アントシアニンに踊らされて ~迷走~

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事件にでかいとか小さいとかあるんすか!?

CIMG3982

 

ここは都内某所、雲呑警察署(通称、ワンタン署)

誰もが忘れかけていた小さな事件を追う一人の熱い刑事がいた

 

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昨年11月に起こった「食用菊変色事件」。鍋の中で起きた、この小さな事件が思わぬ波紋を広げて、早1年が経とうとしている。時効が迫り来る中、粟島刑事はこの事件を解決へと導けるのか。

事件の被害者、かきのもと(食用菊)は鮮やかな赤紫色の菊の花。知る人ぞ知る珍味である。ところが、調理人が煮る際に酢を入れ忘れた結果、見るもマズそうな茶色いおひたしに変貌した。調理人も参考人として事情聴取を受けたが、容疑者として検挙されたのは、なんと食用菊に含まれる色素、アントシアニンだった。

→詳細な事件簿はこちら

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寿司

新潟の特産品、菊鮭寿司

 

ある日のワンタン署

係長の粟島が署に戻ると、音田巡査部長、輪九指導員が何やら色鮮やかな寿司を食べていた。

音田 「粟島くん!新潟県警のなんとかさんから、菊鱒寿司が届いてるわよ~」

粟島 「ちょうど腹へってたんすよ~!・・・え!? あーーーっ!!!」

音田 「え?なに?何なのよ!もしかして・・・」

粟島 「さつきさん!それ試験サンプルですよ!新潟県警から取り寄せた!」

音田 「えーーーっ!早く言ってよ!あ、でもあと1切れ残って・・・」

輪九 「うまいな、これ」

粟島&音田 「あぁ~あ」

輪九 「ん?」

科学捜査研究所こと、科捜研

事件現場を再現するため、科捜研の坂木から試験サンプルを入手するよう依頼されていた粟島。しかし、そのサンプルを音田たちに食べられてしまい、仕方なく代用品を手に坂木を訪れたのだが・・・。

粟島 「というわけでして・・・輪九さんが同じ紫色だから似たようなもんだって言うんですけど、さすがに紫キャベツじゃダメですよね・・・?」

坂木 「ん~菊じゃないので、完全な再現性はとれないですけど、紫キャベツにもアントシアニン含まれてますからね~。とりあえず、やってみましょうか・・・」

粟島 「ほんと!? よかった~ 検証、お願いします!」

 

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アントシアンは、中性は紫、酸性は赤、アルカリ性では青とpHによって変色する色素だ。酢を加えなかったことで、酸性にならず、赤くならなかったことは理解できる。しかし、茶色くなったのはなぜか?

坂木の仮説は「アントシアニンに水がくっつき、アントシアニンの発色団という部分の構造が破壊され、色が消えた。その上、空気に触れたことで、皮をむいたリンゴのように酸化して茶色くなった」というものだった。

つまり、検証実験のポイントは、中性の水でアントシアニンの色が消えるかどうか、ということになる。

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さっそく坂木は紫キャベツを刻み、少量の水を加えて、電子レンジで加熱した。すると、紫色のアントシアニン抽出液が得られた。抽出液はpH 6、中性である。

図1

そして、事件現場となった家庭にあるもので、酸性~アルカリ性、5種類の液体を調製し、それぞれの液体に、アントシアニン抽出液を大さじ1杯ずつ加えた。

図2

すると・・・ 酸性では赤、中性では紫、アルカリ性では青と見事に変色!これは、まさにアントシアニンの色変化。 では、坂木の予想通り、中性のときにアントシアニンは水によって構造が破壊され、無色となるのか?

5分経過・・・ 10分経過・・・ 1時間経過・・・ 2時間経過・・・

一晩放置・・・zZZ

色が消えて・・・ない!!!

え?なんで !?

この検証実験、唯一の問題点といえば、食用菊「かきのもと」でなく「紫キャベツ」を使ったことだが・・・

確かにpHによるアントシアニンの色変化はみられた。

では、いったい何故、坂木の仮説は覆されたのか・・・

(つづく)

 

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