生きもののつながりをさぐる旅(後編)

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お待たせしました!チェンチェンです。


前回は企画展「MOVE生きものになれる展」で紹介している生きもののつながりを探りましたが、後編では未来館の常設展を見ていきながら、そのつながりをさらに広げていきます。
今回のブログでは「私たち人間はこの地球のネットワークとどのようにつながっているのか?」「私たち人間のスゴワザとはなにか?」について考えます。
では生きもののつながりをさぐる旅を続けましょう!

問い 私たち人間はこの地球のネットワークとどのようにつながっているのか?

ヒント シンボル展示Geo-Cosmos

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Geo-Cosmosは地球の過去・現在・未来のことを考えるための球体ディスプレイです。
さまざまな科学データを映すことで、地球を俯瞰的に見ることができ、地球への理解が深まって行かれます。たくさんの興味深いコンテンツを一日中上映していますので、ぜーんぶ見てほしいのですが、今回は生きもののつながりに関連するプログラム2つを紹介します。


1つ目は、「つながりのはじまり」です。
企画展でわくわくする体験を通して生きもののつながりを直感的に理解します。そして、Geo-Cosmosで科学データを通してその理解をより一層深めます。
例えば、海の植物プランクトンの繁茂と渡り鳥であるアジサシの移動。
北海道大学と米航空宇宙局(NASA) Earth Observationsは季節変化に応じた各地の植物プランクトンの繁茂状態をシミュレーションしました。
下の動画の赤色と黄色は植物プランクトンが茂っている様子です。冬になると南極周辺で大量に増えます。夏になると北極周辺に増えます。

面白いのは植物プランクトンの変化にともなって、アジサシが南極と北極の間で大きな移動をしていくことです。毎年なんと50,000~80,000キロの旅をしています。秋から南へ、冬になると南極周辺で越冬します。春から北へ、夏になると北極周辺で繁殖します。

ではなぜ植物プランクトンとアジサシには、このような興味深いつながりがあるのでしょうか?考えてみてくださいね。

2つ目は、ライブ実演「切れたら困る ネットワーク」

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個性あふれる科学コミュニケーターがさまざまなデータをGeo-cosmosに映しながら、私たち人間はこの地球のネットワークとどのようにつながっているのかについてトークします。
例えば、「クロマグロの動き」「樹木被覆図」のデータから、私たちは生きもののつながりから食べ物や酸素など、生きていくために必須の大きな恩恵を受けていることがわかります。
また「土地分類地図」「絶滅しそうな生物が多い国のマップ」のデータから人間活動の影響でこの大事なつながりがところどころ切れていることがわかります。実演の最後に、私たちはどんなことができるのかを皆さんに問いかけます。ぜひ未来館にお越しになり、科学コミュニケーターの実演を見ながら、一緒に最後の問いについて語り合いましょう。

ヒント 5階常設展示「地球環境とわたし」 ~人間は地球システムの一部~

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ライブ実演で「つながりがところどころ切れている」についてお話がありますが、
それをもっと本質的に理解できるのはこちらの展示です。
人間を含めすべての生きものは炭素、窒素、リンなどとても小さな元素からできています。それらは生きもののつながりに沿って、空気になったり、植物になったり、動物になったり、人間になったり、ウンチになったりしています。つまり、地球上のすべてのものはさまざまな形で循環しています。

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循環と言えば、少し身近なお話をしたいと思います。
もし体の血液がうまく循環できていないと、体の調子が悪くなります。中国の2000年前の医書『黄帝内経』に『經脉流行不止.環周不休』と書いてあります。2000年も前の人も、体内で絶えず巡っている循環の重要性がわかっていたのですね。
実は人間の体だけでなく、地球上のすべての物質が循環しているからこそ、地球というシステムがうまく機能しているのです。
実は、「つながりがところどころ切れている」のは、この循環が乱れているということなのです。その乱れを起こしているのは、私たち人間の活動であること、そして循環を維持するための工夫も、この展示は紹介しています。(詳細はぜひこの展示をゆっくりご覧ください。)

ヒント 3階シンボルゾーン展示「Geo-Scope」 ~人間は地球システムを変えうる~

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では、循環がうまくいかないと地球システムにはどんな異常が出るのでしょうか?
その一つは、地球温暖化です。
何かを燃やしたり、呼吸したりすることで大気中に放出される二酸化炭素は、海や陸の植物が吸収してくれています。これは循環の大事な要素でした。しかし、二酸化炭素の排出量が大きく増えたために吸収しきれなくなり、今、大気中の二酸化炭素がたくさん増えて、地球温暖化が発生しています。
Geo-Scopeはさまざまな科学データを自由に探ることができるタッチパネルです。
過去から現在までの二酸化炭素の濃度の変化や気温の変化、未来の地球のシミュレーションなどを見られます。

