アルクダケを体験できるのはあとムイカダケ!

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ブログをご覧の皆様、こんにちは。科学コミュニケーターの野副です。2015年7月15日に公開したメディアラボ第15期展示「アルクダケ 一歩で進歩」はもうご体験していただけましたか?展示期間は6月27日の月曜日まで。あと6日間だけです。おかげさまで公開以来、これまでに9万人を超える方々にご体験いただいております。......9万人ですよ、9万人!!

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なぜわたくしは「!」マークまで付けて「9万人」という数字を喜んでいるのか。その9万人の中身がすごいのです。あ、本題に入る前に、アルクダケってなんじゃそら?という人はこちらをどうぞ!

「いやいや、未来館の混みっぷりからしたら9万人なんてどうってことないじゃないの」って思うかもしれません(もちろん、混んでいるのは申し訳ないのですが)。それは確かにその通りで、年間を通して多くの方々にご来館いただいておりますので、その来館者数と比べたら、9万人は大きな数字ではありません。

ご体験いただいた方々はもちろんご存知ですが、実はこの「アルクダケ 一歩で進歩」は展示としてご覧いただくだけでなく、みなさんが研究に参加できる展示なのです。この研究は、『科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 「歩容意図行動モデルに基づいた人物行動解析と心を写す情報環境の構築」(研究代表者: 八木 康史)』の一部で、カメラで撮影した画像を解析して、歩き方の特徴を抽出し、それを個人認証に使うことを目的のひとつとしています。展示のタイトルには、みなさんが「アルクダケ」で研究に参加することができ、みなさんが歩いた「一歩一歩」で研究が「進歩」していくという意味を込めています。

arukudakecamera.jpg歩容個性計測で撮影に使っているカメラ

顔がはっきりわからないくらい遠くを歩いている人を見たとき、何となくあの人かなぁって認識できた経験ってありませんか?もちろん、歩き方以外にも服装や持っている物など、その人かもと思わせる要素はいっぱいあります。でも、腕の振り方、歩幅、歩く速さなど、歩き方の特徴で誰だかわかる場合もあります。そう、歩き方って人それぞれ「特徴」があるのです。カメラで撮影した画像からその特徴を解析し、歩いている人の特定やその人が何をしようとしているのか、何を考えているのかを明らかにできるようにするのが研究の目標です。

その研究になぜ大量のデータが必要なのでしょうか。八木先生の研究グループでこれまで扱っていたデータは、最も多くて約4000人分。これでもこの分野のデータとしては多かったのですが、歩き方の個性を使った認証技術をいろいろなところで使おうと思ったらまだまだ足りません。

例えば、土日やゴールデンウィークなど、多くの方々で賑わうときは迷子が発生することもあります。その際、わたくしたちスタッフは、「○○色のシャツと○○色のズボンの6歳の男の子が迷子」という連絡を受けて館内を探します。もちろん、どんな顔をしている男の子かわかりません。

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5F常設展 H-2A ロケットのエンジン「LE-7A」

こんなとき、館内に設置している防犯カメラと組み合わせた「歩容解析システム」が未来館に設置されていたら、映っている来館者の映像から歩き方の特徴を解析して、「6歳の男の子と思われる子供が5階常設展のLE-7Aエンジンの前を歩いている」と自動的に探し出すことができ、スタッフはいち早く駆けつけることができます。ほかにも、空港などで使えば、いち早く不審者を見つけることができるでしょうし、社員証などをかざして通るようなセキュリティゲートなどで、歩いて近づいているうちに認証してくれたら、いちいちかざす必要がないので両手がふさがった状態でもゲートを抜けるのがスムーズになるでしょう。そう、離れた位置から個人を特定できるのは、今のところ歩容認証技術だけなのです。

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防犯カメラが防犯目的だけじゃない時代はもう来ています。

これを実現するために必要不可欠なのは何でしょうか。「アルクダケ」で個人を見つけたり認証したりするとしても、実際には歩いている場所や周辺の状況はさまざまですし、同じ人でもその時々によって歩き方が変わる場合もあります。さまざまな場合に対応するためには、とにかくできるだけ多くの方々の歩き方のデータを集めて、汎用性のあるシステムにする必要があります。「こういう歩き方じゃないと特定できません」という技術だったら、迷子も怪しい人もわざわざそんな歩き方しないので使えないですよね。

もちろん、今回の展示で集めているデータは、解析しやすいように緑色の壁の前で横方向に向かって歩くだけなので、実際の歩行状態と違う部分はたくさんあります。それでも、未来館ならば過去約4000人のデータに比べて、幅広い年齢層のデータを集めることができていますし、昨年の7月から約1年間もデータ収集を続けたので、大量のデータには服装の変化なども含まれています。また、人によっては何回も体験しているので、同じ人が同じように測定したときにどのくらい結果がばらつくのかということを調べることもできます。こういった地道なデータの積み重ねで、一歩一歩、歩き方で人を特定する技術を社会で使えるようになる日が近づくのです。

でも、まだ足りないものもあります。それは社会の理解。防犯カメラがたくさんあると常に監視されているような感じがして、快く思わない人もいるでしょう。それでも、防犯カメラが普及し始めた頃に比べて、今では至る所にカメラがあるので慣れてきて気にしない人も多いと思います。今回の展示で紹介している技術がもっともっと進歩して、もっと安心で安全な暮らしが出来るとしたらどうでしょうか。防犯だけでなく、アルクダケで健康管理ができるようなサービスを実現するとしたらみなさんは使ってみたいと思いますか。......「カメラで撮影するだけでいろいろなことがわかる」ということを体験してもらった上でそのような未来社会を想像して、どのように使うべきかを考えるきっかけにしてほしいというのが今回の展示を企画した意図のひとつです。

それ以外にも展示の狙いやメッセージなどお伝えしたいことはたくさんありますが、とてもここでは書き切れません。続きは、6月25日に開催されるサイエンティストトークでお伝えできればと思います。トークのタイトルは「アルクダケ 1000万歩の進歩 -データサイエンスが切り拓く未来-」。今回の展示の体験で歩くのは、一人当たり百数十歩。9万人を越えるデータの歩数を合計すると1000歩以上になります。そのみなさん一人ひとりの一歩一歩のご協力への感謝も込めて、八木先生にお話を伺います。

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6月20日現在で約9.3万人。あと6日間で10万人!......はさすがにムリそうです。

その前に、展示を体験していただけたら、お話の内容はもっと楽しめると思います。月曜日時点での体験者数は約9万3000人。さて、あと「ムイカカン」でどのくらい増えるでしょうか。まだ体験していない人もすでに体験した人も、ぜひぜひご体験ください。サイエンティスト・トークへのご参加と合わせてお待ちしております!


サイエンティスト・トーク開催概要

「アルクダケ 1000万歩の進歩 -データサイエンスが切り拓く未来-」

開催日時: 2016年6月25日(土) 14:30~15:30

開催場所: 日本科学未来館 5階 コ・スタジオ

定員: 約50名 参加費: 入館料のみ

参加方法: 事前予約不要。直接会場までお越しください。

主催日: 本科学未来館

関連する常設展示: 3階常設展 メディアラボ第15期「アルクダケ 一歩で進歩」

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