おちんちん。それは多様性を生み出す鍵?

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

みなさん、こんにちは!!!ぶっちーです!!!!

 

「未来館には、うんちの話をするうんコミュニケーターがいる!!おちんちんの話をするコミュニケーターがいたっていいはずだ!!」

というわけで今日は、とある昆虫のおちんちんの話です。

 

写真のミミズにかじりついている昆虫をご覧になった方、おられますか??

20140528ohbuchi_001.JPG

東京都内にて。撮影:大渕希郷

 

登山をされる方は、見かけたことがあるかもしれません。

 

これはオサムシという昆虫です。歩く宝石と言われるほど美しい昆虫で、世界中で数多くの種類が知られています。歩く宝石という呼び名には、美しさだけではなく、飛べないという性質も表しています(一部、飛翔能力を持つ種もあり)。そのため移動能力に乏しく、地域ごとに生息している種類が変わることでも知られています。

 

ちなみに手塚治虫のペンネームの由来になった昆虫でもあります(オサムシ→オサム)。

 

 

 

 

今日は、そんな多種多様なオサムシの中でも、日本にだけ棲んでいるオオオサムシ亜属というオサムシの仲間のおちんちんの話です。

 

そのおちんちんが、どんな姿をしているかというと、こうです!

20140528ohbuchi_003.jpg

(C)高見泰興(神戸大学)

 

なななななんだ、コレは!!!?????

こんな形のおちんちん、なかなかないですよね!!!???


オオオサムシの仲間は、おちんちんに内袋(ないたい)と呼ばれる部分があり、そこから交尾片と呼ばれる突起がついているのが特徴です。

 

とはいえ、普段から内袋と交尾片が突出しているわけではありません。交尾の際に、体液の圧力によって陰茎部に裏返しに収まっていた内袋が反転して出てきます。そして、交尾片は回転しながら露出してきます。

20140528ohbuchi_006.jpg

体液の圧力によって、陰茎の先から内袋と交尾片が展開される様子。

(C)高見泰興(神戸大学)

オスのおちんちんがこんな複雑な形をしているということは、メスの生殖器も?

そうです、きちんとおちんちんが収まるようになっています。

 

20140528ohbuchi_004.jpg

交尾中のアオオサムシ Carabus (Ohomopterus) insulicola

上がオス、下がメス。

(C)曽田貞滋(京都大学)

 

 

 

 

交尾中、アオオサムシのおちんちんがどんな風に収まっているかというと下図の通りです。

 

20140528ohbuchi_009.jpg

イラスト:大渕希郷 『新オサムシ学』より改変

(クリックしていただけますと拡大図がご覧になれます)

 

ここで注目してほしいのは、オスの複雑なおちんちんが、メスの膣にすっぽり、きちんと収まっている点です。交尾片は、膣盲囊(ちつもうのう)と呼ばれる部分にはまっています。

 

交尾片が膣盲囊に収まることによって、おちんちんは膣内に固定され、確実に正しい位置で射精することができるのです!

 

 

  

そして、ここからがポイントです。

オオオサムシの種によって交尾片の形、膣盲嚢(ちつもうのう)の形が違うのです。

 

 

20140528ohbuchi_007.jpg

 (C)高見泰興(神戸大学)

 

 特に内袋と交尾片の形に多様性がありますね!

 

これだと、おなじ種類でないとおちんちんがうまくハマらないことは、想像に難くないと思われます。

 

つまり種ごとに、おちんちんと膣が、鍵と錠のような関係にあるのです。

 

 

 

例えば、イワサキオサムシとマヤサンオサムシの例をみてみましょう!

 

20140528ohbuchi_008.jpg

(C)雀部正毅(筑波大学)

青矢印:交尾可能

赤矢印:交尾困難

 

 
 

イワサキオサムシとマヤサンオサムシは、自然界で分布が接していて交尾の機会があります。また、遺伝的にも非常に近縁で、体のサイズもよく似ています。

しかし、交尾器の形が異なるために、うまく交尾ができません。正しい位置で射精できなかったり、最悪の場合はメスの膣が破れて死に至ります。また、オスの方も交尾片が損傷し、それ以降、正常な交尾ができなくなってしまう場合があります。

 

  

しかしながら、それらの障害を乗り越えてわずかに雑種が産まれることもあります。

交尾「困難」と記したのはそのためです。

 

イワサキオサムシとマヤサンオサムシの雑種形成についてまとめてみましょう。

 

 

①交尾をする前に、相手が同種かどうか判断するシステムは不完全。

②おちんちんと膣の形が違うことで、雑種形成はある程度さけられる。

③受精が成功してしまうと、繁殖能力を持った雑種が産まれる。

 

 

つまり、イワサキオサムシとマヤサンオサムシの雑種形成を避けるシステムとしては、おちんちんと膣の形の進化がまず行われることがうかがえます。しかしながら、100%雑種形成を避けるものでもありません。

 

 

日本にはイワサキオサムシとマヤサンオサムシの他にも、多種多様なオオオサムシ類がたくさんいます。

  

おちんちんの形が変わったから、別種になったのか?はたまた、別の要因で別種に分かれてから、おちんちんの形も分かれていったのか?それとも、多様な種へと分かれていった要因は他にあるのか?いやいや、それとも、それらの要因の複合的な結果なのか?

 

 

 

 

まだまだ、真相はわかっていませんが、彼らの特徴的なおちんちんの形とその変化は、多様な種を生み出す力のひとつなのかもしれません。

 
 

 

~参考文献~

曽田貞滋 著(2000年) 『オサムシの春夏秋冬―生活史の進化と種多様性』 京都大学学術出版会

曽田貞滋 編(2013年) 『新オサムシ学』 北隆館

 

 

~謝辞~

以下の方々に、研究内容の取材、および文献・写真・イラストを提供いただきました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

 

曽田貞滋 京都大学大学院 理学研究科 動物生態学研究室 教授

http://ecol.zool.kyoto-u.ac.jp/homepage/sota/

 

高見泰興 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 進化生態学研究室 准教授

http://www2.kobe-u.ac.jp/~takami/

 

雀部正毅 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 研究戦略ユニット チームリーダー 助教

http://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/japanese/

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

コメントを残す