地球温暖化はよく聞きますが、科学データが語る事実は何度見ても驚きます。
ぜひ、こちらのブースにお越しください。

ヒント 5階常設展示「100億人サバイバル」 ~地球システムを変えると人間にも影響が出る~

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Geo-Scopeのデータからわかるもう1つのことは、人間活動は地球に影響を及ぼせるだけのパワーを確実に持っているということです。しかし、人間は地球のネットワークの中で生きているので、地球に与えた影響は結局、人間に返ってきます。
「100億人でサバイバル」は、私たちの命がどのような状況に置かれているのかを考えるものです。
「危険」の種はさまざまです。地震や津波、火山など、自然からの脅威がある一方で、人間活動に起源がある「危険」もあり、それはどんどん増えています。たとえば、工場などの事故がもたらす「汚染物質」、地球温暖化によって頻発する「スーパー台風」、飛行機や船によって地球規模で広がるようになった「感染症」などです。
では、新しい科学技術が次々と現れると、新しい「危険」の種も増えるのでしょうか?

ここまで読むと、人間活動が悪いと思うかもしれません。
でも、そうでしょうか?
科学技術の進歩とともに、世界に対する理解を深めたり、暮らしが便利になったり、人類の寿命が伸びたりしています。
人間は地球システムを変えつつも、地球のネットワークの一員としてその変化から影響を受けているという複雑な関係の中にいます。そこで、どのように科学技術を使うか、社会の仕組みをつくるか、暮らし方を選ぶかによって私たちの未来が変わります。

問い 私たち人間のスゴワザとはなにか?

ようやく2個目の問いにたどり着きました。難しい問いですね。
私の考えを紹介したいと思います。

ヒント 5階常設展示「ぼくとみんなとそしてきみー未来をつくりだすちから」

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こちらでは、人間のスゴワザとは何かを先端科学から迫ります。
二つの研究を紹介します。
1つ目は、ワシントン大学の研究者による、誰かが痛みを感じている場面を見ている人の脳の反応です。
光っているのは脳の反応エリア。図1.jpg

この研究から、実際に痛みを受けている人と、それを見ている人で、脳の同じエリアが反応することがわかりました。
つまり、人間は他者のことを自分のことのように理解することができるのです。これは共感といいます。私たちは他者に共感するスゴワザを備えているのです。
2つ目は、京都大学の研究者によるチンパンジーの研究です。
チンパンジーは、情報を瞬間的に記憶することができます。

人間はそんなに簡単にできません。
人間は瞬間的に記憶するよりも、情報を言葉にして他者と共有することが得意です。
チンパンジーは仲間が「ヘルプ」サインを出したら助けにいきますが、人間は頼まれていなくても助け合います。

つまり、人間は単独でいるより仲間とともに生きていくのを選んだのです。

聖書の創世記で「人が独りのままでいるのは良くない」と記されています。少なくとも約2,500年前の人も仲間の重要性がわかっていました。

人間は言葉を通じて共感し、ともに未来を作れることがスゴワザだと思います。

こんなスゴワザを持っている皆さん、どんな未来を作りたいですか?

今回のブログでは「私たち人間はこの地球のネットワークとどのようにつながっているのか?」「私たち人間のスゴワザとはなにか?」2つの問いを中心に、未来館の見方の一つを皆さんに紹介しました。皆さんが未来館を探険すれば、きっとまた違う感想や視点が生まれてくると思います。それをとても楽しみにしています。
ぜひ未来館の科学コミュニケーターと直接お話しをしてみてください。
すると、全然違う世界に飛び込むかもしれません!
生きもののつながりをさぐるブログの旅はここでおしまいになりますが、次は「MOVE生きものになれる展」と未来館の常設展を実際に楽しんでください。

------補足情報------
企画展「MOVEいきものになれる展」をじっくり体験したり、パネルを読んだりしたい方には、週末より平日がねらい目です!お子さんを連れて、あまり並ばないでアトラクションをたっぷり体験できます。また会場で紹介している生きものの展示をじっくりご覧になることができます(2018年2月中旬現在)。皆さんのご来場をお待ちしております!