「大切なのは自分で答えを探すことなの」 ~映画「コンタクト」より~

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みなさんこんにちは。科学コミュニケーターの豊田です。

まもなくクリスマス&お正月。家でDVDを見る、なんて機会が多い人もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今日は、私のお気に入りの映画をご紹介します。

[caption id="attachment_10277" align="aligncenter" width="269" caption="14年前の映画のパンフレット、今でも宝物です"][/caption]

私がお気に入りの映画、それは「コンタクト」です。1997年に公開されたジョディ・フォスター主演の映画。気になる内容は?…ぜひ見ていただきたいので、詳しくはお伝えできませんが、地球外生命体とのコンタクトを目指す女性天文学者エリーの心の成長を中心に、科学と宗教の対立、運命的な恋愛展開、などなどが盛り込まれた作品です。

私がこれを初めて見たのは、高校生の頃。星を見るのが好き!→将来は天文学者になりたい!!と思っていた私ですが、ちょうどこの頃学校の成績がイマイチで、でもなかなか勉強をする気にもなれなくて、日々悶々と過ごしていました。その時に、友達から薦められたのがこの作品でした。

作品を見終わった後…私には何ともいえない、雷に打たれたような衝撃だけが残りました。自分の甘さを恥じる気持ち、エリーのかっこいい姿への憧れ、そして宇宙に対する熱い想いが、一度に激しくかき混ぜられたような気持ちになりました。その日の夜、部屋の奥にしまってあった双眼鏡を使って、久しぶりに夜空を見上げてみました。そこには青白く輝く昴が。その美しい輝きは目の奥に留まって、その後の私の受験勉強の励みになりましたし、今でもその光景を思い出してはヤル気とパワーを得ています。

[caption id="attachment_10278" align="aligncenter" width="400" caption="          青白く輝く昴、今見頃です"][/caption]

NASA(http://apod.nasa.gov/apod/ap060109.html)より

その後、大学、大学院、社会人と経験していく中で、天文学者とは違う道を歩みましたが、科学が世の中に貢献していることを、教育を通して伝えたり、モノを作って感動させたりして伝えたい、という思いはずっと持ち続けていました。

最近偶然にも、私が未来館の科学コミュニケーターに応募したときの履歴書のコピーを見つけ、見返してみました。志望動機の欄には「科学が世の中に役立っていることを、私の経験や創意工夫を通して、来館者の目線に合ったものにして伝えたい」と書かれていました。

私が未来館で科学コミュニケーターとして活動して3年が過ぎ、上記の私の想いが達成されたか?…というと、100%とはとても言えません。むしろ、活動していく中で設定を変更する必要があることに気づきました。

映画「コンタクト」の中で、エリーは課外授業で、宇宙に人がいるの?と子どもに聞かれてこう言います。

―「いい質問ね」「どう思う?」

すると子どもは、わからないと答えます。彼女は続けます。

―「いい答えだわ」「科学的よ」「大切なのは自分で答えを探すことなの」

この場面、高校生の私には、エリーが子どもと会話する姿のかっこよさだけに目がいっていました。今の私には、台詞そのものが体に染み入るように入ってきます。お手本にしたいシチュエーションの1つ。

「来館者の皆さんに、科学は完璧ではない、そして負の側面があることも踏まえて、現在わかっていること、可能なこと、そして社会とどのように繋がっているかを伝えたい。そして、これからの未来を一緒に考えたり、それを模索する楽しみを分かち合えたりする方法を、考えていきたい」。ハードルが高いですが、これが今の私の目標です。答えのない課題。大切なのは自分で考えて、そして時にみんなで考えて、答えを探すこと。トライし続けたいと思います。

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この記事への2件のフィードバック

豊田倫子さん

はじめまして。

豊田さんのブログを拝見し、子供の頃、双眼鏡で夢中になって星空を見ていた自分を思い出しました。私は今、宇宙とは関係のない分野のエンジニアをやっていますが、あの時のワクワク感が、科学技術への飽くなき探究心やモノづくりを通してヒトを幸せにしたいという今の気持ちに繋がっているのだと思います。

さて、今回お便りさせて頂いた理由は、ブログ中の「科学は完璧ではない」というお考えに強く共感を覚えたためです。

科学コミュニケーションを行う上で、科学の持つ二面性、即ち、上記の様な利益の裏にリスクが存在していることを伝えていくことは、非常に重要なことだと思います。

その理由は、科学が持つリスクをどこまで受容できるかを一人ひとりが真剣に考えて議論して合意点を見つけることが、科学が社会に受け入れられるために欠かすことのできない作業であると思うからです。

日本の原子力発電技術を例に挙げれば、このリスクコミュニケーションが欠けていたため、事故の直接的な影響以上に社会を混乱を与えてしまいました。

今回の事故を経て、日本人は今後益々リスクと向き合っていかなければなりませんが、その時に専門家と社会を繋ぐ役割を果たすのが科学コミュニケーターだと考えています。

また、科学コミュニケーターの一番の強みはその中立性にあると思います。企業に属していると、利益というバイアスが乗ってしまうため、豊田さんのような科学コミュニケーターがいることは励みになりますし、ちょっと羨ましいです。

以上、長文になってしまいましたが、自分と同じことを考えている方が他にもいることが純粋に嬉しかったため、コメントさせて頂きました。

まりんぱるさま

ほぼ半年前に執筆した私のブログをご覧いただきまして、そしてご意見もいただきまして、誠にありがとうございます。

私こそ、科学の光だけでなく影の部分も伝えた上で、私たちの将来について一緒に考えていくことの重要性に共感していただける方がいらっしゃって、大変嬉しく思います。

6/11で終わってしまいましたが、当館で企画展「世界の終わりのものがたり」を行っていました(ご覧いただけたでしょうか?)。

ある日、私自身も来館者として知人と一緒に73の問いについて意見を言い合いながら展示内を回ったのですが、その時に、比較的考え方が似たもの同士な知人と私の間でも、それらの問いに関する科学の光と影について考え方が異なることを実感しました。

改めて、科学の光と影について発信するために、自分で思い込まないこと、そしてその為にも他人とのトークや社会のニュースに耳を傾けて、時に立ち止まって自分の意見と照らし合わせてみることが大事だな、と思いました。

そんなことも意識しながら、科学コミュニケーションし続けたいと思います。

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