火鍋から漢方薬まで

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ニーハオ!

科学コミュニケーターの陳ドゥです。

すっかり冬になりましたね。寒いときの定番料理といえば、です。私は日本の鍋料理も大好きですが、私の出身地の中国では、火鍋というものがあります。下の写真は先日、未来館の同僚と一緒に食べた火鍋です。

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左半分は辛いスープで、右半分は辛くないスープです。見るだけでも体が温まりそうですよね。火鍋は体を温めるのに、適した料理だと言われています。

辛いスープには唐辛子がたくさん入っているため、体が温まるのは当たり前ですが、実は辛くないスープもその効能があります。

 

 

もう一度上の写真をご覧ください。

右半分辛くないスープの中に、茶色のボールのような具材がありますよね。この具材は食べ物ではありますが、食べずにエキスを出すものです。日本の出汁をとるコンブや煮干しのような存在です。

中国名では、鍋底(グォディ)と呼びます。火鍋のすばらしさは、ほとんどこの鍋底のおかげです。上の写真の火鍋では鍋底の具材は以下のものになっています。

鍋底.jpg

写真出典:Baidu Commons

 具材の数はなんと、20種類以上あります。その中にはショウガ類やニンニク類などがあります。また、様々な香辛料も使います。

人々が長い年月をかけ、試行錯誤で得た最もおいしいレシピです。

うん?ちょっと待ってよ、結局レシピはただの経験知?と疑問に思われるかもしれません。

そうなんです、火鍋のレシピは経験知によるものです。なんでこういう組み合わせはいいのか、それぞれの具材は具体的にどういう役割になっているか、ほとんど不明です。

実は経験知からレシピを作るのは漢方薬も同じです。さきほどの「鍋底」の具材は漢方薬の原料にもなれます。中国では「薬食同源」という言葉があります。

無題.png

写真出典:Baidu Commons

約1000年前の唐の時代に、食品と薬品をこう定義しました。

「同じ物でも、空腹時に食べると食品で、病気時に食べると薬品である」。

言い換えると、漢方薬とは食品も含んだ、非常に広いカテゴリーなのです。すべての動植物と鉱物は漢方薬になれるという説もあります。東洋医学の観点では、食と薬の違いは、用量によって生じると考えます。

さて、さきほどの「レシピは経験知」という話に戻ります。

漢方薬にはたくさんの成分が入っています。それぞれ食べ物であるため、単独では効力がありませんが、組み合わされると、薬としての効力を発揮します。

なんでこの組み合わせでないと薬にならないかというと、理由がはっきりとわかっていません。

中药处方.jpg

写真出典:2年前に私が貧血になったときの実際の処方

漢方薬の処方は1800年前からほぼ変わっていません。1800年前までの人々の経験知で処方は決められてきました。実は中国国内でも、経験知に頼る漢方は、科学的根拠が薄く信頼しにくいという考え方の人は少なくありません。

しかし、漢方薬は長い時間を経て、いまも存続しています。世界各地に熱烈なファンも多いです。経験知に基づく漢方は、たくさんの人の健康を支えているといってもよいでしょう。(※)これからもいろんなところで人の役に立つでしょう。

それでは、みなさんもおいしい鍋料理でたのしい冬をお過ごし下さい。

 ちなみに、2年前科学コミュニケーターの豊田は、違うアプローチで鍋料理のブログを出しています。そちらもご覧ください。

 

※ 漢方薬には副作用がないという誤解が一部にあるようですが、それぞれの体質や症状に合わせた材料や適切な量があります。ここから外れた取り方をすれば、良くない反応が起きることもあります。

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