クロスカップリングよ、永遠に

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こんにちは、恋愛コミュニケーター(?)の荒川です。これからクロスカップリングの話をします。クロスカップリング反応は2010年のノーベル化学賞をの受賞理由となった化学反応です。せっかくカップリングの話なので、やはりここは恋愛と絡めて紹介していきますよ!

 

カップリングと聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?当然、男女のことを思い浮かべますよね。大好きなあの子とあんなことやこんなことがしたい!!世の中の男はだいたい四六時中そんなことを考えながら生きているものです。否定されようが、白い眼で見られようが、これは自然の摂理です。

 

さて、化学の世界でも、化学物質は二種類に大きくわけることができます。電子が不足しているか、電子が余っているかの二種類です。それらは電気的にプラスかマイナスになっており、プラスのものは必ずマイナスのものを求めます。これは自然の摂理です。

 

最近は「草食系」、「肉食系」などという言葉が流行しているようです。肉食系男子は女子への欲求を抑えることなく、感情の赴くままに行動に現しがちなタイプの男子のことで、草食系男子は女子への欲求が少ない、もしくはあるのにも関わらずそれを理性で抑えて表に出さないタイプの男子のことです。草食系男子は、自分から女子にアタックすることはまずありません。あ、ちなみに僕は「普通」です。

 

化学の世界でも同じ電子が不足している化学物質でも、不足の度合いによって反応性が変わります。不足の度合いが強いものは激しく電子を求めるので、空気中に出すと発火したり、爆発したりするようなものまであります。一方、不足の度合いが少ないものは、マイナスのものを求める力も弱く、取り扱い上の危険性も少ないです。反応性が低いため、電子の余っている化学物質に対しても、通常の条件ではアタックしません。

 

放っておいても、もじもじしていて煮え切らない草食系男子。女の子に興味があるのはわかってるんだよ!草食系のA男が、大好きなB子さんと見事恋愛を成就させるためには、何が必要でしょうか? そう、第三者の協力です! 「ねぇねぇ、ちょっとA男くん、本当はB子に興味あるんでしょ?話してみなさいよ!」「え、でも僕・・・」「い い か ら !ほら!男を見せてきなさい!」「あっ・・・、うん・・・ねぇねぇ、B子さん・・・」「なに?A君」

その後なんと無事にB子さんとデートに出かけることに成功したA君。カップリングの仲立ちをした謎の第三者の女の子は、いつのまにかいなくなっていました。

 

化学の世界へ戻りましょう。電子の不足の度合いが少ない、マイルドな化学物質が反応するためには、第三物質の協力が不可欠です。鈴木カップリング反応では、電子不足の臭素化合物に、まずパラジウムが取り付きます。その後パラジウムと一緒に臭素化合物は、電子豊富なホウ素化合物と反応し、臭素化合物とホウ素化合物がカップリングすると同時に、パラジウムは脱離します。

 

 

これがクロスカップリング反応の概要です。マイルドな化合物を反応させるために、パラジウムが仲立ちをする必要があります。反応性の高い化合物を使えば仲立ちは必要ありませんが、実験者に危険が伴いますので、最近ではマイルドな反応が多く開発され、好んで用いられています。パラジウムのような反応の仲立ちをするもののことを、「触媒」と言います。

 

先ほどの草食系・肉食系ですが、草食系男子の方が今は好まれるという話を聞いたことがあります(ちなみに僕は普通です)。クロスカップリング反応が開発されたのは今から30年以上も前のことですが、それ以前は空気中で発火するような激しい化学物質ばかりが使われていました。マイルドな化学反応が主流になった今、ようやく化学が現実の恋愛に近づいた、と言えますね。

 

未来館では、展示フロアで開催しているサイエンスミニトークの時間に、クロスカップリング反応の実験を行っています。ミニトークは不定期開催ですが、実際に化合物がカップリングする瞬間を見てみたいという方は、それ以外の時間でもお見せすることができるかもしれませんから、ぜひフロアで僕に声をかけてくださいね。

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この記事への4件のフィードバック

昨日は超伝導のお話と科学コミュニケーターについてのお話を伺いありがとうございます。今度はもっと早く伺いじっくり色々見ようと思います。

私は、クロスカップリングとは逆に触媒というお見合い好きの仲人が主となる古来の恋愛様式であるという案を出してみたいと思います。箱入り娘のボロンがパラジウムに手を引かれるというのはいかがでしょうか?

C-H活性化、ホモカップリングとの関係など説明に頭を悩ませるものは多々あります。

超伝導実演場所の前でお話させていただいた方ですね。コメントありがとうございます!ぜひ次の機会は早い時間にいらしてください。

ホモカップリング(ホウ素化合物同士がカップリングしてしまう副反応がある)をこの説明に加えるとなると、確かに大変なことになりそうです。しかしそれもまた、現代の多様化した恋愛観を現しているとも言えるのかもしれません。

もちろん、なんでもかんでも例を用いて説明する必要があるとは思いませんけれども。

荒川様

たしか、5月ごろ、荒川さんに1時間以上
マンツーマンでご教授いただきました、
田原と申します。
未来館は、本当にすごい。
コミュニケーターの方がぐいぐい来てくれて。
これで1000円そこそこなのがすごいですね。
それはそうと、
ついに、光よりも早い粒子が発見されました。
大変な、大変なことです。
このネタを持って、未来館にいくのが
楽しみです。

田原さま

コメントありがとうございます!

楽しんでいただけたのでしたらうれしいです。またぜひご来館ください!光より速い粒子に関しては同じく科学コミュニケーターの林田の記事も、あわせてご覧ください。

未来館は、常設展のみでしたら600円でご入館いただけます。科学コミュニケーターは主に常設展でお客様とお話することを楽しみにしています。ニュートリノやiPS細胞など各専門に通じたコミュニケーターやボランティアスタッフもおりますので、どんどん話しかけちゃってください!

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