ジャッジはキミだ!「脳科学の達人 2017 プレゼンプレビュー」開催!

みなさん、初めまして!
昨年4月から未来館で働きはじめました、科学コミュニケーターの毛利亮子です。

もしかしたらおやっ?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そうです!展示フロアでもみなさんによくお声掛けいただきますが......

私は未来館の館長・毛利衛の親戚......ではありません。
生き物と妄想と展示フロアでの対話が大好きな二児の母です。
これからはブログも書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします!

さて、今日のブログの目的は、イベント告知。
そのタイトルは、「脳科学の達人2017プレゼンプレビュー」!!!

私たちの身体や心の動きは、脳によってコントロールされています。
脳は、体重に占める割合こそほんの2%程度ですが、私達の心身すべてにわたる仕事をバリバリこなしてくれる、本当に頼もしい存在です。

でも、脳についてはまだまだ分からないことだらけ。
例えば、私達が腹を立ててカッとなった時、つい暴力をふるってしまう人とぐっと我慢できる人の差は何なのでしょうか。また、私達が寝ている時に見ている夢の正体って何なのでしょうか。

その脳や神経系の不思議を解明するための学問が、脳神経科学。
実は今週末、その最先端に触れられるイベント「脳科学の達人2017 プレゼンプレビュー」が未来館で開催されます(https://www.miraikan.jst.go.jp/event/1705111321336.html)。

この企画は、日本神経科学学会(https://www.jnss.org/)と未来館とのタイアップ企画。
日本神経科学学会は、神経科学の研究者が集まった学術団体です。
年に一度の年会では、会員向けの研究発表だけでなく、一般市民に向けた公開講座「脳科学の達人」が催されます。

「脳科学の達人」とはいったいどんなイベント?

登壇するのは、脳神経科学分野の第一線で活躍する研究者たち。
イベントでは、研究者がスポットライトの当たるステージ中央に立ち、印象的な体験やエピソードを盛り込みながら自身の研究内容を紹介することで、脳の謎を解き明かしていく興奮を会場のみなさんに味わっていただきます。

未来館でプレビューイベントが開催されるようになって、今年で3年目。
さて、今年はどなたが登壇してくださるのでしょうか!?

それでは、紹介いたします!

今年は、2週に分けて3名ずつ、合計6名の研究者が登壇してくださいます。
まずは、5月28日(日)開催のPart1の登壇者から。

勝野雅央(かつの・まさひさ) 氏

名古屋大学大学院 医学系研究科 神経内科学 教授「神経難病の治療に挑む:脳科学200年の戦い」
脳の一部や脊髄の運動神経細胞がうまくはたらかないことで筋肉がやせ細ってしまう、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)という難病があります。勝野氏は、動物モデルを使ってこの神経難病の原因を明らかにしました。現在は、そこで得た知見を元に、薬の開発を始めとした治療法の開発に取り組んでいます。

高橋阿貴(たかはし・あき) 氏

筑波大学 行動神経内分泌学研究室 助教
「けんかと暴力の脳科学」
動物にとって、攻撃行動は餌や交配相手を確保するのに重要ですが、行き過ぎると怪我をするリスクが高くなります。社会の中で生きる人間にとっては、評判を下げることにもつながります。攻撃行動を適切にコントロールすることは、生きていくためにとても重要なのです。高橋氏は、マウスを使って、行き過ぎた攻撃行動につながる生物学的なメカニズムを研究しています。

矢崎陽子(やざき・ようこ) 氏

沖縄科学技術大学院大学(OIST) 准教授
「歌を学ぶトリから学ぶこと」
キンカチョウは雄が雌との絆を深めるために歌を歌います。ヒナは、生まれて10日目から30日目までの間に父鳥の歌を覚え、その後に別の鳥の歌を聴いても覚えることはありません。矢崎氏は、キンカチョウの歌学習をモデルにして、幼少期に「聴く」という経験がどのように脳の発達に影響しているかを研究しています。

続いて、6月4日(日)開催のPart 2の登壇者。

神谷之康(かみたに・ゆきやす) 氏

京都大学大学院 情報学研究科 知能情報学専攻 教授
「ブレイン・デコーディング:脳から心を読む技術」
私達の脳の活動は、脳の血流変化を測定することで調べることができます。神谷氏は、脳の活動パターンから、私たちが見ている物やイメージしている物を解読する「ブレイン・デコーディング」のパイオニアです。脳の活動パターンをデコードする(暗号を読み解く)ことで、動きや感情を含めた夢の内容を読み取り、それを映像で再現する研究を進めています。

山田真希子(やまだ・まきこ) 氏

量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 チームリーダー
「ポジティブ思考の脳科学」
うつ病の症状はさまざまで、的確に診断するのは簡単なことではありません。これまでに、うつ病患者さんには「考え方の癖」があることが知られていました。山田氏は、脳の活動状態を調べ、患者さんの脳内で何が起きているのかを明らかにしようとしています。診断だけでなく、治療法の開発にもつながると期待されます。

和氣弘明(わけ・ひろあき) 氏

神戸大学大学院 医学研究科 システム生理学分野 教授
「光で迫る脳免疫細胞の機能」
脳内にたくさん存在しているミクログリアは、脳内の細胞が死ぬとそれを飲み込んで取り除くことで、脳内の環境を整える役目があります。和氣氏は、特殊な顕微鏡での観察から、神経細胞がネットワークをつくる子どもの発達期に、ミクログリアが重要なはたらきをしていることを示しました。現在は、精神疾患にミクログリアがどのように関わっているのかについても研究を進めています。

いかがですか?難病治療、けんかと暴力、トリの歌学習、ポジティブ思考、心の解読、脳のおそうじ細胞と、内容もバラエティに富んでいて、どのテーマもとても面白そう!

そして、このイベントの注目ポイントはもう一つあります。
それは、みなさんに登壇者のプレゼンのジャッジになっていただくこと!

参加者のみなさんには、プレゼンの後に、説明はわかりやすかったか?内容に興味がわいたか?研究者の情熱は伝わったか?などをジャッジしていただきます。「もう少しゆっくり話してほしい」「スライドの文字を大きくして」などのご意見も大歓迎!

登壇者は皆さんのご意見を参考にし、さらにプレゼンをブラッシュアップさせて、7/23(日)の本番、市民公開講座「脳科学の達人2017」に臨みます。
皆さんの率直なご意見が本番成功のカギになるかも!?

そして、プレゼンの後には、リラックスした雰囲気の中で、演者の方々を交えてご歓談いただく時間も用意してあります。
特に!将来、脳神経科学を学んでみたい高校生や大学生のみなさん!
ぜひ登壇者に実際の研究の様子などについて、いろいろ質問してください!

興味を持ってくださった方は、詳しい情報ついては未来館イベントページをご覧ください。

今回のイベントは、普段未来館でおこなわれるイベントよりも少し専門性が高くなります。イベント前に、私の方から参加者の方々に向けて脳神経科学の導入のお話もさていただきます。

私もその昔は日本神経科学会会員でした。
今から、脳神経科学研究のワクワクをみなさんにお伝えできるのが楽しみです。
当日はぜひ未来館まで遊びに来てください。
そして、脳神経科学の最先端の研究を一緒に楽しみましょう!
みなさんのジャッジをお待ちしております!

(参考)
「脳科学の達人」の過去の本番の様子は、以下のリンクからご覧いただけます。

・脳科学の達人2015(http://www.neuroscience2015.jnss.org/open_lecture.html
・脳科学の達人2016(http://www.neuroscience2016.jnss.org/open_lecture.html

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