南の国から考える ~電気編~

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こんにちは、科学コミュニケーターの高田真希です。

前回に続いて南の国マーシャルで考えたことを、電気をテーマにお伝えします。

この夏の電力不足で、電気の大切さを再認識、あるいは初めて考えた方は多いことでしょう。東日本大震災後は各地で計画停電が行われましたが、それ以前、日本の停電時間はどれ位だったのでしょうか?答えは年間で「16分」です。これはアメリカの162分、イギリスの100分などと比べると際立って短い時間です。

一方のマーシャル。首都の島は全長50km、幅は最大で2kmという狭い土地のため、発電所の建設は容易ではなく、島に1基の火力発電所があるのみです。この発電所は頻繁に故障したり、燃料が足りなくなったりするので、停電は3日連続や1日8時間などは当たり前です。

そんなに停電が多くて生活に支障はないのでしょうか?答えは「あまりない」です。

例えば主要な道路が1本しかなく、もともと信号がない首都の島では、停電が交通に与える影響はゼロです。また学校でも、教室に電灯がなく明かりは窓からの自然の光だけ、というところが多く、ここでも停電の影響はありません(教室に電灯のある学校では停電=休校となり、生徒も先生も「わーい!」と帰っていきます)。エアコンが使えなければ外へ出て、木陰で涼みます。停電は雨が降るのと同じくらい自然なこと。人々は停電と共存しているのです。

さらに、人の住む島が20個以上もあるマーシャルでは、発電所のない島も多くあります。私もそのような島で3週間生活しました。電気がないので、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコン、インターネットなどはありません。冷たいジュースを飲むことはできませんし、日本で何が起こっているか知ることもできません。お金は持っていましたが、電気を買うことはできなかったのです。3週間という短い期間でしたがそのような環境で生活すると、日本では当たり前のように思っていた便利さがお金で買えないものだと体で理解でき、とても新鮮な気分でした。不便な生活ではありましたが、満月の夜、月の光で子どもたちが海辺で遊んでいる様子を見たときは、本当に豊かな生活だなぁと思いました。

ところで今、発電所のない島でソーラーパネルの導入が進められています。海外からの援助によって、下の写真のような太陽光パネルが各家庭に1基から数基取り付けられているのです。ソーラーパネルによる発電量だけで各家庭に豊富な電気がもたらされるわけではありませんが、夜の数時間、部屋を明るくするためなどに使われています。

[caption id="attachment_6268" align="alignnone" width="300" caption="離島のソーラーパネル(写真中央)"]離島のソーラーパネル(写真中央)[/caption]

日本では火力発電と原子力発電で発電量の約90%を占めます。太陽光発電や風力発電などの新エネルギーの割合を増やす取り組みが進められていますが、割合は約1%と低いのが現状です。ところがマーシャルの多くの島では、初めての発電イコール太陽光発電なのです。つまり発電の割合は太陽光発電100%。この数字だけを見ると、日本のずっと先を行っている印象も受けます。

 

日本の生活もマーシャルの生活もそれぞれに良いところがあるし、日本にいる私たちがろうそくの生活に戻る必要もありません。ですが、今後、化石燃料は枯渇するかもしれませんし、原子力発電も安全面での懸念が高まっていて、電力には多くの課題があることも事実です。5年後、10年後、私たちはそのように電気と付き合っているのでしょうか。それは私たちの生き方にもつながることだと思います。

次回は「南の国から考える」、最終回です。私たちの住む日本は四方を海に囲まれ、豊かな水に恵まれた国です。ところが―。海に囲まれた島国で水不足、こんなことってあるのでしょうか?マーシャルは島国でありながら、山も川もないために度々水不足に直面しています。そんなマーシャルで考えた「水」についてお届けします。お楽しみに!

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