オパール色に輝く

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石っていいですよね。
自然の秩序の美しさを垣間見るのに石はうってつけだと思うのです。


皆さん、こんにちは!科学コミュニケーターの鈴木毅(すずき・つよし)です!

気がつけば夏になっていました。
読者さんの中には4月から新しい生活を始めたり大型連休に旅行に出かけたりと、新しいものに触れた方も多いのではないでしょうか。
ならば、ついでに石にも触れてみて下さい、というのが今回のお話です。

しかし、その辺に転がっている石ころとはちょっと別モノです。
鉱物や宝石などと呼ばれている石のお話です。

興味を持つきっかけとなる最もメジャーな石といえば、黄鉄鉱や水晶だと思います(下図)。

20170626_t2-suzuki_01.jpg
左:石の中から突然出てくる立方体、黄鉄鉱。パイライト/Pyriteとも呼ばれます。人の手で加工したのかと思うほど整った立方体ですが、正真正銘、自然のものです。
右:水晶は見たことある方も多いでしょう。きれいに六角柱状になっているものは壮観です。クオーツ/Quartzとも呼ばれます。こちらのとがった六角柱も自然のままのものです。




今回はこのメジャーどころから少し離れて、オパールを紹介しましょう。

オパールという宝石を見たことがあるでしょうか。
どんな見た目の石かというと、基本的には白です。
そして石の中に虹の断片がいろいろな向きに散りばめられているような見た目です。
そして見る角度によって色の見え方が変わります。
ただの白いオパールをコモン・オパール、虹色が見えるものをプレシャス・オパールと呼ぶこともあります。

まずどんな見た目なのか、上の説明だけで未来館のスタッフに想像で絵を描いてもらいました!
皆さんも本物を見る前に想像してみるとより感動を味わえると思います。

まず、下の写真は描いてもらった絵です。

20170626_t2-suzuki_02.png
なかなかよい味が出ている絵だと思います。未来館広報の中野陽子さんに描いてもらいました!




実物はどんなものかというと下の写真です。

20170626_t2-suzuki_03.png
左がコモン・オパール、右がプレシャス・オパールです。個人所有のものなので少し小さいです。プレシャス・オパールの長い方の直径が1.6 cmほど。宝石によく使う重さの単位でいうと3.02カラットです。ちなみに、このコモン・オパールは300円、プレシャス・オパールは2000円のところを安売りしていて1000円でした。




ではここで問題です。
このような七色の輝きを見せるオパールですが、どのような成分でできているでしょうか。
以下のもののうち主成分がオパールと同じものはどれでしょう。

(1) 窓やコップなどのガラス

(2) お菓子の袋に入っている乾燥剤のシリカゲル

(3) 上の写真にもある水晶

20170626_t2-suzuki_04.jpg
(コップとシリカゲルの画像はPixabay https://pixabay.com/ja/ より)




では、正解の発表です。

上の3つで、主成分がオパールと同じものは......実は、3つすべてです!
ガラスもシリカゲルも水晶も、二酸化ケイ素を主成分としています。
(厳密に見るとそれぞれ二酸化ケイ素と言い切るにはちょっとずつ違いますがだいたい同じです)

上の3つはどれも主成分は同じなのに、見た目はだいぶ違います。これも石の魅力の一つでしょう。

同じ二酸化ケイ素でできているのになぜ見た目が変わるのかというと、目に見えないほど小さい構造に秘密があります。

オパールでは非常に小さい「二酸化ケイ素のビーズ」が規則正しく並んだ構造をしています(下図)。並んでいるのはビーズです(これに対して、水晶は二酸化ケイ素の分子が互いに手をつなぎながら規則正しく並んだ「結晶構造」をしています)。
ビーズの直径はおよそ100〜400 nmです。すなわち1 mmの2,500〜10,000分の1の大きさです。
このビーズのすきまやビーズの中を光が反射しながら進みます。そのとき、ある色の光は強く見えたり、ある色の光は弱まって見えなくなったりします。結果的に、オパール色とも呼ぶべき虹のような色が現れます。
※オパールはこのビーズの隙間が水で満たされているのも特徴です。乾燥させると虹色が無くなってしまったり、割れてしまうものもあります。電子レンジでチンすると水がジュワジュワ出てきたりするらしいです。もったいない!

20170626_t2-suzuki_05.jpg

※ 1 nm は1ナノメートルと読みます。1 cmの1000万分の1の大きさです。




オパールのビーズの並びによる凸凹のように、光の波長と同じくらいのスケールでの微細な構造があると、光の反射や弱め合ったり強め合ったりする作用で独特の色が現れます。色素や顔料による色ではなく、このような微細な構造がもたらす色を「構造色」と呼びます(そのままですね)。
オパールの虹色の発現は、とくに「遊色効果」と呼ばれます。
自然界にはこのような構造色はたくさんあり、シャボン玉の虹色や甲虫のタマムシの金属光沢も構造色です。
未来館の常設展示3階「技術革新の原動力」では、モルフォチョウという蝶の羽の色とそれを利用した人工繊維を紹介した展示がありますので、ぜひご覧ください。

石にもこのような構造色はたくさんあります。
キラキラしていたり虹色だったり見る角度によって色が変わったりするものは構造色であることが多いと思います。






今回は特に石の色、オパールの色に着目してみました。
今回はあまり触れませんでしたが、石の多種多様な美しい形にも魅せられるものがあります。
※そういった理由で今は黄鉄鉱/Pyrite(本記事一枚目の写真左)にはまっています。この話はまたどこかで。

石の色や形がきれいであったり、なんでそういうふうに見えるのか気になったり、そういうことが科学の原点であったはずです。
石趣味は学術を兼ねた趣味だと言っても過言ではないでしょう。
というわけで皆さんも一緒に石趣味を始めましょう。

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