世界ヲ拡張シタ! 現実が物足りない!

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こんにちは、展示開発課の鈴木 真一朗です。

これまで8つの記事に渡ってご紹介してきた第12期メディアラボ「現実拡張工房」ですが、

最終話は、展示制作しながら改めて感じた個人的な想いをまとめてみたいと思います。

現実じゃ物足りない

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現実じゃ物足りない」と言う言葉はGraphic Shadowでお世話になった筧 康明先生が取材中に漏らした言葉です。

不思議な足あとがついたり、自分がマンガのキャラクタのようになったり、目の前のものが大きくなったり、

そういった拡張された現実に慣れてくると、拡張されていない現実がちょっと物足りなく感じます。

これまでの情報科学は、現実世界を真似ようとしてきた側面があります。

高精細の映像や音響によって醸し出される臨場感、「フォルダ」や「ゴミ箱」といった現実世界の意味を適用した例など、

それらは時間や空間を越えて、さらには国境や文化を越えてコミュニケーションするためには必要な側面だったと思います。

一方で、今だけ、ここだけ、私だけで良いから、世界をもっと面白くできないかと研究していくと、

書いている音がちゃんと聞こえてきたり、実際の手でデジタルキャラクターと遊べたり、目の前にだけ動画が現れたり、

あり得ないけれど、現実より自然」といった不思議な境地に達します。

世界平和と生きてる感

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現実を再現する」、「現実を超越する」、どちらも重要な側面です。

私は、前者の「現実を再現する」情報科学は世界平和のためにあると思っています。

戦争が代表的な例ですが、私たち人間は悪しき歴史をくり返してしまいがちです。

頭で悪いことだ、大変なことだとわかっていても、体験していないことは、くり返してみるまで実感がわきません。

しかし、現実をきちんと再現する技術が普及すれば、実際にくり返さなくても過去の知恵や思いを後世に伝え、

戦争や津波、地震といった災害をいつまでも我が事のように考えられる未来が実現すると思っています。

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それでは後者の「現実を超越する」情報科学は、何のためにあるのでしょう。

メディアラボの監修者である慶應義塾大学の稲見昌彦先生の言葉を借りれば「生きてる感」です。

ちょっと前、TVゲームが流行する影の部分として、「子どもたちがゲームのように人を殺すようになるのでは」などと心配されたことがありました。

「Twitterなどのソーシャルメディアが人間関係を希薄にする」という心配もされています。

たしかに、手応えのないTVゲームや気軽すぎるコミュニケーションは、面白くて便利な一方で、自分か、または世界がなんだかフワフワしたように感じさせます。

便利すぎて、つい受け身になって、ともすれば翻弄されてしまいがちなのです。

「今、私が地球に足を下ろして、生きている」という感覚をきちんと保つには、目の前をきちんと見て、触って、こちらから働きかける必要があります。

そして、「現実より面白い現実」の研究は、こちらからもっと働きかけたくなる世界をつくります。

「こうしたらどうなるんだろう?」「私がやるとどうなるんだろう?」とワクワクして、あれやこれや試してみる。

未来を他人まかせにするのではなく、誰もが探求者・創造者になる、そのための研究が「現実を超越する」情報科学の役割。

大言壮語?

どちらも大言壮語に聞こえてしまうかもしれませんが、私自身はわりと本気でそう思って展示を作っています。

情報科学に限らず、未来館の超高精細プラネタリウムや参加型実験教室、2050年や2065年の具体的な未来像はどれもこれも、「世界平和」と「生きてる感」、ひいてはアナタの未来のためにあります!

そんな中でも更新の早いメディアラボ、せっかく第12期をオープンしたと思ったら来年の1月で終了と言うことで、早くも第13期の展示を企画開発しています。

第12期は「生きてる感」だったので、第13期は「世界平和」、しかも今までにないアプローチでの世界平和をご紹介したいと思います。

来年2月公開予定です、ぜひお楽しみに!

【これまでの「現実拡張工房」記事】

  1. 第12期メディアラボ「現実拡張工房」!
  2. 裏話「現実拡張工房」ができるまで
  3. 現実ヲ拡張セヨ! Thermo-key!
  4. 現実ヲ拡張セヨ! Photochromic Carpet!
  5. 現実ヲ拡張セヨ! EchoSheet!
  6. 現実ヲ拡張セヨ! でるキャラ!
  7. 現実ヲ拡張セヨ! Graphic Shadow!
  8. 現実ヲ拡張セヨ! MorPhys!

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この記事への2件のフィードバック

現実を再現する科学技術は世界平和のためにある、心から同意します。

特に戦争を再現する技術はそれを繰り返さないためにあるというお言葉には深く頷かされました。

教員として最近の授業で有名なフォトジャーナリストの戦場写真を生徒に紹介しましたが、生徒はそれぞれに感じるものがあったようです。

写真はすでに科学技術としては古いものとなっているのかもしれませんが、もっともっと新しい科学技術が教育の場に取り入れられることで次世代を担う子どもたちに世界平和への思いを強くしてもらえるならば、どんどんと取り入れるべきだと思います。

この分野の研究がさらに進んで、教育の場に生かされることを心から願っています。

頑張ってください!

しょうこ様、コメントありがとうございます。

教育現場で試行錯誤されている方から、このようなコメントをいただけて本当に感激です。

先日、宮崎駿監督は自身の引退記者会見の中で「この世は生きるに値すると子供に伝えたい」と仰っていました。

アニメと展示、そして教育現場と手法こそ違いますが、同じ動機で未来をより良いものにしていきたいと考える人がいる、それだけで私はもっとがんばれます。

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