生きもののつながりをさぐる旅(前編)

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お久しぶりです。科学コミュニケーターのチェンチェンです。


昨年 11月から2018年4月8日(日)まで、未来館で企画展「MOVE生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう!―」を開催しています。http://zukan-move.kodansha.co.jp/nareru/

週末は大盛況です!

チラシ.jpg

でも
「子ども向けじゃない?」
「楽しい体験がたくさんあるけど、何かを学んだり考えたりできるの?」
と思っている方もいるのではないしょうか。

今回のブログでは、子どもだけでなく大人もじっくり考えたり・体験したりすることができる内容を紹介します。
前編は企画展で紹介している生き物たちのつながりを探ります。後編は、企画展で気づいたつながりを広げ、常設展を楽しめるコンテンツを紹介します。

さあ、今回の旅はメキシコから南米北部からスタートします。
ここにはトカゲの1種であるバシリスクが暮らしています。

バシリスク.jpgのサムネイル画像By Marcel Burkhard-->User:Cele4 (Own work) CC BY-SA 2.0

「MOVE生きものになれる展」は様々な生きものになって、その生きもののスゴワザを体験します。
例えば、会場内ではバシリスクになって水上を走る体験コーナーがあります。

_DSC3705.JPG水辺に生息するバシリスクは、植物の葉や果実、昆虫、小型の鳥類、小魚などを食べます。天敵である鳥やヘビなどから逃がれるため、木の枝先をうまく利用しながら、なるべく遠くへジャンプしたり、1秒間に20歩の速さで水の上を駆け抜けたりします。

水上バシリスク.jpg

写真提供:企画展「MOVE生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう!―」

こんなスゴワザから読み解けるのは、バシリスクが暮らす環境とのつながり(=水辺と木をうまく利用していること)、また他の生きものとのつながり(=天敵などの生き物から逃げたり、昆虫などを食べたりすること)です。

バシリスクは木の低いところで暮らしていますが、木の高いところで暮らす生きものの場合はどうでしょうか?木の高さと生き物にどんな「つながり」があるでしょうか?
次は高い木のある中南米から東南アジアのボルネオへ行ってみましょう。ボルネオでは40〜70mまでの背の高い木がたくさんあります。10階建てのビルがだいたい30mですから、どれほど高いかがわかります。

1024px-Mount_kinabalu.jpgボルネオの森

上から眺めると、緑の海にしか見えないのですが、こうした熱帯雨林の高い木が作り出した空間は、気温や日当たり、湿度など、高さによって環境が変わるため、さまざまな生きものが高さによって住み分けています。下のイラストは「MOVEいきものになれる展」で展示しているパネルです。たとえば、「林冠層」では、若い葉が多く茂っているため、木々がくっつきあった連続する緑の回廊になっています。小型のサルが枝から枝へと飛び移りながら、食べ物を探します。しかも食べ物が豊富で、ヘビなどの天敵も少ないため、サルの楽園となっています。

イラスト.jpg

イラスト提供:企画展「MOVE生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう!―」

生きものと環境との付き合いは本当に興味深いですね。
また、ボルネオではカエルやヘビが空を舞います。カエルやヘビが飛ぶ?それはなぜでしょうか?木の高さと関係があるでしょうか?ぜひ企画展で詳しいお話と珍しい動画をご覧ください。

savanna.jpg写真提供:科学コミュニケーターの福井智一

ガラッと景色が変わりましたね。続いて、森からサバンナへ!
こんなに視界が広くて気持ちいい草原では、どんなつながりがあるのでしょうか?
例えば、ライオンとシマウマです。
企画展ではライオンの体験ができます。獲物に気付かれないようにうまく草やしげみに身を隠して......見事、シマウマに飛び掛かれるでしょうか?

シマウマ.JPG肉食動物は生きるために捕食のスゴワザを持っている一方、草食動物は食べられないように逃げたり逆襲したりするスゴワザを持っています(スゴワザの詳しい紹介は企画展にあります)。それぞれの素晴らしいスゴワザのおかげもあって、肉食動物と草食動物の数のバランスが保たれています。例えば、肉食動物が極めて少なくなったら、草食動物がどんどん増えて、今度は食べられる植物が激減してしまうでしょう。生態系が崩れてしまいます。それを防ぐのに、肉食動物、草食動物の双方のスゴワザが役立っているのです。肉食動物と草食動物の対立する関係も絶妙なつながりの一種とも言えますね。

ここで質問です!
草原でウシ、シカなどのフンはあまり見つけられないのですが、なぜでしょう?
答えはここ!

フンコロガシ.jpg写真提供:企画展「MOVE生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう!―」

実はほとんどのフンはフンコロガシなどの小動物・微生物によって分解されています。そして分解された物質は植物の生長に役立つ肥料として利用されています。
何もないように見えるサバンナでも複雑な「つながり」が生態系を維持するために機能しています。

次は陸上から海に潜りましょう。
こちらではペンギンになって、氷を滑りぬける体験があります。

滑り.JPG

水族館でペンギンの姿をよく見ますが、野生のペンギンは海を潜って何を食べるかな?
この謎を明らかにしようと、国立極地研究所の研究者は小型カメラをアデリーペンギンに付けて、その行動を調べています。そしてペンギンの意外な姿を発見しました。例えば、最大で1秒間に2回の速さで餌のナンキョクオキアミをゲットするスゴワザを持っていたのです!企画展ではオキアミを捕る瞬間の映像が紹介されています。
ナンキョクオキアミは南極海に生息し、エビのような形をしている小さな動物プランクトンです。その数なんと1兆匹、重さにすると10数億トンもあります。ペンギン、アザラシ、クジラなどたくさんの生きものの重要な餌です。こんな6cmくらいの小さなプランクトンが、南極海の生態系を維持するために大事なつながりとして存在しています。

南極オキアミ.jpgBy Uwe Kils, Wikipedia Uwe Kils CC BY-SA 3.0

今回のブログでは森、草原、海の中にある「つながり」から、私が面白いと思うのを挙げましたが、「MOVE生きものになれる展」ではなんと120種以上の生き物をパネルと映像で紹介しています(120種といっても、厳選したけっかなんです!)。それぞれの生きものにはそれぞれの「つながり」ストーリーがあります。皆さんはどれくらい見つけられるでしょうか?

こんな一つ一つのつながりを大切に編むと、私たちの地球の姿が現れます。

tsunagari_geo-cosmos_02.jpg

「生物多様性」という言葉をご存知でしょうか?
様々な生物がいるという意味ではなく、生きもののつながりを、私たちは「生物多様性」と呼んでいます。
私たち人間もこのつながりのネットワークの一部分です。
でも人間はこの地球のネットワークとどのようにつながっているのか?また私たち人間のスゴワザとはなにか?
次回のブログでは未来館の常設展を紹介しつつ、生きもののつながりをさぐる旅を続けていきます!

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企画展「MOVEいきものになれる展」をじっくり体験したり、パネルを読んだりしたい方にお勧め情報です。現状では週末よりは平日がねらい目です!お子さんを連れて、あまり並ばないでアトラクションをたっぷり体験できます。また会場で紹介している生きものの展示をじっくりご覧になることができます。皆さんのご来場をお待ちしております!

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