技術者Aが科学コミュニケーターになるまで ~これからのエネルギーを考えたい ~

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-2011年3月11日午後2時46分。

 

東京は六本木に程近いオフィスビル。

技術者Aは、PCに向かっていた。

 

あれ?揺れてる?

でかい!

ドア開けろ!!

 

揺れが収まったあと、携帯で震源を確認する。

 

三陸沖だ!

えー!!

女川は?!福島は?!東海は?!

緊張が走る。 原子炉はちゃんと緊急停止(スクラム)できたのか? その場に居合わせた誰もが固唾を飲んで携帯の画面を見守る。 ほどなく、大きな声がオフィスに響く。

スクラム成功したって!

 

その場にいた技術者たちはみな、胸をなで下ろしていた。

あのあと、まさかあんな事故になるなんて。

技術者Aは、予想していなかったわけで・・・

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はじめまして!科学コミュニケーターのまっつんこと松浦麻子です!

昨年10月から未来館で働いております。

未来館で小さくて丸っこくて赤メガネの人を見かけたら、それはまっつん

どのくらい小さいかというと、これくらい。

201401_松浦

科学コミュニケーターの先輩、ぶっちーさんと中井さんとの身長差は30cmくらい?

 

どうぞお見知りおきをっ。

 

さて。もうお気づきだと思います。

技術者Aとは何を隠そう、まっつんのことです。

え、なになに?未来館に来る前は何をしていたの?って?

 

とある企業で、原子力発電所の確率論的リスク評価に関するお仕事をしていました。

...はて。ゲンシリョクハツデンショノカクリツロンテキリスクヒョウカ??

原子力発電所の確率論的リスク評価(以下、PRA)とは、少しだけ簡単に言うと、

 

原子力発電所で起こると予想されるすべての事故や故障について、その頻度と影響とを定量的に評価する手法

 

のことです。・・・よくわからないですね。もう少し簡単に言うと、

 

原子力発電所がどのくらいの頻度で壊れたり、一般の人の健康にどの程度影響を及ぼしたりするかを、あらゆる可能性を考えて計算する方法

 

のことです。

この方法を使って、原子力発電所の炉心がどのくらいの頻度で壊れるかを解析していました。

 

ちなみに、PRAはこれからの日本の原子力発電所を動かすために必ず実施される方法となりそうです。

東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島第一原発事故)が発生するまで、日本ではこの方法を用いることを推奨するだけで、法的な要求はされていませんでした。

 

福島第一原発事故は、私がPRAの世界に飛び込んで2年半が経つ頃に起こりました。

 

ショッキングでした。

 

リスク評価に関わる仕事をしている自分自身が、原子力発電所は安全であると信じて疑っていなかったから。

福島第一原発事故のようなことが起こり得ることを知っていたのに。

原子力発電所の安全を確保するための解析をしていたはずなのに。

技術者として、私は何をしてきたのだろう。

 

事故の後、メディアや周りの人の様子を見ては、もやもやするばかりの日々が続きました。

 

多くの人の原子力発電所に対する意見が、メディアの報道のされ方によって左右されているように見える。

科学者、技術者の口から、事実がわかりやすく語られない。

何が正しいのかは自分にもわからないけれど、何かが違う。

そこにある事実とそのメリット・デメリットをきちんと伝える人、伝えられた事実を受け取ってこれからどうしたらいいかを考える人、その両方が少ない気がする。

 

・・・私自身は何をすべきなのだろう。

当時、技術者として何か情報発信できるのではないかと思い、あるSNSで福島第一原発4号機についてコメントしたことがあります。

ある人が4号機も他の建屋のように爆発しないのか?燃料棒が露出してしまうのでは?とコメントしていたのに対し、燃料棒は使用済み核燃料プールの中にあって、プールはたくさんの水で満たされているので、大丈夫だと思う、と返したのです。

ところが、その次の日、4号機の壁が水素爆発によって損傷してしまいました。

技術的知見を持っていて、それに基づいて発言したはずなのに、次の日にはその発言した内容が間違ったものになる。

 

怖い。

何か専門知識があっても、それを発信することはとても怖い。

 

科学技術に関する事柄について、多くの人が欲しいのは、正しい情報とそれをどう解釈したらよいのかという判断材料なのだ、と福島第一原発事故で改めて感じました。

でも、判断材料を提供することは、一歩間違えると提供した相手の判断までも左右してしまう。

判断すべき人は個々人のはず。

 

・・・私自身は何をすべきなのだろう。

科学技術に携わる人間としてすべきことがあるのではないだろうか。

とても怖いけれど、その思いはなくなりませんでした。

日々の仕事に追われて、何もできないまま時間が過ぎていったけれど。

ずっとずっと悩んで。

 

科学技術の裏と表の両方を伝える人になろう。

科学技術を使ってこれからどうしたらいいかを、たくさんの人と考える人になろう。

 

2年以上悩んだ末、30歳の春に一念発起!!

 

そんな経緯で、技術者Aは科学コミュニケーターになりました。

 

福島第一原発事故が発生してからもうすぐ3年が経とうとしている今も、日本の原子力発電所の行く末は定まりません。

日本にあるすべての原子力発電所を廃炉にするの?それとも運用し続けるの?

廃炉にするなら、原子力に替わるエネルギーは?

日本のエネルギーは、これからどうなっていくの?

明確な答えを持っている人なんて一人もいない、というのが本当のところ。

 

でも、いろんな方向からエネルギーについて考えることはできる。

さまざまな可能性を考えることはできる。

みんなで考えていたら、何か答えが見つかるはず。

それが間違っていたとしても、みんなで考えて出した答えなら、納得をした上で、いくらでも修正していけるはず。

 

そう思うのです。

 

というわけで!

ブログを読んでいる皆さん、未来館に来てくださる皆さんと一緒に、今と未来のエネルギー問題(とそれに関わるいろんなトピック)について考えていきたいと思っています。

コメント大歓迎!未来館で話しかけてくださるのも大歓迎!!

小さい赤メガネまっつんを、どうぞよろしくお願いします!!

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