一緒に住むなら、どんなロボットが心地よい?
  −−未来館の常設展示より

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将来、ロボットがあなたの家にいたら、何をしてほしいですか――?



未来館の常設展示「未来をつくる」は、ロボットや情報技術などイノベーションにつながるテクノロジーを扱うゾーン。

来館された方に冒頭の質問をすると、さまざまな答えが返ってきます。

 「掃除!」

 「介護かなぁ・・・」

 「お料理してくれたら、ママが助かると思う」

3つ目は、お母さんを想う小さな子どもの優しい気持ち。ほっこりします。

やっぱり日常生活の助けになってもらえると、ありがたいですよね。



では、もしも、その希望がかない、あなたの家にとても役立つロボットがやってくるとしたら。

次の2タイプのどちらに、来てほしいですか――?

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ロボットらしい見た目のASIMO(左)と、人間によく似たオトナロイド。

現時点では機能や性能が違いますが、「仮にできることが同じだったら、どちらの姿が良いか」を考えてみましょう。

みなさんの答えは、どちらでしょう?




展示フロアで実物を前に「一緒に住むならどっち?」を尋ねると、7~8割の方がASIMOを選びます。

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 「ASIMOの方がかわいく見える」

 「ロボットらしい見た目が良い」

 「オトナロイドは人間に似ているのに微妙に違うから、なんか怖い」

うん、気持ちはとってもよく分かります。




ですが、オトナロイドを選ぶ考え方にも、興味深いものがありました。

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 「話し相手や介護をしてもらうなら、こっちかなぁ」

 「一緒に住むなら、家族や友達だと思いたいから、人間の姿が一番良い」

特に2つ目。意外な視点、一理あります。




すると今度は、"ASIMO派"が自問自答するように言います。

 「ロボットは家族なのかなぁ。"役に立つ機械"の位置づけでいてくれた方が良いと思うんだよね」

確かに、人間姿のロボットがずっと休まず家事をしていたら、何だか申し訳ない気がしそう。人間の、他人の気持ちを感じる「共感」にも関係がありそうです。

関連記事「人間を科学して行き着いたのは?」
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/20171030post-764.html



 「それだったら、ル○バ(某家電製品)が一番良いんじゃない?」

おっと、いきなりの第三勢力。でも、そんな気もします。



結局のところ、ロボットと人間は、どんな関係だと心地が良いのでしょうか?

 「関わっていて楽しいのは、反応があるとき。自分に対する感情の動きが伝わってくるのが良いし、それは表情の微妙な変化から伝わってくる」

 「表情がなくても、LEDの色や点滅くらいの表現で十分じゃないかな」

 「若い女性姿のロボットが家に来たら、旦那がそっちに夢中になるかも」

 「自分ができることは自分でやらないと、怠け癖が付きそうで、なんか嫌」

 「ロボットがやってくれるなら、正々堂々と怠けちゃっても良いと思うけど」

 「いや、必要な単純作業を延々とやるのも、"やり遂げた感"とか"役に立ってる感"とかがあって嫌いじゃないんだよね」

 「もし本当にロボットがいろいろなことをやってくれるようになったら、人間はその分の時間や労力をどう使うんだろう?」

 「やっぱりぼくは、ロボットいらないや」

 「ロボットが家事をやってくれて、好きな創作活動に時間を使えるようになれば、私は嬉しいな」



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未来館ではほかにも、機械人間「オルタ」や、



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セラピーロボット「パロ」などを展示しています



この先、ロボットに限らず、人工知能や情報技術、医療技術などさまざまなテクノロジーが発展し、イノベーションが起こり、社会が「便利」になっていくとして。

ちゃんと私たちの「幸せ」につながってほしいと思うのです。

そのためには、テクノロジーを「何のため」に「どう」使うのかよく考えたり、私たち自身の「生き方」や「価値観」を成熟させたりする必要もありそうです。

ロボットとどんな関係だと心地よい――?

テクノロジーでどんな未来になったら幸せ――?

どんなことを感じますか?

科学技術の理論に加え、一人ひとりの「気持ち」も大切にしながら、「どうなりたい?」を考えていく。

それが、「未来をつくる」ことなんじゃないかと思います。



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【紹介展示】
ロボット
http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/future/robot/robotworld.html
http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/future/robot/android.html

【参考サイト】
「不気味の谷」について(wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1

【ブログ記事「未来館の常設展示より」シリーズ】
●人間を科学して行き着いたのは?
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/20171030post-764.html
●「100億人でサバイバル」するための、世界のとらえ方
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/20171201100-2.html
●二酸化炭素は増えて、減って、増えて、減って...なぜだろう?
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/20180105post-776.html
●「世界をさぐる」と「未来をつくる」のつながり
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/20180221post-785.html



この記事への1件のフィードバック

この話、オトナロイドの生みの親、石黒 浩先生がよく引き合いに出してくる「不気味の谷」のことですね。適度にデフォルメされた顔や体は可愛く感じるのに、人間に近づくにつれて急に「不気味」に感じて、もっともっと人間と区別がつかなくなるほど似てくると、急に好感度が増すという...

なぜなんでしょうね。動物の本能として根源に埋め込まれている認識反応なのでしょうか。谷から這い上がって不気味→好感度に急変する境目、判断基準はどこにあるのか...是非、石黒先生に明らかにしてもらいたいです。

未来館に先生が作った様々な段階のオトナロイドをずらっと並べてもらって、来館者にその境目を選んでもらったら面白いかもしれませんね。

ES細胞から作られたホンモノの皮膚、高度なAIで思考、会話、行動ができるオトナロイド・レプリカントが登場して社会生活に入ってきたとき、単なる便利な道具からパートナーに変わったとき、「自己とは?」「生きるとは?」のような哲学的課題を深く突きつけられそうです。

ブレードランナーに出てくるレプリカントのようなレベルは自己意識の深い成熟が必要で辛いなぁ。R2-D2やC3POくらいの未来が私には心地よさそう...です。