SFを科学する ~スター・ウォーズ編③~ 宇宙空間から生還したすごいやつ

このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、科学コミュニケーターの佐尾です。SFから科学技術を探る私のブログシリーズ、前回はスター・ウォーズから宇宙と生命を考えました。今回はその続きです。

宇宙空間での戦闘シーンはスター・ウォーズの大きな見どころの一つ。かっこよすぎて何度観ても見飽きることがありません。

しかしこの宇宙という戦場、地球上のあらゆる戦場とも根本的に異なるとんでもない世界なのです。

空気が全くない真空の世界

零下270℃の極低温度の世界

強烈な宇宙放射線が飛び交う世界

さて問題です!宇宙船が攻撃を受けて生身で宇宙空間に放り出されたら、人間はどうなるでしょう?

答えは簡単ですね。生きていくことは不可能です。

しかし、地球上にすむ動物で、この過酷な宇宙空間に放り出され、生還したすごいやつがいるのです。

その名はクマムシ体長は0.05~1.7mmときわめて小さいのですが、れっきとした動物です。

写真はこれ。

欧州宇宙機関 ウェブサイトより

NASA ウェブサイトより

なんだかそのままでスター・ウォーズの異星人として登場できそうな姿形をしていますが、地球上のありとあらゆる環境に生息し、土壌や池の中など、身近にも存在する生き物なのです。

実はこのクマムシ、乾燥した環境では代謝速度が1万分の1になる乾眠という状態になります。この状態ではこれ以上の低温はないという絶対零度に近い-272℃から151℃もの高温でも生き続けることができ、ヒトの致死量の1100倍以上の強い放射線や数年間の乾燥にも耐え、75,000気圧の圧力下でも生き延びることができるという、まさにとんでもない能力の持ち主なのです。

そこで欧州宇宙機関は2007年に実験衛星を打ち上げ、乾眠状態のクマムシを10日間宇宙空間にさらし、果たして生き延びられるかどうかの実験を行いました。その結果、なんと紫外線だけをカットして宇宙空間の真空や宇宙線にさらされた場合はほとんど地球上と変わらずに復活し、繁殖して子孫をつくることさえできました。これに加えて太陽からの強烈な紫外線も浴びた場合にはさすがに生存率は低下したものの、それでも一部が生還できたらしいのです。

すげーぜ!クマムシ!

前回のブログでは、宇宙には私達の想像もしない生命体が存在してもおかしくないのではというお話をしました。私達の身近に存在するクマムシが宇宙空間に耐えたのならば、ひょっとすると宇宙にはもっと宇宙空間に強い生命体だっているかもしれません。

スター・ウォーズの戦闘シーンはあくまで宇宙空間では生きていけない人間を想定したもの。もしそこに知性を備えながら宇宙空間に耐えられるとんでもない生命体が存在したならば、あのかっこいい戦闘シーンは全く違うものになっていたかもしれませんね。

さて、私のブログは「SFを科学する」といいつつ、まだスター・ウォーズしか書いていませんね。そこで次回からは他のSF作品も書きつつ、スター・ウォーズの連載も続けるつもりですので、楽しみにしていてくださいね。

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

この記事への4件のフィードバック

クマムシ

こいつはすごいですね!!

宇宙空間で生きていられる生き物なんて

あるんだ・・・。

生き物ってすごいなぁ

ただ、クマムシの巨大な奴が宇宙で漂ってたら

思わず戦ってしまいそうです。

syuhon様

コメントありがとうございます。

私も宇宙空間に耐える生き物なんて、この事実を知るまでは想像すらしていませんでした。クマムシ、本当にすごい生き物ですよね。

宇宙空間で巨大クマムシ遭遇したら、、、私は臆病者なので思わず逃げ出してしまうに違いありません。でも、もし私がジェダイの騎士でライトセーバーを持っていたら、逃げずに果敢に挑みますよ!

今後もスターウォーズを題材にしたブログを書いていきますので、ぜひよろしくお願いします。

クマムシは凄いですね。

 甲殻類は生命力が強いものが多いです。宇宙空間とは真逆な環境の深海では、熱泉源にエビ、カニが群がって生きています。高圧力、高温度の中でも甲殻類は生き続けていますね。

 クマムシも宇宙服が甲殻の役目をして、内部の生命維持組織を守っているのかもしれませんね(^^)v

佐藤様

こちらも返信が遅くなってしまい、すみません。コメントありがとうございます。

クマムシは緩歩動物門と呼ばれる分類に属しているようですが、以前は甲殻類のいる節足動物門に入れられることもあるようです。見た目は確かに甲殻類みたいですね。

未来館にもユノハナガニという深海に住む甲殻類を飼育していますが、彼らは400~1600メートルの深海に生息できるだけでなく、未来館の水槽のような常圧の環境でも生きていけます。

クマムシやユノハナが二のように、地球上には私達の想像を超えた環境に適応できる生き物がいて、本当に生命のたくましさに驚かされます。これからも機会があればこのような面白い生き物たちをブログで紹介していけたらと思っています。

コメントを残す