちは。科学コミュニケーターの濱です。

今回はラボたんけん!シリーズ第9回目。

 

未来館の研究棟で活動する次世代疾患モデルマウスプロジェクト(信州大学大学院医学系研究科)新藤 隆行研究室のご紹介です。

 新藤先生.jpeg

 

ずばり、ネズミの研究をしています。

ネズミと言っても、ただのネズミではありません。

 

遺伝子組み換えマウスです!

マウス.jpg

『再登場でチュー!』

 

 

遺伝子組み換えマウスについては、先日の宮川研究室のご紹介の際に少しお話しさせていただきました。

2007年には遺伝子組み換え動物を作るための技術を生み出した研究者たちがノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 

簡単に言ってしまえば、

①組み込みたい遺伝子を細胞の中に入れる。

②その細胞から動物を誕生させる。

 

まず①について。細胞には、時々他から入り込んできた遺伝子を自分の中に取り込むはたらきがあります。これは生物がどんどん『変化』していこうとする性質のひとつだと考えられています。

 

では②についてはどうでしょう?動物を一匹完全に作り上げることができる細胞といえば?

 

受精卵ですね。
私たちの体はお母さんのおなかの中で、たった1個の受精卵からどんどん増えて作られてきました。

ここで、体が作られていくごくはじめの頃の様子を少し見てみましょう。いずれ赤ちゃんになる部分(黄色)と赤ちゃんとお母さんをつなぐ胎盤になる部分(青色)に分かれています。黄色の部分の細胞に注目してください。この時点では、まだどの細胞が手になるか足になるか、はたまた頭になるのかは決まっていません。つまり、まだ体中のどの部分にもなることができるのです。この細胞から作られた実験用の細胞をES細胞といいます。

ES細胞.jpg

ES細胞によって、遺伝子組み換え動物を作れるようになったのです。

 

それでは、実際の遺伝子組み換えマウスを作る過程を見てみましょう。

まず、ES細胞に外から遺伝子を取り込ませます。

組み換え.jpg

そして、うまく遺伝子が取り込まれたES細胞を成長途中の受精卵の中に入れます。ES細胞は受精卵のもともとの細胞と混ざって成長して、待望の赤ちゃんが誕生!この赤ちゃんマウスはある部分はもともとの細胞から、別のある部分はES細胞からできています。体がまだらになったこのマウスのことをキメラマウスと呼びます。

 キメラ.jpg


やったー、できたー!

 

いえいえ、まだ終わりではありません。

 

研究をする上では、体中完全に遺伝子を組み換えた細胞でできたマウスでなくてはいけません。そのためには、まずキメラマウスの産んだこどもが必要です。

キメラマウスの精子を作る細胞がES細胞から作られていれば、こどもの体はすべての細胞が遺伝子組み換えできていることになります。

ただし、半分だけ

 

え?さっきすべての細胞って言ったじゃない!って思われましたか?

そうです、言いました。

 

ちょっと考えてみましょう。赤ちゃんが生まれるとき、お父さんとお母さんが必要ですね。マウスも同じです。しかし、キメラマウスは基本的にオスしか作れません。つまり、キメラマウスのこどもは、お父さんはキメラマウスですが、お母さんは普通のマウスなのです。

赤ちゃんはお父さんの遺伝子を半分、お母さんの遺伝子を半分もらって生まれてくるので、キメラマウスのこどもはまだ半分だけの遺伝子組み換えしかできていません。

キメラこども.jpg



では、完全に遺伝子組み換えされたマウスを作るためには、どうしたらいいでしょうか?

 

半分だけ遺伝子組み換えされたマウス同士から、さらにこどもを作ります。キメラマウスからみたら孫ですね。孫の世代のこども達の中に、25%の確率で目指していた完全に遺伝子組み換えされたマウスが生まれてくることになります。

 

ふー、長い道のりでしたね。

現在、病気の原因解明や薬を作るための研究などに欠かせない存在になった遺伝子組み換えマウスはこうして長い時間とお金をかけて作られているのです。

新藤研究室では、キメラマウスをつくることなく、直接受精卵に遺伝子組み換えする方法をつかって、遺伝子組み換えマウスの作成にかかる時間をもっと短く、かかるお金をもっと安くするための研究をしています。

 

さて、ブログ読んで未来館の研究棟に興味をもってくださった、あなたにステキなお知らせです。

8月22日、23日、24日に、未来館では研究棟を見学するツアーや研究者とふれあえるワークショップを開催します。

Miraikanオープンラボ~研究者の"秘密基地"を探検しよう!~
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1407141116999.html

ぜひ、ご参加ください!

 

 

おっと、そういえば。

言い忘れていたことがありました。

 

先に書いた①の遺伝子がうまく組み換わる確率ですが、

 

100万分の1です。

 

効率良く遺伝子組み換え動物が作れるようになって、もっと研究がスムーズに進むようになるといいですよね♪

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