SFを科学する ~スター・ウォーズ編⑤~ 宇宙を走るふしぎなヨット

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SFから科学技術を探るブログシリーズ、今回はスター・ウォーズの中で登場した科学技術が、映画公開後に現実世界でも応用可能であると実証された例をご紹介したいと思います。

2002年に公開されたEpisodeⅡでは私が師と仰ぐヨーダが悪役ドゥークーと対決し、ドゥークーが敗走するシーンがあります。

私物のEpisode Ⅱのブルーレイディスク(イラストがドゥークー)

このときドゥークーは小さな宇宙船に乗り込んで戦場を脱出しますが、この宇宙船、大気圏を抜け宇宙空間に出ると、なんと大きな帆を前方に張って進んでいきます。

ヨットは風を受けて海を走りますが、宇宙空間には空気がありませんよね?ではなぜこの宇宙船は帆を張って進めるのでしょうか?

実はこれ、光を受けて進むソーラーセイラーと呼ばれるものです。光にはわずかながらものを押す性質があります。この効果は地上ではとても弱いのですが、真空の宇宙空間では空気抵抗がないのでそのわずかな力を受けて加速することができるのです。

従来の方法だと宇宙船は積むことができる燃料の量によってどこまでスピードを出せるかが決まっていました。しかしソーラーセイルならば燃料を必要としないため、より遠くへ、より長時間進むことができます。

映画公開から8年後の2010年、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの技術実証のための探査機を打ち上げました。それが小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」です。IKAROSは宇宙空間で200m2もの大型膜面の展開に成功し、ソーラーセイルによる加速を実現しました。また膜面に搭載された薄膜太陽電池による発電にも同時に成功しています。ソーラー電力セイルを実証したのは世界で初めてのことです。

写真:IKAROS分離カメラが撮影したソーラー電力セイル展開の様子

(JAXA ウェブサイトより)

JAXAではこの実証試験の成功を踏まえて新たなソーラー電力セイル探査機を開発し、木星を周回したり、小惑星に接近したりして探査する計画の検討を行っているようです。打ち上げ予定は2019年とまだまだ先ですが、素晴らしい成果を挙げてくれることでしょう。

CGイメージ:JAXAウェブサイトより(イラスト:池下章裕)

このように、SFの中に登場した科学技術が後になって実現する例は多々あります。SFを単なる作り話として楽しむだけでなく、そこに描かれた科学技術が将来もしかしたら実現するかもという目線で見てみると、SFをより一層楽しめるのではないかと思います。

未来館には3Fフロアにソーラーセイルの展示があります。IKAROSに実際に使われたものと同じ素材のサンプルがありますので、ぜひご覧ください。

これまでのSFブログ
    スター・ウォーズ編①

    スター・ウォーズ編② 地球外生命体は存在する?

    スター・ウォーズ編③ 宇宙空間から生還したすごいやつ

    スター・ウォーズ編④ スターウォーズ的に見る地球の未来

    A.I.編① ここまできた!人工知能

    A.I.編② 愛され始めたロボットたち

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