それはやがてクラゲになるかもしれない

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ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか。
未来館のある東京・お台場は、たくさんの人達でにぎわっています。

天気のよい日は、外でご飯を食べるのもたのしいですね。
風も心地よく吹いています。

駅のパン屋で買った、春の新作パンをパクリ。

「これ、おいしいね。あっ......!」

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軽いビニール袋は風に乗って、すぐに遠くへ飛んでいってしまいます。

よくあること、かもしれません。

 

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未来館の裏手、ほんの数分歩いた先には東京港があります。
時には潮風にあたるのも心地よいもの。少し海辺を散歩してみましょう。

どうやら今日は風が強いようです。波がばしゃばしゃと岸壁に打ち寄せています。

「あっ!見て見て!クラゲがいるよ!」

さて、どれがクラゲかあなたにはわかりますか?

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(クリックで大きな画像が見られます)

 

私にはとても記憶に残っている出来事があります。

それは、学生時代にクラゲの研究者(私にとって研究と人生の師匠です。以降「師匠」とします)と一緒に東京湾をフェリーで渡った時のこと。
出航直後の甲板で海風にあたっていると、師匠が急に水面を凝視しはじめました。

「あれ?何クラゲかな?」

見ると、なにか半透明のものが浮かんでいます。師匠が悩むということは、よくいるミズクラゲではなさそうです。

波にゆれるそれを師匠は見つめつづけます。そのまま数十秒が経ったでしょうか。
おもむろに、師匠はつぶやきました。

「ああ、ビニールだった」

 

そのとき私は、以前テレビで聞いた話を思い出しました。
ウミガメが、ビニール袋を海面に浮かぶクラゲと間違えて食べ、それが死につながることもあるという話です。
カナダ・トロント大学などによるオサガメの研究では、1885年から2007年までの408個体の解剖の結果、全体の34%からプラスチック製品が見つかっています。

クラゲの専門家である師匠でさえ見間違えるのだから、ウミガメにとって、それはクラゲでしかないのだろう、と痛感しました。

 

海には大量のごみが浮かんでいるといいます。

2014年3月、行方不明となった航空機の捜索時に、世界各地の海に浮かぶごみが大量に発見されたというニュースがありました。また、北太平洋の中央部には、海流に乗ってたくさんのごみが溜まる、太平洋ゴミベルトと呼ばれるエリアがあるそうです。そこには、何百万トンものごみが浮かんでおり、その多くは、陸からのプラスチックゴミだといいます。

海に行ったことのある方なら、海岸に漂着したごみを見たこともあるでしょう。その中に、外国語の文字を見た方もいるかもしれません。

そんな風に、世界中の海に大量のごみがあることを聞き、中に外国語の文字を見つけたりする。一方で、ウミガメは水族館でしか見たことがない。そうすると、ごみとウミガメの関係の中に、「わたし」は関わっていないように思えてしまいます。

 

ウミガメは太平洋にすんでいます。

太平洋は、東京湾とつながっています。

「わたし」がお台場でうっかり手放したビニール袋は、風にのって飛んでいきます。

お台場のすぐ隣は、東京湾につながる東京港です。

 

「あなたが暮らす街」も遠かれ近かれ、必ず海へとつながります。

「あなた」が見かけた、風に舞うビニール袋はずっと遠くまで飛んでいきます。

 

それはやがてクラゲになるかもしれない。

 

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外で過ごすことの増えるゴールデンウィーク。
あなたが手にしたビニール袋の行く末は、あなたが握っています。

 

<参考>
オサガメの研究
Leatherback turtles: the menace of plastic.
Mrosovsky N , Ryan GD , James MC Mar Pollut Bull.2009 Feb ; 58(2):287-9.
ナショナルジオグラフィックニュース 不明機捜索で明らかとなった海洋ゴミ
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140410005
ナショナルジオグラフィックニュース "太平洋ゴミベルト"の実態調査
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=68541809
海ごみプラットフォーム・JAPAN
http://www.malipjapan.jp/
環境省ホームページ 漂流・漂着ごみ対策
https://www.env.go.jp/water/marine_litter/index.html

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