iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問③

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6月17日に未来館で開催したシンポジウム「「iPS細胞と私たちの未来」でお寄せいただいたご質問にお答えする連載(?)の3回目。

今回は、「ガン細胞を正常に戻せるか」です。

シンポジウムで登壇した山中伸弥先生、イアン・ウlルマット先生へのご質問ですが、両先生は大変にお忙しいため、僭越ながら、これまでの取材をもとに詫摩がお返事させていただき ます。

情報が古くなっているなど、誤りがございましたら、コメント欄よりご教示いただければ幸いです。

Q.細胞をリセットできるなら、ガン細胞を正常に戻す技術も可能なのでしょうか?

皮膚や血液などといった分化を終えた細胞を「リセット」して、何にでもなれる状態に戻したのがiPS細胞ですが、ここでの「リセット」は、正常に進んだ分化の道筋を、元に戻すことです。ガン細胞への変化は異常なプロセスですので、iPS細胞をつくる手法でガン細胞を正常細胞に戻すことはできません。

紫外線や薬物など、さまざまな要因で細胞の遺伝子が傷つくことがガンの原因と考えられています。傷ついてしまった遺伝子を元通りにすることは、iPS細胞をつくる技術とは、まったく別の技術になります(相同組み換えという技術を使えば、傷ついた遺伝子と正常な遺伝子を交換することが理論上は可能ですが、培養皿のなかで行う操作になります。これでガン細胞を正常細胞に戻せたとしても、体の外で行うわけですから、治療という点ではあまり意味がありません)。

ただし、ガン治療を目指した研究でも、iPS細胞はもちろん使われます。

例えば、この4月に岡山大学の妹尾昌司教授らがiPS細胞から「ガン幹細胞」を使るのに成功したという報告がありました。ガンのもととなる細胞のことで、抗ガン剤なども効きにくいとされています。このガン幹細胞を取り除くか、死滅させないと、ガン治療は難しいのですが、実際のガン組織に含まれている割合は少なく、研究が難しかったのです。iPS細胞からガン幹細胞を大量につくることができれば、薬の研究などが大いに進むと期待できます。

また、ガン細胞を攻撃する免疫細胞をiPS細胞からつくる研究も行われています。

 

前回、前々回では、以下のご質問を取り上げております。

iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問①

・iPS細胞は病気の治療以外にどんなところに役立ちそうだと思いますか?

・iPS細胞を作るための初期化因子のレトロウイルスの遺伝子は増殖したiPS細胞には受け継がれないのでしょうか? 初期化因子は何か悪さはしないのでしょうか?

・なぜこのところiPSでこれが作れた!という話題が相次いでいるのか知りたい。一斉に始めて、大体同じ期間で結果が出るものなの?

iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問②

・山中先生に質問です。ES細胞でも網膜の細胞作成に成功しましたよね。私の正直な感想は「なぜ今更ES細胞で?」でした。山中先生はどのようにお考えでしょうか?

・テロメアを長くする方法は有るの?

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