人のきもち、読ミトレマスカ?―心理学者:田中章浩先生に聞く!

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こんにちは、みどりの本田です。

突然ですが、ちょっとした心理実験です

用意するのは紙とペンと定規だけ。

① まず定規を使って、10㎝の横線を書きます。

② この①で書いた横線に対して、垂直方向に、【定規は使わないで】【自分の感覚で】【10㎝】だなと思う線を書いてみてください。

このような感じです↓

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③ 最後に自分の感覚で書いた垂直な線が何㎝になっているかを定規で測ってみてください。

どうでしたか?ちなみに私が実際に書いた線は8.5㎝でした!8.5㎝の縦線が、下にある10㎝の横線と釣り合ってみえてしまっていたんです。自分が思う10㎝がかなり短かったことにおどろきです。

これは心理学では有名な「フィック錯視」というものです。

どうやら人間の視覚は、横よりも「縦」のラインを過大視しているようなのです。たとえば同じ10㎝だったら縦線の方が長く見えるんですね。

その理由には諸説あるようで、縦ラインをより長く見せた方が生存に有利だったことや、世の中縦長が多いとか、遠近感によって脳が縦ラインの方を長く見せようとしていることなど、議論に決着は付いていないそう...。

理由はいろいろあるにせよ、私たちが実際の世界を正確に見ているわけではないということはわかります。

なぜ正確に見ることができないのでしょうか?

目で見た情報は「脳」に届くわけですが、脳のちょっとした「クセ」みたいなものが、錯覚・錯視という現象を引き起こしているようです。

この脳のクセが、「経験や文化の差」によって出てくるのではないか?と考えた先生がいます。それが東京女子大学准教授の田中章浩先生です!

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田中先生は、今年の春から未来館に併設されている研究棟に入居し、実験している心理学者です。

目からの情報だけでなく、目や耳などから得た情報をもとにした「人の感情の読み取り方」についても脳のクセがあるのではないか?と考え、それを明らかにすべく、様々な実験をしています。

でも心は目に見えないし、どうやって実験しているんだろう?

先生に直接聞いてみました!

本田:どのような実験をしているのですか?

田中先生:たとえば日本人とオランダ人に実験に参加してもらいます。彼らには同じ映像を見てもらって、どのように感じたかを評価してもらいます。それでもし 日本人同士は同じ傾向で、オランダ人とは違う傾向が出たら、これは文化や生活環境の違いで出てきているかもしれない、と考察できますよね。そういったこ とをちゃんと数値に出していこうとしています。

本田:研究結果はどのように社会に役立つのでしょうか?

田中先生 :グローバル社会と言われる中で、これからもっと外国人が日本にも来るようになるでしょう。たとえばある外国人が、とても喜んで話しているのに、日本人から見た時には少し怒っているように見えることがあるかもしれません。そのことによって日本人が萎縮してしまってうまくコミュニケーションが取れなくなったりしたら、もったいないですよね?

本田:本当は喜んでいるんだから、そのままの感情を読み取れればお互いハッピーですね!でもそういうミスコミュニケーションがあったとしても、普通に過ごしていたら気づかぬまま。誤解していることにさえ気づけないですね。

田中先生:これをさらに活かそうとしたら、ちゃんと人間の感情を読み取れるロボットや、他の国の人々の感情を翻訳してくれる機械なども作れるかもしれません。

本田:田中先生は心理学だけでなく、ロボット技術などにもご興味があるんですか?そもそもなぜ心理学の道に進まれたのですか?

田中先生:心理学に興味を持ったのは、昔、親がファミコンを買ってくれなかったのが一因なんです。

本田:え?ファミコンと心理、どう関係するんですか?!

田中先生:ファミコンを買ってもらえなかった僕は必死でゲームをやる方法を考えたんです。なんとかゲームをやろうと当時プログラミングができるコンピュー ター「マイコン」と呼ばれるものの存在を知り、「マイコンを勉強に役立てるから」という理由で買ってもらい、簡単なゲームですけど自分でプログラミングし てインベーダーゲームみたいなものを作り、自分で楽しんでいました。

本田:小学生のうちからプログラミングできたんですね。さすが!

田中先生:でもプログラムって1文字違うだけでうまく表示されない。逆に言えば、ちゃんと表示されるときは、コンピュータと会話ができているなという感覚だったんです。

そういった経験から、「コンピューターと会話」というところに興味が出てきて、「人工知能」についてもいろいろ勉強してたんです。

そしたら、ある有名な人工知能の研究者がこんなことを言っていたんですね。

「そもそも人間の知能についてわかっていない!」

本田:ん~それは永遠の課題のような気もします...

田中先生:そこから僕は一気に知能とか、人間がどのように世界を認知しているのかということに興味が移って、「認知心理学」という今の研究領域に身を置いています。

本田:認知心理学とは、いわゆる臨床心理学のようなカウンセリングなどの分野とは違うのでしょうか?


田中先生:ちょっとアプローチが違いますね。心理学というと文系のイメージがあるかもしれませんが、人間の五感と言われる感覚器(目・耳・鼻・舌・皮膚)で どのように世界を認識しているかを理系的な実験によって分析し、心という捉え所がない分野に果敢に挑んでいる現在です。

本田:なるほど、文理融合でこれからの課題にチャレンジしていて、とても面白そうですね!先生、ありがとうございました!

...さて、この田中研究室の実験イベントを体験できるチャンスがこの夏到来!

ただし年齢にちょっと制限があります。

11~12歳の方、5~6歳の方はぜひぜひこの実験に参加してみませんか?

実験の後には心理学のことを少し学べるイベントも東京女子大の学生さん達がやってくれます。

学生の一人、井口さんは高校の倫理で出てきたフロイトに興味を持ち、田中先生の研究室へ。もう一人の河原さんはドイツに住んでいた時に、まさに「文化の差」を実体験として感じたそうで、田中先生の研究に関心をもったそうです。

保護者の方も実験後のイベントにはご参加いただけます!詳しいご案内は以下をご確認ください!

11~12歳の方はコチラです。

5~6歳の方はコチラです。

みなさんのご参加お待ちしています!

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この記事への1件のフィードバック

インタビュー面白かったです。ずっと脳の癖みたいな分野に興味があったので。外国の人との比較に加えて、他の動物との比較もやってほしいとおもいました。人は何歳から音楽を楽しむか。動物たちの右脳は音楽を聴いたとき喜んでいるのか。サイレンを聞いて遠吠えしているワンコの気持ちは?とかです。

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