終わりから始まるものがたり

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もしも、今、「予期せぬ終わり」がやってきたら・・・

 

すべてのものごとに必ず訪れる「終わり」と向き合う「世界の終わりのものがたり」という企画展310日から未来館では始まりました。

東日本大震災から1年が経ち、たくさんの問題を抱えながら、それでも私たちの生活は続いています。

私たちは、あの時、正確な情報を求め、twittermixifacebook、ブログなどありとあらゆる手段を用いて探しました。知人の安否や電車の運行情報、通れる道路の情報などなど。そうして得た情報の中から価値があると思ったものは家族や知人、ネット上でつながれるあらゆる人たちと共有し、活用し、助け合ってきました。

当時、私は茨城県のつくば市へ都内から通勤していました。あの日は帰宅するという選択肢を早々にあきらめ、電車の復旧状況によっては数日のつくば泊になることを覚悟しながら社内で一夜をすごしました。

その後は、つくば市の公式twitterなどで、市内のどこの電気や水道が止まっているのか、電車の運行状況はどうか、食料品を扱う店舗は営業しているのかなどを確認しながら出勤していました。

あのとき、私たちは「情報の価値」を改めて感じました。

そして、あの時を境に、人間と情報の新しい関係が始まったように感じます。

新しい関係、それは情報が人間の生活を支援する関係です。

これまでも、インターネットなど、情報によって私たちの生活は支援されてきましたが、これからの支援のされ方は少し変わってきます。

これからは情報そのものだけではなく、空間情報科学が人間の生活を支援するからです。

空間情報科学常設展示「アナグラのうた-消えた博士と残された装置」で紹介している科学技術です。

空間情報科学が日常生活に浸透してくると、私たちの未来はどう変わっていくのか、情報の価値とその生み出し方についてMe+Sci 17のインタビューで柴崎先生から伺った話をご紹介したいと思います。

例えば、携帯電話。

地震が起きた時、その瞬間に携帯電話がどこにあったのか、という位置情報を携帯電話の会社は持っています。(どこにいてもちゃんと自分のところに電話がかかってくるのは、携帯電話が近くの基地局に居場所を伝え、電波でつながっているからです。)

311日のあの時、私たちは家族や友人、大切な人たちが無事なのか、どこにいるのか、まず、その情報を知りたかったですよね。

もし、事前にお互いに合意が取れている人同士、自動で居場所を教えあえる仕組みがあったならば、あの時の私たちの行動はどう変わっていたでしょうか?

その後の行動はどうだったでしょうか?

緊急地震速報のように、この仕組みが浸透したら、位置情報以外にどんな情報を共有したいのでしょうか?

[caption id="attachment_13011" align="aligncenter" width="236" caption="「選択機」という展示の中にあるアナグラの博士たちからの提案 1"][/caption]

 

昨年は、地震だけでなく、豪雨によって土砂崩れによって通れない道ができたり、河の水がせき止められて土砂ダムが作られるということもありました。つい最近も新潟では地すべりによって避難を余儀なくされた方がいらっしゃいました。

例えば、避難警報が出され、避難しようとしている人がいたとします。近くの道を通っている人たちが、安全に通れた、危険だった、通れなかった、渋滞していたなどの情報を対向車同士伝え合い、共有します。

その情報を必要としている人に届けられれば、これから避難する人たちは、安全に目的地にたどり着けます。
さらに、道路状況だけでなく、近所の人たちの避難状況も共有できたら、まだ避難を始めていないご近所さんに声をかけて一緒に避難することもできます。

 

[caption id="attachment_12995" align="aligncenter" width="249" caption="「選択機」という展示の中にあるアナグラの博士たちからの提案 2"][/caption]

 

柴崎先生は「みんながいつも使っているものでないと、大事なときにちゃんと使えないよね。普段使っていないものをいざというときに使いこなしなさい、と言われてもできないでしょ」とおっしゃっていました。

この言葉、みなさんはどう感じますか?

最後に、「終わり」と「未来」に関係する本のご紹介です。

一つ目は「ANALOG」

常設展示「アナグラのうた」の「アナグラ」は5人の博士が空間情報科学を社会にインストールするために研究していた場所のことです。博士たちは消え、開発していた装置たちのみが残された世界に、1000年ぶりに来館者の皆さんが訪れる、という設定です。この物語は「アナログ」という本という形で展示しています。(今すぐ読みたい方はこちらをご覧ください)

2つ目は伊藤計劃さんが書かれた『虐殺器官』『ハーモニー』です。

あくまでも私見ですが、この2つの本の中には世界の終わりだけでなく、空間情報科学が浸透した世界も書かれています。

 

情報を共有、活用し、毎日の生活が豊かに、そして楽しくなっていく仕組み。

それだけではなく、いざという時にうまく使いこなすことで頼りになるもの。

そんな素敵なものを私たち人類は生み出すことができるでしょうか?

今回ご紹介したのは、未来館の中にある終わりから始まるものがたりの1つです。

みなさん、終わりから始まる新しい希望のものがたりを未来館の中で探して、見つけてみてください。

きっと、色んなところで見つけられるはずです!

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