イベント報告:空間情報科学でシアワセになれた?

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「現時点では“自分のシアワセ”を追いかけて、その先に“みんなのシアワセ”があるように思えましたが、まとめて初めから、みんなの、誰かのための、シアワセをつくる力が空間情報科学にはあるんじゃないかと思いました。」(お客様の感想より)

みなさん、こんにちは。

冒頭の言葉は、最後に回収したアンケートに記載されていたお客様の素敵な感想です。今回は、このような感想がでるに至った、サイエンティスト・トーク「空間情報科学でシアワセになれる?」(12月22日開催)のイベント報告をしたいと思います。

トークよりもまず気になるのは、我々が着ている“i”と胸に書かれた怪しいTシャツではないでしょうか。このTシャツ、今回のイベント講師である柴崎亮介先生が、去年のTEDxTokyo(学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物が「ideas worth spreading」をプレゼンテーションする会)に登壇された時に着ていたTシャツと同じもの。トークのキーワードが情報なので、informationの“i”です。今回のトークでも始まる前のお話で、「TEDxTokyoで発表したことで反響も大きく、企業などを巻きこむことができ、非常にありがたく思っている」と先生はコメントされていました。一般の方に発信することは大事なこと。 “愛(i)”を持って話さねば!という思いから、みんなでTシャツを着よう!ということになり、今回のイベントではスタッフみんなが着ておりました。

さて、トークのスタートは、先生が総合監修をつとめた未来館の常設展示「アナグラのうた」について。アナグラの中で体験者の位置を追跡するシステムは、もともと柴崎先生の研究室で作られたものです。アナグラには足下にレーザセンサがいくつか置かれています。今度、探してみて下さい。

そして、お話は「空間情報科学」について。まずは具体例として、福井県にある三方五湖の生き物調査として“情報”をどう集め、どう発信していくかというお話。データとして残っていない“(人伝いの)情報”を誰もが使えるように共有化し、自治体での保護政策や生態学の研究に役立てもらうための魅せ方(絵やマップをつくる、どう情報を出せばいいか・どう解析をしたらいいか方向付ける)に、空間情報科学が活躍しているんだなと実感しました。

さらに話はより具体的なところへ。下の写真にあるのは、東京での人の動き。トークではこれを動画としてみせてもらいました。データは2011年3月11日のものです。朝のラッシュ時は電車や車で高速で移動する人の動きが光の線のように見えましたが、正午が近づくとそれも落ち着いていきます。そして、地震の直後は映像から動く点がなくなり、夕方から深夜遅くまで都心から郊外へ、ゆっくり移動する点がありました。徒歩で帰宅した人たちです。鉄道が運転を再開すると、また高速で移動する線が現れます。「3.11の震災時に、全国(一部)で人の動きが実はわかっていた。ここではお見せしないが、津波から逃げていく人の動きもわかっていた」という衝撃的なお話がありました。震災当時は誰もこんなデータがあると知らなかったので、このような情報を活用することはできませんでしたが、先生の研究の成果で、現在は5分おきに全国での人の流れを動画でみることができるそうです。

もし、このようなデータがあれば、混雑した避難ルートを迂回したり、都心で歩いて帰宅する人のためにお店を開けることだって出来ただろうな、と想像してしまいました。今後いつ発生するかわからない地震について“情報”という側面から備えることができるのでは・・・期待が膨らまずにはいられない衝撃な内容でした。

ですが、このような絵をみると、自分の情報はダダ漏れじゃないか!!と不安な気持ちにもなります。それは、会場のみなさんも同意見のようでした。

そこで出てきたのが、「情報銀行」。銀行のように信頼できる機関に情報を資産として預け、必要な時に信頼できる別のところに活用してもらうことで、社会に役立てていこう!というもの。自分のもつ情報が価値あるものだと理解できたがゆえに、会場ではぜひ活用してもらいたいと思う人も多かったようです。ただ、預けた情報を本当に安全に、社会に役立つものとして使ってくれるのか、預けている個人にはどこの機関が使っているかがちゃんと見えるのか、などと不安の声もありました。

そして「空間情報科学でシアワセになれますか」という最後の質問。会場の85%の人が「シアワセになれる」とお答えいただき、空間情報科学の可能性を感じていただけたイベントになったのではないかと感じました。柴崎先生からも「シアワセな状況が生まれるべく、研究している」と力強いお言葉をいただきました。

そして、「シアワセになれない」とお答えいただいた15%の方にも、まだまだ実現には不安なところがある、情報もなんの情報かで判断が変わってくる等、情報化社会のマイナス面について考えていただくきっかけになったのではないかと思います。

今回、震災時のデータとして「人の動き」を見ることができ、非常に有効なデータだと感じた反面、私は3.11の頃の“情報”の別の側面を思い出していました。メディアを通じて様々な情報が提供され、私は当時、自分の判断基準を見失っていました。よくわからないままメディアや専門家の意見に従い、そして結果が伴わないと発信した人間のせいにして納得いかない思いを抱えていました。

でも、それでは自分のシアワセは作れないのではないかと、このイベントに携わり強く感じています。自分が納得して、自分が判断して、自分が選択をしなければ、大きな過ちを犯していることに気がつかないこともあるかもしれません。“情報”という目に見えにくいものこそ、一度立ち止まって考え、行動の選択をすることが重要なのではないかと思います。

情報銀行に口座を開設することがいいことだとか、開設しないから非協力的だとかではないはずです。このトークを通じ、“シアワセ”について、“情報”について何かもう一度考えていただけると、とてもうれしく思います。

下記アドレスにて、このトークイベントの様子を映像で公開していますので、ぜひご覧下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=uikAW9yLu2A

ご参加いただいたみなさん、そして勇気ある“選択”をして発言をして下さったみなさん、本当にありがとうございました。そして、非常にわかりやすいお話をしていただいた柴崎先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。

今後の柴崎先生の研究内容についてもまた発信していこうと思っておりますので、ぜひ楽しみにしていて下さい。

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