骨格標本とアゴと私

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未来館の5階、生命エリアの端に、ちょっと控えめな人気者がいます。その名は骨格標本。肩を回して記念撮影をしたり、夢に出てきて子どもたちをびっくりさせたりと、多方面で地味に大活躍中の展示です。

今回は、この骨格標本に登場してもらって、私の持病を紹介してみましょう。

病名から申し上げれば、「顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)」。何のことか分かりにくいですが……。早い話が、アゴが外れやすいのです。皆さんは、アゴが外れたことはありますか? ちょっと想像しづらいと思いますので、かわいそうですが骨格標本のアゴを外してみましょう。まず、こちらは外れる前の凛々しい姿。

人の頭蓋骨は通常28個の骨からできていますが、独立して動くのは下アゴの骨(下顎骨)のみです。この骨の後ろの方には出っ張り(下顎頭)があって、この出っ張りが頭の両サイドの骨(側頭骨)の凹み(下顎窩)に収まっています。この凹みの前方には盛り上がり(関節結節)があり、口を大きく開けても、アゴの骨の出っ張りがこれを越えることはあまりなく、越えたとしても普通は戻すことができます。

ですが、私のように腱が弱かったり、また強い外力が加わったりすると、アゴの骨の出っ張りがこの盛り上がりを越えたまま、戻らなくなることがあります。これがいわゆる「アゴが外れた」状態になります。漫画などでは笑いすぎで起こる描写がありますが、私の場合の原因は、単なるあくびで起きます。怖いですね。

アゴが外れると、口を閉じることができないので一切しゃべれず、物を食べたり飲んだりもできません。よだれも出てきます。また脱臼ですから、経験のある方は分かると思いますが、地味に痛いです。そして見た目的にも痛いです。

さて、気になるのは肝心の治し方。間単に言えば、下アゴをいったん下げて下アゴの出っ張りが凹みにある盛り上がりを越えて後ろに戻るようにすればよいのです。治療というよりは修理に近いでしょうか。ですが、自分ひとりでは痛くて力を抜いてしまうので、普通は頭を押さえる人とアゴの骨を戻す人が必要です。また、素人がやると関節や神経を痛めることもあるので、歯科医や口腔外科などにお願いするのが無難です。その場合は、病院に行くまで数十分から数時間、頑張って痛みに耐えるしかありません。

そして脱臼ですから、癖になります。私は初めて外れた時、治って家に帰った安心感からか、同じ日にあくびをしてもう一度外しました。そのため、外した後1週間ほどは、お風呂に入るとき以外は、バンテージで頭蓋骨を固定していました。そのまま学校にも通いました。世間様の目が痛いこと痛いこと。

実は、初めてアゴが外れたのは中学3年のとき。それ以来、この持病とはかれこれ15年ほどのお付き合い。アゴが外れてしばらくは用心して、口を大きく開けるのは控えるのですが、のどもと過ぎれば何とやら、だいたい1年くらい経って忘れた頃に再発させています。

そんなわけで、私と展示フロアで話をしていて急に静かになったら、「もしかしたら……」とか気遣ってくれると嬉しい……わけないか。

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