結晶を育てる

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 みなさん、ごぶさたしております。後藤です。秋も深まり、だんだん寒くなってきましたね。今日は、そんな寒い時期にぴったりの話題(?)「結晶」について書きたいと思います。偶然ですが、今年は世界結晶年という記念すべき年だったようです。今年も残すところ2ヶ月となりましたが、ぎりぎりセーフ!このブログを通して、結晶の美しさと、そこに隠された「職人」の苦労に思いをはせていただけたらと思います。

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 さて、「結晶」と聞いてみなさんは何を想像するでしょうか。雪の結晶はご存じの方も多いと思います。ちなみに、結晶は英語でcrystal(クリスタル)と言うので、透けていて、きらきらしていて、かたそうなイメージもあるかもしれません。でも結晶ってそもそも一体何なのでしょうか。

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 これは私が家で育てた、食塩の結晶です。食塩の正体は塩化ナトリウム。塩素とナトリウムという2種類の原子からできています。これらの原子が規則正しく並ぶと、このようなきれいな結晶ができあがります。このように原子や分子が「規則正しく並んだ」ものを「結晶」といいます。雪の結晶は水分子が規則正しく並んでいるので、確かに結晶と言うことができます。一方、ガラスは透けていてきれいですが、分子は不規則に並んでいるので、結晶ではありません(イメージとしては、非常に硬い水あめのような状態です)。そして、物質によって、できあがる結晶の形は決まっています。たとえば食塩は、(不純物が入っていなければ)いつだって、立方体の結晶ができあがります。他の物質がどんな形の結晶になるのか、気になった方は、ぜひ調べたり、実際に結晶を育てたりして確かめてみてください(雪の結晶の形はさまざまになりますが、基本の形は同じです。なぜあれほど多様な形になるのかは、また次の機会に)。

一応、食塩の結晶の育て方を簡単にご紹介するので参考にしてみてください。食塩の場合、水でもお湯でも溶かせる最大量に大差はありません。お湯よりも水の方がゆっくり育つので、結晶が美しくなります。(※ただし、いつもうまくいくとは限りません)

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ところで、ここまで私は結晶を「育てる」と書いてきました。「つくる」でも日本語としては間違いではないと思いますが、実際にやったことのある人ならば、きっとこう言うはずです。

結晶は「つくる」ものではなく「育てる」もの。

みなさんもきっと一度は何かを育てたことがあるでしょう。アサガオとかメダカとか。育てるのって、一苦労ですよね。水のやり方、えさの種類、育てる環境・・・様々な条件によって、きれいに咲いたり、繁殖に成功したり、逆に枯らせてしまったり、全滅させてしまったりします。結晶も同じです。その物質を何に溶かすのか、何℃で育てるのか、どのような入れ物の中で育てるのか、どういう刺激を加えるか・・・などいくつもの条件を考えなければなりません。条件がぴったり合わないと、結晶の種すら生まれてきません。奇跡的に種ができたら、その種を基準に分子が規則正しく並んでいけば、大きな結晶に育ちます。ですから、結晶を育てる最後のステップは、やっと生まれたちいさな種を大切に守りながら、「ひたすら待つ」ということになります。  結晶を育てている研究者はたくさんいます。彼らは、分子の構造を明らかにするために結晶を育てています。何を隠そう、今年が世界結晶年と称されているのもその関係。結晶から分子構造を明らかにするための大元の理論が生まれ、その理論にノーベル賞が与えられたのが、今からちょうど100年前のことだったのです。電子顕微鏡でも知ることのできない分子のかたち。それを解明するために結晶がどんな風に活躍しているのかについては、また今度ご紹介しますね。

※おまけ

①微結晶のしずく

大きな結晶になる前の未完成の結晶を微結晶といいます。微結晶を集めると、キラキラ光る虹色の屈折光がすごくきれいです。

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②結晶の集合体

結晶がそばで成長し合うと、結晶同士がくっついて、このような集合体をつくることがあります。くっつき方に規則性があると、「双晶」と呼ばれます。水晶の双晶はとても美しいのでぜひググってみてください。  

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この記事への2件のフィードバック

世界結晶年日本委員会のウェブに載ってました。100年前に起きたこと。
それは、「マックス・フォン・ラウエ博士はX線による結晶の回折現象の謎を解き1914年にノーベル物理学賞を受賞しました。」でしたね。その解説が次号に載るのかな?
 それで、結晶は、原子分子が規則正しく並ぶということなのですが、それはどうして起きるのですか? 
 結晶といえば、青色LEDですよね。その話と基本的には一緒?

コメント、ありがとうございます!
まさしく、ラウエがノーベル賞を受賞してから100周年という記念の1年でした。
ちなみにラウエが明らかにしたX線の回折現象を使って、初めて構造解析された結晶が、この「食塩の結晶」でした。(これを行ったのはブラッグ親子です。)

また、なぜ分子が規則正しく並ぶのか、についてですが、それは諸説あって、まだよくわかっていないようです。どうやって結晶ができるのかを解き明かすことができたならば、もっと簡単に身近に結晶を育てて研究することができるのに・・・!

青色LEDと話が一緒かと言われると、ちょっと戸惑います。
が、規則正しく並んでいる、その規則正しく並んでいることを利用する、という2点では一緒と言うこともできると思います。

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