キラリと光る、星屑の行方 ~その2~

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まいどっ!

 

寒い中にも、ちらりとの匂いがしてきましたね。
周りの科学コミュニケーターも、敏感な鼻センサーが反応を始めたようです。

そんな、私の花粉症は4月末から。
今の季節のくしゃみには、びくびくしてます、ほんだでございます。

前回のブログでは、宇宙へ向かったものの「その後」に迫るということで、

「打ち上がった後のロケットの行方」

を書きましたが、今回は後半戦。

「寿命を迎えた人工衛星の行方」

を見ていきますぞっ!

 


【人工衛星の場合】

では、後半。
人工衛星について見てみましょう。

「人工衛星」といっても、いろいろな種類があります。
(軍事衛星、通信衛星、地球観測衛星、気象衛星...etc)

その役割に応じて、地球を回っている場所もバラバラなんですよね。

20140305_maidohonda_04.jpg(図はクリックで大きくなるよ)

地球に近い軌道(低軌道;高度およそ1500kmまで)
地球に近い=衛星を運ぶエネルギーが少なくて済む、という利点があります。
あと、近いので地表の様子がよく分かるということも利点ですね。
地球を90分くらいで1周します。
国際宇宙ステーション(ISS)は高度約400km、このあたりです。

地球に遠からず、近からず(中軌道;低軌道~高度およそ36000kmまで) 
遠ざかる分、低軌道の衛星に比べてカバーできる範囲が広がります。
いつもお世話になっているGPS衛星たちは高度約20000kmで、このあたり。
GPS衛星の場合、地球を半日(約12時間)で1周しています。

静止軌道(地上同期軌道;高度およそ36000km)
この軌道にいる衛星は、地上から見ると空のある1点に静止しているように見えます。
ということは、通信がしやすかったり、定点で地上の様子を観測できたりしますね。
毎日の天気予報でお世話になる気象衛星や、放送衛星はこの軌道にいます。
この軌道上の衛星が地球を回る時間は、ちょうど1日になります。
...天気予報の雲画像って、結構遠くから撮られていたんですね。

 

ちなみに。
今回のH2Aロケット23号機で打ち上がったメインの衛星(GPM主衛星)は、雲を詳しく見るのがお仕事。
高度約400kmの軌道を回る、低軌道衛星です。
(これも計画書に書いてありますね。→

 

これら人工衛星が役目を終えた後...。

地球に近い所を回る衛星は、そのまま高度を落として大気圏に突入させます。
要するに、燃やしてしまうんです
衛星は人工流星となって、そのほとんどは地上に到達する前に、燃え尽きてしまいます。
燃え尽きないような大きな衛星も、ほとんどは海上に落ちるようにコントロールされます。

静止軌道を回る衛星は、地球から遠い分、落とすのも大変。
そこで、さらに遠くの「墓場軌道」と呼ばれるところまで移動させてから、その役目を終えます。
衛星の墓場が、高度40000kmあたりに存在するなんて、ちょっと不気味な気分ですね。

 

 

 ロシアがスプートニク1号を打ち上げてから、50年以上が経ちました。
そういえば人工衛星って、いくつ地球を回っているのでしょうか

を見てみると、昨年1月時点でも3500個以上の人工衛星が地球を回っているようです。

それだけでも十分多いのですが...
地球を回っているのは、「稼働している」人工衛星だけではありません。

すでに役割を終えたけれど故障して制御できないもの、壊れた破片、また分離したロケットの残りや宇宙飛行士の落とし物なども、ずっと地球の周りを回っています。

これが、世に言う「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」です。

その数、10cm以上の大きさのもので、15000個以上。
1cm以下のものまで足すと、なんと数百万個...とも言われています。

20140305_maidohonda_05.jpg

(目の前が晴れずに、困る地球の図)

 

「でも、宇宙って広いじゃない?(余裕の表情)」

 

と安心するなかれ。

宇宙ゴミは、ただふわふわ漂っているわけではありません!
なんと、それぞれが違う軌道を、弾丸のような速さで飛び交っているのです!
何百万という宇宙ゴミが、飛び回る宇宙。

1995年に打ち上げられ、1996年に若田光一宇宙飛行士がスペースシャトルで回収した科学衛星には、最大で数mm程度の衝突後が、数百個も残っています。

20140307_maidohonda_01.JPG(実物のSFUに残る衝突痕、国立科学博物館にて見られます。写真は同僚コミュニケーター野副提供)

 

1mm以下の小さなゴミでも、衝突のエネルギーは弾丸並み
ぶつかると大変。

そして...

