カードもんも、Magic Cards!

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こんにちは、展示開発課 情報科学担当の鈴木です。

情報科学を担当する科学コミュニケーターは非常に少ないので、一騎当千になれるよう日々邁進しています。

もんもシリーズ、最後のもんもはカードもんも、その正式名称はMagic Cardsと言います。

今回は情報科学担当らしくアルゴリズムについても触れてみたいと思います。

Magic Cardsはお留守番をお願いするように「ここを掃除しておいてね」「このゴミ箱はこっちに動かしておいて」と指示できるもんもです。

展示にあたっては神山 洋一さんと石井 健太郎先生に毎夜遅くまで協力していただきました。

『「もんもとすむいえ」のご紹介』という記事にて「万能ロボットでもげんなり」というたとえ話を書きました。

人間には指を指して「このあたり」と言えるのにロボットには「どのあたり?座標で言って!」と言われてしまう問題です。

これを解決するのにMagic Cardsはカードを使っています。

これまでの記事を読んできた方ならピンと来たことと思いますが、天井にカメラがついていて、カードの内容と場所を覚えます。

実際に掃除をするのはiRobot社のRoombaを少し改造したものです。

既製品を使う利点は「替えがきく」「耐久性が高い」というお話をサッカーもんも(Walky)の回でもしましたが、さらにRoombaを使えると言うことは既にRoombaを持っている人は少し改造するだけで良いという利点もあります。

ここで注目したいのは物を動かすRoombaの動きです。

タッチもんも(TouchMe)ではアームで物を掴んで動かすことができました。

MagicCardsは配膳もんも(Snappy)と同じく、腕がないので自分の体で押すことしかできません。

皆さんも身近な消しゴムか何かで試してみてください、指一本だけで物を押して移動するには物の大きさや中心位置が重要なことがわかります。

どちらに押せばどの向きに動くか、もんもたちはどうやって考えているのでしょうか?

研究統括の五十嵐健夫先生と神山さんは動かしたい物体の周囲にダイポール場という架空のポテンシャルを考えました。

ポテンシャルとはある場所に働く力のことで、ポテンシャルがある場所を力場(りきば)と呼んだりします。

ダイポールは日本語で双極子と訳されます。

身近な双極子は棒磁石。

片方がN極、もう片方がS極と力関係が対になっているものです。

今、ロボットと動かしたい物があったとします。

それぞれの場所に棒磁石が立っているとその磁力線は近ければ近いほどカーブを描きます。

このカーブに沿って物を押すと狙った方向に動かせるんじゃないか!と実験を重ね、それぞれのもんもに応用されたのが「非把持物体搬送アルゴリズム」です。

今の状態によって次にどうするかを決める、いわば手順書のことを情報科学ではアルゴリズムと言います。

よく引き合いに出されるのはバラバラになっている数字を順序よく並べ替える整列アルゴリズムですが、物を掴まずに(非把持)物体を動かす(搬送する)のもアルゴリズム化できてしまうんですね。

ちょっと難しい話になってしまったので、最後にエラーもんものお話。

今回の展示ではお見せできないのですが、Magic Cardsには小さなプリンタ付きのRoombaがいます。

たとえば人間が意地悪してRoombaが掃除できないところにカードを置いたりしたとき、普通のロボットなら困り果てて途中で動かなくなってしまうかもしれません。

でも、Magic Cardsはできる範囲でお留守番作業をがんばります。

そしてできなかった作業には「ごめんなさい」と書き置きを残すのです。

プリンタ付きのもんもがいることで「『この3カ所を掃除』はよくお願いされるから、まとめたカードを作るよ」と新しくカードをつくったり、

「この作業はたぶん30分ぐらいかかるね」ともんもが言いたいことを人間に伝えるための手段となります。

人間からロボットへ一方的に指示するのではなく、ロボットの言い分も人間にきちんと伝わる。

一緒に住むためにはとても重要な要素です。

【これまでの「もんも」記事】

  1. 「もんもとすむいえ」のご紹介
  2. 裏話「もんもって何ですか?」
  3. テーブルもんも、CRISTAL!
  4. 風もんも、AirSketcher!
  5. スイッチもんも、Push-pin!
  6. 時間もんも、CastOven!
  7. 料理もんも、Cooky!
  8. 配膳もんも、Snappy!
  9. サッカーもんも、Walky!
  10. ダンスもんも、RoboJockey!
  11. タッチもんも、TouchMe!
  12. 洋服もんも、Foldy!

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