種子島で対話型ワークショップをしてきました!

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こんにちは!科学コミュニケーターの石田です!
11月~1月の約3ヶ月間、ロケット打ち上げで有名な種子島に通わせて頂きました!

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ロケットに関わる仕事をしてきたの?いえ、違います。 (ちゃっかり内之浦と種子島でのロケット打ち上げは見てきちゃいました!プチ自慢はまた別の機会に!)

未来館で提供している高校生向け対話型ワークショップの可能性を種子島でいろいろと試してきたんです!

対話型ワークショップってどんなもの?

未来館で提供している対話型ワークショップはエネルギー編と生物多様性編の2種類。今回種子島ではエネルギー編に取り組みました。

タイトルにもあるように「対話」に重きを置いています。 高校生たちにはチームごとにあるキャラクターになりきってもらいます。それぞれのキャラクターは、ある発電方法を積極的に「使うべき」と主張する立場、あるいは逆に「使わないべき」と主張する立場を明確に持っています。扱う発電方法は、火力・原子力・再生可能エネルギー(再エネ)の3つ。それぞれに賛成、反対の立場があるので、合計6つのキャラクターがいます。(火力発電賛成派の主婦、反対派の環境サークル。原子力発電賛成派の政治家、反対派の原発立地地域の住民。再生可能エネルギー発電賛成派の環境保護団体、反対派の研究者)

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自分たちの本来の意見はさておき、とにかくキャラクターになりきってもらいます。それぞれのチームにデータシートを渡し、データから主張を作り発表してもらいます。 「私たちは主婦です!火力発電に賛成です!なぜなら火力発電は安いからです!このデータを見て下さい!」というように。

その後はつっこみ合い(バトル)です。賛成派と反対派で意見を戦わせてもらいます。例えば環境サークルが「主婦は自分たちのことしか考えていないじゃないか!未来の人たちのことも考えろよ!」とつっこむイメージです。

バトル後、高校生たちにはもやもやが残ります。「相手の言ってることもわかるよ。でもさぁ...」「どうやったらわかり合えるんだろう...」「やっぱり相手は自己中!」という風にもやもやの内容は人それぞれだと思いますが。

そして最後にこのもやもやの正体を探ります。それぞれのキャラクターがなぜ異なる意見を持つのか...それは価値観が違うからです。キャラクターごとの価値観を整理してもらい、なぜ意見が異なるのかを理解する。じゃあ価値観が違うから永遠に分かり合えない!と諦めるのか...違いますよね。社会的課題にしても身近な家族の問題にしても、私たちは価値観が違う者同士で対話をし、合意形成をしていかなければならないのです。その合意形成のために必要なことは何か?を考えてもらえるワークショップ となっています。

(※このブログを読んで、生徒のみなさんにやらせたい!と思って頂けた場合、未来館のHP 団体でのご見学→http://www.miraikan.jst.go.jp/guide/group/をご覧ください。 ただ、このブログはネタばらしとなっていますので、実施前に生徒たちにブログに書かれていることは伝えないようにお願いいたします。

そして本題。

そもそもなぜ種子島で対話型ワークショップを?

種子島は「自然と共生するスマートエコアイランドビジョン」を掲げ、島の特徴を活かせるような持続型エネルギーや産業のプラン構築に取り組んでいます。その取り組みの中心となっている西之表市役所から、種子島の将来を担う高校生に対話型ワークショップをさせたい!そして1回では終わらせず、毎年高校生が受けられるように種子島に根付かせたい!というお話を頂きました。

現在、未来館に来て頂いた高校生にしか提供できていない対話型ワークショップですが、来館できない高校生にも体験して頂けるようになれば、私たちもうれしい限りです。 「地域に根付く」ワークショップの形を共に模索しましょうということで未来館と種子島の取り組みが始まりました。

種子島でどのような対話型ワークショップを試してきたの?

今回一緒に取り組んでくれたのは種子島高校の2年生47名。とても元気で素直な生徒のみなさんでした。 地域に根付かせるためにまず始めたのは地域バージョンへのカスタマイズです。自分事にすることが継続には大事だと考えたためです。ステップは大きく3つ。

ステップ1

未来館と同じように対話型ワークショップを体験してもらう。

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賛成派と反対派がつっこみ合い(バトル)

ステップ2(約2ヶ月間)

種子島の人々をより説得させられるような身近なデータに置き換える。そしてデータを元に主張を作り直してもらう。 (例:全国版の発電のデータを九州電力や種子島のものにする)

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先生と生徒たちでデータ集めの作戦会議

ステップ3

対話型ワークショップの流れに乗っ取り、自分たちで用意した主張、つっこみ合い、価値観整理を発表する。

(見学者は高校1年生や先生方、西之表市役所の方々)

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高校1年生約70名を前に高校2年生が堂々と発表

ステップ1からステップ3に進むにつれて、生徒たちの発表はどんどん上手になっていきました。データ集めに関しても「どれだけ集めてくるねん!」と言いたくなるほど、自分たちの納得がいくまで向き合ってくれていました。