1996年には、フランスの人工衛星が宇宙ゴミと衝突。
2009年には、ロシアの衛星と民間会社の通信衛星が衝突。

すでに、事故は起きています。
衝突の後には、飛び散った破片が新たなゴミとなって地球を回ります。

ゴミが、ゴミを増やすという、負のスパイラル!
こうやってどんどん宇宙ゴミが増えてしまう状態を、「ケスラーシンドローム」と呼んでいます。
このまま何もしなければ、そのうち現実になってしまう可能性も。

まさに、映画「ゼロ・グラビティ」の世界。

 

ぎゃー!
(怖くなってきた)

 

だめだ!
何か、何か手を打たないと!

ど、どげんかせんといかん!!
(動揺を隠せない)

そんな現在。
この脅威に対して、いろいろな機関が勇敢に立ち向かっています。

一つは、昨年のとなったスペースガードです。
世界のスペースガードセンターでは、地球に近づく小天体だけでなく、宇宙ゴミについても日夜監視を行っています。
比較的大きな宇宙ゴミについては、ちゃんと軌道がカタログになっているそうですよ。
日本にも、岡山県にがあります。
頑張れ!スペースガードセンター!
まけるな!スペースガードセンター!!

 

また、宇宙ゴミの検出に関しても、いろいろな方が研究を進めています。
(昨年NHKの番組でご一緒させていただいたJAXAのもその1人!)

そして、宇宙ゴミを監視するだけではありません。
回収に向けても、人々は立ち上がり始めています!

実は...今回打ち上げられたH2Aロケット23号機にも、大事な役割を担う人工衛星が打ち上がっていたのです。

その名も「」!!

愛称は「GENNAI」といいます。
16cm四方の親機と子機で出来ています。
両手の上に乗るくらいの、小さな人工衛星です。

この親機と子機は、導電性テザー(電気を通すひも)でつながっています。
その長さ、300m20140307_maidohonda_02.jpg

地球の周囲を取り巻く磁場の中をGENNAIが通ると、この親子を繋ぐテザーに電流が流れます。
電流、磁場...ということは力が発生するのは、中学校で習いますよね?
(フレミングの左手の法則ってやつですね。チェケラ!)

このというミッションを行うのが、STARS-IIです。

で、宇宙ゴミとどんな関係があるかというと...

宇宙ゴミって、回収するよりも地球に落として燃やしてしまうのが一番効率的。
そして、燃料を使わずに軌道を変えるのが、さらに効率的なわけです。
この技術を使うと、将来的には燃料を使わずに宇宙ゴミの軌道を変えて、地球へ落下させることが可能になるじゃないですか!

 

この「導電性テザー」、小さな宇宙ゴミとの接触でも切れてしまわないように、3本のワイヤーをゆるく網状に編むようにして作られています。
「無結節網」という結び目のないように編まれる網は、老舗の漁網メーカーさんの巧みな技術によって作られたそうです。

ここにも、日本の技術力が隠されているのですね。 

どんなものでも、終わりは来ます。
しかし、これからの未来に迷惑をかけないように終わらせたい(終わりたい)ですね。

...そこで注目される、日本の技術力!

そんな技術力に興味のある人は、きっと、ぐっとくるはず。

今、未来館ではをやってます。
そう、「THE 世界一展」
(まさかのPR!)

ロケットもあれば、日用品まで、なんでもござれ。
きっとそれぞれにぐっとくる世界一を見つけることができるはず!
そして、その周囲にあるストーリーに思いを馳せてみてください!

◇ 

さて、2回にわたってお届けしてまいりました、「宇宙へ行ったもの最後はどうなるんだ」シリーズ。
いかがでしたでしょうか。
(唐突にまとめ)

打ち上げもいいけど、その後にもぜひ注目してもらえると嬉しいなぁ。

と思う、ロケット打ち上げ隊長(自称)なのでした。

 

ほなまたねー。

ほんだ

 

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この記事への2件のフィードバック

いっつも 親子ともども本田さんにはお世話になってます。

今年のアカデミー賞の最多賞受賞の映画 GRAVITY
事件の発端は、すごい勢いで飛んでくる 破片たち。
http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/#/home
HPで今その映像を改めて見ても本気でこわい。。

その対策のお話をこちらで拝読できて、私の中ではタイムリーで
大変興味深かったです。

こちらこそ、お世話になっております!

アカデミー賞を賑わせた、その映画の内容、
そして、昨年落ちてきた隕石の話、
さらには、毎年打ち上げられるロケット、

普段は考えないけれど、実はそこにあるリスク…確かに存在します。
そして、「関係ない」と思いがちな場所に潜むリスクは、思いがけず自分事にもなったりします。

またいろいろお話できればと思います。
少しでも関心の種としていただければ、光栄です!

ほんだ

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