フィジカルコンピューティングを考えてみる(その4)『ニワトリとくらす』

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電子のニワトリを飼ってみよう

諸説あるがゲーテは「もっと、光を」という言葉を残し、この世を去ったそうだ。

コンピュータに、"光の有無"を伝えることはできないだろうか?

それを"なるべく簡単に"実現したいと思う。

コンピュータに光を感じさせた結果、ゲーテのような台詞を言わせたいわけではない。朝日が昇るのと同時に「コケコッコー」と言わせてみたいのだ。

今回はコンピュータで、"電子ニワトリ"を作ってみる。

しくみを考えてみる

電子ニワトリは、

  • 昇る日の光を感じとる
  • 鳴き始める

この2つの動作をするものとする。

コンピュータに日の出を知らせるには、硫化カドミウム・セル(「CdSセル」と略される)を使う。

CdSセルは、硫化カドミウムに光が当たると電気抵抗が低下するという性質(内部光電効果)がある電子部品。カメラの露光計や、暗くなると自動で点灯する街灯などで利用されている。

※電気抵抗とは、簡単に言ってしまうと「電気の流れづらさ」。抵抗値が高いほど流れづらい。

CdSセルを日光が当たる場所に設置すれば、電気抵抗の低下から「朝日が昇った」と判断することができる。これを、その1で取り出したキーボードの中の基板(このブログで今のところ皆勤賞)を使ってコンピュータに伝える。

PCはキーボード基板から「朝日が昇った」という信号受け取ると、「コケコッコー」とニワトリの鳴き声を再生する。この部分を(本ブログでは、すっかりお馴染みの)文部科学省が公開している「プログラミン」でつくることにする。

以上のような仕組みで、電子ニワトリを作ってみよう!

当記事内で紹介する工作を実施した結果生じた損害に関し、独立行政法人科学技術振興機構、日本科学未来館及び著者は一切の責任を負いかねます。各自の責任と判断のもとに実施してください。

初心者の方は、必ず十分な知識がある方と一緒に作業してください。

「ホントに動作するか?」考えてみる

作り始める前に、本当に動くのか?...検証してみよう。こういった机上の検証作業も「ものづくり」の楽しさのひとつだ。

『CdSセルの抵抗値がいくつまで低下したら、キーボード基板が反応(キー押下信号を出力)し始めるか?』 を調べてみる。

使う物は、数本のコード付ミノムシクリップ、抵抗値を測るテスター、CdSセル、可変抵抗(10kΩ、Bカーブ)。

※Ω(オーム)は電気抵抗の単位。 「k(キロ)=1,000」「M(メガ)=1,000,000」、

可変抵抗とは、つまみを回すことで抵抗値が変化する部品。「10kΩの可変抵抗」という場合、つまみを端まで回すと10kΩになる。おそらく誰もがテレビやオーディオの色調調整、音量調整などでお世話になっている部品だ。変化の仕方の違いから、可変抵抗には「Aカーブ」と「Bカーブ」の2種があるが、今回は「Bカーブ」をお勧めする。「Aカーブ」でも動作はするが、かなり操作しづらくなる。

1. 可変抵抗を右いっぱいに回しておく

2. キーボード基板の[↑]キーを出力する2端子(その1参照)に、下図のように可変抵抗(10kΩ)をミノムシクリップでつける

キーボード基板に可変抵抗をつなぐ

 

3. キーボード基板をPCに接続する

4. PCが[↑]キーに反応し始めるまで、可変抵抗をゆっくりと左にまわす

反応するとカーソルが上に動く

メモ帳を開き、カーソルが上に動き出すところを見つける。

反応しない場合は可変抵抗の値を20kΩに変え、1からやりなおす。

 

5. PCが反応したら、つまみを動かさぬよう可変抵抗を取り外し、下図のようにテスターに接続し抵抗値を測る

こうして求めた抵抗値は、約5kΩ。私の手元にあるキーボード基板は、「5kΩ未満の抵抗がつながった場合、[↑]キーを出力する」ということがわかった。

では、CdSセルの抵抗値はどうだろうか?

下図のようにテスターとCdSセルをつなぎ抵抗値を測りながら、屋外、室内、机の下などを、うろうろしてみる。

CdSセルの抵抗値は、暗い場所では「2MΩ以上」となり、明るい場所では「1kΩ以下」となった。

先の計測からすると、CdSセルをつないだキーボード基板は、暗い場所ではCdSセルが5kΩ以上なので反応せず、明るい場所では5kΩ未満となるため反応するということがわかる。

結論、これはいけそうだ。

「できる」とわかってから作り始めた方が、やる気が出てくるものだ。

つくってみよう

以下のように、ミノムシクリップを使ってつなぐ。

5kΩの可変抵抗は、反応する光の強さを調整するためにつける。左にひねるほどに感度が上がり、右いっぱいまでひねると一切の光に反応しなくなる。

上記の検証結果から可変抵抗5kΩの値を決めたが、10kΩでも動作する。もし、感度調整が不要ならば接続しなくても良い。

PC側は「プログラミン」で作る。詳細は以下の画面写真と、こちらのサンプルを参考にしていただきたい。

 

 

やってみよう!

「プログラミン」を再生し、CdSセルを窓辺にもっていったり、手で覆ってみる。

窓辺で電子ニワトリが鳴き始めたら、成功だ。

CdSセルを手で覆い、スペースキーを押せば電子ニワトリはだまるようにできている。

感度が良すぎて電子ニワトリが鳴きっぱなしになったら、可変抵抗のつまみを右にまわし調整する。

■動画でおさらい

 

最後に

秋葉原などで電子部品の販売店に行くと、子どもの頃通った駄菓子屋を思い出します。

今から20年以上前、駄菓子屋は街にたくさんありました。店内には棚いっぱいに人工着色料で彩られた駄菓子が並び、ひとつひとつが10円、20円という"子どもに優しい値段"で売られていました。

現在、駄菓子屋は絶滅寸前となり、そんな光景を見たり、数十円の買い物をする機会もほとんど無くなりました。

私の家の近所にあった駄菓子屋も閉店後取り壊されて、悲しいことにコンビニエンスストアとなったようです。

現代に存在するものの中で、あの頃の駄菓子屋に近いものを感じるのが電子部品屋です。

電子部品屋の棚も同じように、虹色のフラットケーブルや抵抗器、発光ダイオードがきらきらと輝き、それらも10円、20円から売られています。それらをトレーにのせ、合計数百円の買い物をするのは何だか懐かしい気持ちになるのです。

電子部品のひとつひとつには、興味深い歴史とたくさんの科学技術が詰まっています。

そんな歴史と科学技術の結晶を、10円、20円で購入し、気軽にものづくりができるのですから贅沢なものです。

電気街に行く機会があったら、みなさんもぜひ電子部品を手にとってみてください。

次回は、電子工作で「世界がひっくり返ります」...この意味は!? おたのしみに!

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