そして私たちが一番驚かされたことは最終的に生徒達がエネルギーに対して自分なりの意見を持つようになってくれたことです。

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発表するのは恥ずかしいと思っている子でも、アンケートにはきっちり自分なりの意見を書いてくれていました。

アンケート例

●私は、環境保護団体職員(再エネ賛成派)という立場でしたが、他チームの核融合の話を聞いて(従来の核分裂とは異なるタイプの) 原子力もいいなと感じました。原子力のデメリットは多々ありますが、やっぱり効率的にエネルギーを作ることが大切なのではないかと思います。将来、周りに害を与えない核融合エネルギーを使って欲しいです。

●火力発電をするのにもいずれは石油・石炭が尽きてしまう時が必ず来るので、原子力にするのか再エネにするのか。原子力発電をするのならなるべく放射能を出さない方が良いし、再エネはもっと効率良く電力を作り出さないといけない。そこらへんのバランスをうまく取っていきながら、日本は自立していかないといけないと思う。

もちろん「この意見は正しくて、この意見は間違い」などということはありません。ですが、意見を持たなければそもそも話し合いができません。意見を持つことは話し合いのスタートなのです。 それでも意見を持つことはとても難しい。大人だって意見を持てていない人の方が多い。でも、高校生たちがこのような立派な意見を一人一人持てるようになったのです。

高校生たちが意見を持つようになった背景として、種子島という環境も影響していたのかもしれません。本土から離れている離島では電力系統が独立しているため、エネルギーの自給自足が求められます。そのため、離島では東京などの都会に比べてエネルギー問題はとても身近です。また、人口も約3万人と少なく行政の存在も身近な種子島では自分の意見が行政に届くのではないかという気にもなりやすいと思います。そのような環境に助けられつつも、これからの日本の未来を担う高校生のみなさんに主張をする、相手の話を聞く、相手に分かってもらうことの難しさに気づく、自分自身の意見を持つという重要な経験をしてもらえたことはとても大きな収穫だったのではないかと感じています。

今回対話型ワークショップを種子島で実施して、私たちは改めて対話型ワークショップの体験方法の幅広さに気づくことができました。

未来館で実施している対話型ワークショップを体験するだけでも合意形成のために必要なことを考えて頂けます。種子島の事例のように、手をかけてじっくり取り組むと様々な発電方法のメリット・デメリットを客観的に見たうえで自分なりの意見を持つまでに学びを深めることができます。 対話型ワークショップに興味を持って頂いた方の状況に合わせて、様々な体験方法がありそうです。

未来館は科学コミュニケーションを広めるべく様々な方法を模索しています。コンテンツのオープン化も始めました。(詳しくはこちらのブログ→科学ネタのスライド資料と実演動画、無料提供いたします) 誰もが使用できるコンテンツとするためには、まだマニュアル等足りない部分があるかもしれません。皆さまからの「こんなマニュアルが欲しい」「こんな内容のコンテンツが欲しい」等の意見やリクエストを元に試行錯誤をしていきたいと思っています。(皆さまからのご意見やリクエストをお待ちしております)

今後も未来館は様々な科学コミュニケーションの形を探るべく活動していきます。活動内容は適宜科学コミュニケーターがブログで報告していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

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この記事への2件のフィードバック

ブログ拝見して驚きました。
地元でもこのうよな取り組みがされて、一般の方が見に行けた?コトを知りませんでした。
また、広報がされていたのか?それとも、関係者だけだったのか?
いずれにせよ、今後も行なわれるなら拝見したいです。

発表の資料などあれば、分けていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

web種子島さま

コメントありがとうございます!
種子島の方にこのブログを読んで頂けたこと、興味を持って頂けたことをとてもうれしく思います。

対話型ワークショップ自体は、初めての取り組みということもあり一般公開は行いませんでした。
ただ今回の取り組みを高校生達が45分にまとめ、3月11日に開催されたスマートエコアイランド種子島シンポジウムで発表してくれました。こちらのシンポジウムでは一般の方も200名まで参加して頂けたようです。もう終了してしまった催しですが、今後西之表市役所のホームページに報告が記載されると思いますのでぜひチェックしてみてください。(去年の内容はこちらでご覧頂けます。http://www.city.nishinoomote.lg.jp/admin/soshiki/keizaikankoka/shoukouseisaku/395.html)

今回の取り組みは今後も種子島高校で続いていきます!
ただ、一般の方に見て頂くためにはたくさんの準備が必要なため、まだ一般公開はお約束できない状態です...
(一般公開をしていないこともあり、発表資料をお渡しすることも難しいです。申し訳ありません。)

種子島に根付き、いつか見て頂けるときを目指して西之表市役所や種子島高校の方々に一生懸命取り組んで頂いていますので、今後も暖かく見守って頂ければとてもうれしく思います。

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