15分で実演!生物多様性

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5月5日から10日まで、韓国で行われたアジア太平洋地域科学館連盟(ASPAC:Asia Pacific Network of Science & Technology Centers)の年次総会に参加しました。

私は、科学館スタッフを対象にしたワークショップを担当しました。タイトルは「Making a 15minutes Science Demonstration on Biodiversity」。来館者に生物多様性について考えてもらい、行動を起こしてもらうための15分間の実演を考えるのが目的です。

【参加メンバー:左の2人は、未来館の豊田寺村です】

マレーシア、シンガポール、タイ、ニュージーランド、オーストラリア、韓国から10名が参加。

このワークショップを計画した背景には、未来館で行っているミニトーク「地球を食べるわたしたち」がありました。生物多様性という複雑な概念を身近な問題として考えてもらうために、私たちは食べ物に注目しました。生物多様性の問題は地球規模で考えるべきテーマですが、国によって立場はさまざまです。他の国の科学館だったら、どのようなトピックを選び、どんな工夫をして生物多様性を来館者に伝えるのでしょう?

「15分間の実演づくり」としたのは、未来館で実演をするときには、来館者が気軽に立ち寄ることができ、かつ、1つのトピックについて科学的な情報を得た上で私たちの生活との関連を考えるために15分が適切だと考えているからです。

まずは英語版ミニトーク「地球を食べるわたしたち」を披露。次にミニトークで触れたマレーシアの熱帯雨林などについて、マレーシア国立科学館のMismahさんにお話しいただきました。

【Mismahさんのプレゼン】

そして、生物多様性についてそれぞれの国でどのようなトピックに関心が持たれているのかを話し合いました。

【ディスカッションの板書】

生物多様性にまつわる課題には、それぞれのお国柄が出ます。たとえば、オーストラリアでは外来種による生態系の破壊が注目されています。外来種として挙がったのが、キツネ、ウサギ、豚、ヤギ、そしてなんとラクダ!!それぞれの地域で作られてきた生態系と人間の活動があり、その結果もたらされる課題もその国の自然や文化、歴史を反映していることが印象的でした。

ディスカッションの後はいよいよペアを組んで、実演のアイデアを練るワークです。

【ワークの様子】

それぞれのペアに発表してもらいました。その中からいくつかをご紹介しましょう。

韓国の2人組が考えてくれたのが、直方体を積み上げるゲームの「ジェンガ」を用いた実演です。

【ジェンガで学ぶ生態系】

対象は小学生。ジェンガのブロック1つ1つを水や生き物など生態系を構成する要素にします。下は土や水、微生物など生態系の土台となる要素で、上に行くほどそれらの消費者が出てきます。何本倒したら全体が倒れるか、また上と下のブロックを抜くのでは、どちらが倒壊しやすいか、などを体験しながら考えることができます。

演劇の要素を取り入れたオーストラリア2人組

【ワークショップの参加者も演劇に加わります】

テーマは水の配分。オーストラリアでは、上流の水を水鳥などが生息地として使う一方で、農業にも使っています。下流には都市があり、そこでも水は使います。水の配分をめぐって紛争になることもあるそうです。実演では人口の1割が地方で農業をし、9割が都会に集中しているという現実を再現。上流で農業をしている人たちは、「自分たちが都会の人たちの食べ物を作っているのだからもっと水が必要だ」と主張します。都会の人たちには上流の生態系のために下流に流す水を制限されたり、農業のために水が大量に消費され、下流で水不足になることには納得ができません。生態系の保全に配慮しながら、上流と下流に住む人々がどうしたら納得できる水の配分ができるのかを考えます。

2カ国をつないで、見事にストーリーを作ってくれたのがシンガポールとマレーシアのペア。

【"Story of Riceでタイとシンガポールをつなぎます】

国全体が都市部のシンガポールでは、「自然」に触れる機会が少なく、生物多様性といってもぴんとこない人がほとんど。おふたりは、両国に共通する重要な食べ物、米に着目。米がタイで生産され、シンガポールに輸入される過程を追いながら、タイにおける生物多様性の変化が、シンガポールの人々の生活にどのような影響を与えるのかを米を通して考えるという内容です。

どのペアも短い時間でユニークなアイデアを出して下さいました。生物多様性そのものについての実情や取り組みについての情報交換だけではなく、科学館のスタッフとしての創造力を刺激しあえる、とても素敵な時間を過ごすことができました。それぞれの科学館でのこれからの活動が楽しみです。

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