フィジカルコンピューティングを考えてみる(その7)『夢のシッポをつかまえろ!』

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今日はProcessingに挑戦!

ある晩の私の○○

すっかり時期はずれの話題だが、初夢に見ると縁起が良いとされるベスト3は「一富士(いちふじ)、二鷹(にたか) 、三なすび」。

これらは、そうそう夢に出てくるものではない。

もしも静岡県や山梨県に住む人ならば、日々みる夢の背景に大きな富士山がそびえ立っていてもおかしくはない。

実家が茄子農家ならば、たまには茄子の豊作を夢で見たりもするだろう。

しかし初夢というピンポイントなタイミングでとなれば、それでも難しい。

この内容とタイミングの難しさが、縁起物たる由縁だろうか。

夢は目が覚めるまで詳細に覚えていられないことが多いので、さらに難易度は高い。

例え、つげ義春が漫画で描いた「銭湯に入っているようなデーンと広がった富士山」が初夢に登場していても、思い出せなければ見ていないも同じ。

できることならば、夢を映像として録画したい。

脳内の活動から映像を作り出す研究は、カリフォルニア大学バークレー校の西本伸志氏のチームが行っている。

いずれ個人がテレビ番組のように夢を録画する時代が来るかもしれないが、まだ先のことだろう。

夢を思い出せるかどうかは、目覚めるタイミングに関係するそうだ。

では、そのタイミングがわかりさえすれば…夢でみたデーンと広がった富士山も、鷹も、麻婆茄子も記憶に残っている確率が上がる。

そのタイミングを「夢のシッポ」と呼ぶことにする。

夢のシッポが見えた瞬間に手でつかみ、夢を意識上に引っぱり出す…そんなイメージだ。

夢のシッポを見つけ出せ

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、寝てから起きるまでの間に交互に繰り返される。

"Rapid Eye Movement sleep"

レム(REM)睡眠は"Rapid Eye Movement sleep"の略で、睡眠中に眼球が激しく動くもの。この時、身体の筋肉は緩み、ほとんど動かない。レム睡眠は、20~30分ほど続く。

ノンレム(NREM)睡眠は"Non-Rapid Eye Movement sleep"の略で、眼球が動かないもの。

1950年代にシカゴ大学で行われた実験によると、レム睡眠時に人を起こすと見ていた夢を覚えていることが多く、逆にノンレム睡眠時に起こすと覚えていないことが多かった。

つまりレム睡眠時を判定し、このタイミングで起きることができるのならば…夢が記憶から消えないうちに意識上に引っぱり出すことができるだろう。

眼球の動きを計測するのが一番だが、やや大がかりになりそうなのでより簡単に。

レム睡眠時に筋肉が緩むことから身体の動きより判断することにした。

夢のシッポをつかむには?

身体の動きを検出するため、その1で取り出したキーボードの基板と振動スイッチを利用する。

振動センサはPCにつなぎ、ソフトウェアで身体の動きを記録する。

ソフトウェアは、アート学生やホビースト向けの楽しいプログラミング言語 Processing で自作する。

当記事内で紹介する工作を実施した結果生じた損害に関し、独立行政法人科学技術振興機構、日本科学未来館及び著者は一切の責任を負いかねます。各自の責任と判断のもとに実施してください。

初心者の方は、必ず十分な知識がある方と一緒に作業してください。

作り方

(1) Processingのインストール

まずはPC側でプログラミングできる環境を整えよう。

こちらから使用するPCのOSに合ったものをダウンロード&インストール。

Windows版は2つあるが、意味がわからなければJavaが一緒にインストールされる「Windows」の方を使うと良い。

(2) コードを書き込む

Processingを実行し、このテキストを貼り付ける。

 

(3) 保存しておく

[File]→[Save As]から、お好きな場所を指定し保存。

(4) 振動センサをつくる

電子部品販売店で100円程度で購入できる「振動(傾斜)スイッチ」を用意。

傾けると中の金属ボールが動き、AとBが導通するスイッチ

下記のように、1.5mほどの導線をハンダ付けする。振動スイッチの両端子(写真のAとB)が接触しないよう、テープやチューブで被うこと。

寝床についたら、(4)の振動センサを、テープなどで服の袖や裾に貼り付ける。

安全のため、強く引っ張ると確実にコードが抜けるようにしておくこと。

寝返りでコードが首に絡まらないように!

接続図

(5) プログラム実行&記録開始

(3)で保存したファイルを実行する。

上図赤○のボタンをクリックして実行

緑色の線が表示され、振動の記録が始まる。身体(振動センサ)が動くと緑色の線が上昇することを確認し、そのまま眠る。

記録終了は[ENTER]キー。記録データは画像として(3)で指定した場所に保存される。

検証してみる

以下、私が試した結果。センサは手首に取り付けた。

2011年11月17日の身体の動き。冒頭の午前2時52分ごろに動き回っているが、実は途中で目が覚めてしまったためだ。

午前3時25分ごろ再度眠りに落ちているのがわかる。

画像をクリックすると拡大します

午前4時21分から午前5時32分ごろまで、身体の動きがないことがわかる。

このあたりに夢のシッポが潜んでいそう。手首の動きを見ているだけなのでレム睡眠の検知精度は不明だが、ここで目が覚めれば夢を記憶しているかもしれない。

何度も目を覚ましながらプログラムをチューニングするのも辛いので…、、今回は敢えて「目覚まし機能」はつけず、ここまでにしておく。

ところで、午前5時52分ごろに激しく動いているのは何故だろう?自分のことながら謎だ。

最後に

20歳の頃、夢日記をつけることが朝の日課だった。

「…フェンスの隙間から、広場に設置されたスクリーンを眺める。スクリーンの前を喪服姿の男達が順番に横切っていく。…」

夢は不条理で不安感のただようものが多く、大学ノートに書きつづった夢日記はアングラ演劇の脚本のような様相を呈していた。

10代の思春期を終え、胸中でくすぶり始めたピーターパン症候群は奇妙な夢を私に見せた。

部屋に遊びに来た友人に何気なくノートを読まれ、しかめっ面をされたのも良い思い出だ。

当時のような夢をもう長い間見ていない。

今思えば、それがピーターパン症候群の終わりだったのだろう。

あの夢の数々を毎晩監督していたのは一体「誰」だったのだろう、と今でも思う。

時折、あの奇妙で不安定な夢が懐かしくなり、ひそかに再上演を願っている。

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今回、Processingのコードを公開した。不特定多数の方々にコードを公開するのは、正直ちょっと恥ずかしい。

見る人が見たらプログラミングの技量はもちろん、性格の断片を読み取ることもできるからだ。

「もっとこうした方がコードは短くなる」、「こんな風に改造したぞ!」という方、いらっしゃったらコメントをください。

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