社員が数十人で、パソコンが一台しかない会社!?

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みなさん、こんにちは。科学コミュニケーター(クミコミュニケーター!?)の志水です。

前回、ご紹介したように組込みシステムは基本的には「入力装置」「制御装置」「出力装置」のたった3つでできています。今回は、組込みシステムの制御装置で、どのように処理が行われるのかご紹介したいと思います。

「きっと複雑な仕組みで動いていて、理解するのが難しいのでは……」と思われる方が多いかもしれません。しかし、制御装置を「会社」に置き換えて考えると意外にすんなりわかってきますよ。スマートフォンなどの組込み機器の中で、どのように処理が行われているのかイメージできるようになるはずです。

とあるデジカメ商事のひととき

制御装置を会社に置き換えると、下のイメージ図のようになります。ここでは、分かりやすいようにデジタルカメラを例にして、シャッターボタンが押されてから、実際にシャッターが切られて撮影されるまでの流れを表しています。デジカメを例にしているので、会社名は「デジカメ商事」としましょう。

では、制御装置で、どのように処理が行われるのか順を追って見てみましょう。

この例では、デジカメ商事の依頼元(入力装置)をシャッターボタンにしています。納品先(出力装置)はシャッターです。

まず、シャッターボタンが押されたら、シャッターボタンは郵便受け1に「シャッターボタンが押されました」という手紙を投函します。郵便受けは、入力装置および出力装置と、制御装置との間で情報をやりとりするために使用されます。どの郵便受けを、どの入力/出力装置が使うかは予め決まっています。

手紙を投函したシャッターボタンは、ボタンが押されたことをボタン受付係に知らせます。どの動作を、どの受付係が担当するのかも、予め決まっています。

知らせを受けたボタン受付係は、予め決められている手順に従って、郵便受け1を見に行きます。郵便受け1に投函されている手紙から、押されたのが「シャッター」ボタンであることが分かります。(ボタン受付係はこの時点まで、何のボタンが押されたかは分かりません。)

手紙を確認したボタン受付係は、次に、撮影係にシャッターボタンが押されたということを伝えるよう管理係にお願いします。(このように、係同士の連絡は、基本的に管理係を経由して行います。)

依頼を受けた管理係は、撮影係にシャッターボタンが押されたことを知らせます。

知らせを受けた撮影係は、写真保存領域の空き容量や電池残量を調べて、撮影して良いかどうかを考えます。結果、撮影して良いと判断したら、「シャッターをきって下さい」という手紙を郵便受け4に投函します。この手紙の投函が、デジカメ商事の「納品」となります。

納品先(出力装置)であるシャッターは、受け取った手紙に従って、シャッターをきります。

平和に見えるデジカメ商事ですが・・・

このように制御装置では、入力/出力装置と情報交換しながら、各係が協力して仕事を行っています。ここで、注意しなければいけないのは、各係は作業をするときに必ず共用パソコンを使う必要があるということです。スマートフォンなどの高機能な組込み機器では、係の数が数十人というのも珍しくありません。社員が数十人いるのに、パソコン一台で仕事をしているのです!とっっても、過酷な作業環境です※2。

これでは、一台のパソコンの奪い合いになってしまいそうです。その調整を行っているのが管理係、すなわちOS(オペレーションシステム)と呼ばれるソフトウェアです。OSは、一台しかないパソコン(コンピューター)を誰がどのタイミングで使うかを、細かく調整しなければなりません。しかも、組込み機器は、決まった時間内に仕事を終えなければなりません。シャッターボタンを押したのに、撮影されるのが10秒も20秒も後になってしまったのでは、役に立ちませんよね。この時間的要求を満たすことを、「リアルタイム性がある」といいます。従って、組込み機器のOSは、リアルタイム性を実現する能力を持っていないといけません。そのようなOSを、リアルタイムOSといいます。

今回は、制御装置で、どのように処理が行われるのかご紹介してきました。みなさんも、ぜひ、普段使っているスマートフォンなどの組込み機器が、どのような係によって動いているか想像してみて下さい。ちなみに、デジカメの場合は、イメージ図に載っている係の他に、電源係(電源を管理する)やディスプレイ係(液晶ディスプレイの表示を管理する)、画像処理係(撮影した映像を写真データに変換する)などが考えられます。

※2 最近は、複数のコンピューターを搭載した組込み機器も多く登場しています。その場合、コンピューターの数に応じてパソコンがあるものと考えてください。

次回は・・・

次回は、OSについて、詳しくご紹介したいと思います。OSって最近良く聞くけど、一体何をしているものなの?と思われる方、必読です!

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