iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問④

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6月17日に未来館で開催したシンポジウム「「iPS細胞と私たちの未来」でお寄せいただいたご質問にお答えする4回目。

今回は「iPS細胞を使った再生医療で、先天的な病気は治せるか」です。

お二人の方から、ご質問をいただきました。

山中伸弥先生、イアン・ウィルマット先生にお聞きできれば良いのですが、両先生は大変にお忙しいため、これまでの取材をもとに詫摩がお返事させていただき ます。申し訳ありません。

情報が古くなっているなど、誤りがございましたら、コメント欄よりご教示いただければ幸いです。

Q.心臓病のお話で思ったのですが、iPS細胞を再生医療に応用する際は後天性の病気にしか使えないのでしょうか?

Q.分化後の細胞を、iPS細胞にしたとき、先天的に異常があった場合、やはり異常な細胞になるのですか?

似たご質問なので、一緒にお返事いたします。

前の記事の「ガン細胞は戻せるか」にも書きましたが、iPS細胞の技術は、細胞が本来持っている遺伝子を変えたり、直したりする技術ではありません。なので、もともと遺伝子そのものに異常があって、それが原因となる疾患に関しては、ご本人の細胞からつくるiPS細胞での再生医療は難しいと思います。

ですが、がっかりするには及びません! シンポジウムで山中先生がご紹介していた「iPS細胞ストック」は、こうした疾患に対処するものでもあります。

患者さん自身のiPS細胞ではうまくいかなくても、健康な方からのiPS細胞であれば、将来的な再生医療はうまくいく可能性があります。

また、ここまであえて「治療」とせずに「再生医療」と書いてきましたが、iPS細胞が活躍するのは、再生医療だけではありません。なぜその病気になるのかを探ったり、効果的な薬を探す研究にも使われます。こうした研究には、患者さん本人のiPS細胞があれば、大いに研究に役立つはずです。

実際に世界中の研究者が、疾患をお持ちの方から承諾を得て、細胞をいただき、iPS細胞にして研究に役立てています。

たとえば、慶應大学の岡野栄之教授が手がけている、パーキンソン病の研究があります。この病気は、脳の神経細胞のうち、ドーパミンという物質を分泌する神経細胞が減ってしまうために生じるケースがあります。患者さん由来のiPS細胞と、健康な方からのiPS細胞をそれぞれに神経細胞にして、比較することで、病気の原因を詳しく調べようとなさっています。同じように、患者さん由来の神経細胞があれば、効果的な薬を見つける研究も進むでしょう。

 

これまでに、以下のご質問を取り上げております。

iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問①

・iPS細胞は病気の治療以外にどんなところに役立ちそうだと思いますか?

・iPS細胞を作るための初期化因子のレトロウイルスの遺伝子は増殖したiPS細胞には受け継がれないのでしょうか? 初期化因子は何か悪さはしないのでしょうか?

・なぜこのところiPSでこれが作れた!という話題が相次いでいるのか知りたい。一斉に始めて、大体同じ期間で結果が出るものなの?

iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問②

・山中先生に質問です。ES細胞でも網膜の細胞作成に成功しましたよね。私の正直な感想は「なぜ今更ES細胞で?」でした。山中先生はどのようにお考えでしょうか?

・テロメアを長くする方法は有るの?

iPS細胞シンポジウムに寄せられたご質問③

・細胞をリセットできるなら、ガン細胞を正常に戻す技術も可能なのでしょうか?

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