ISSきぼう船内ドローンInt-Ball!~隠れていた13番目の小型ファン~

このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、ロボット大好き科学コミュニケーター田代です!

国際宇宙ステーション(ISS)には今、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井宣茂宇宙飛行士とともに一台のロボットが活躍していることをご存知でしたか?
ISS船内ドローン、名前はInt-Ball(イントボール)。
日本の実験棟「きぼう」で、宇宙飛行士に代わって実験装置などの写真・映像撮影を行なうのがおもな仕事です。
20180216_tashiro01.PNGInt-Ballはつくば市にある運用管制センターから遠隔操作が可能です。そしてISSのような微小重力環境でも自由に移動や静止ができるように、全身に12個の小型ファンを装備しています。
なぜなら重力のある地球上のドローンに比べると、微小重力での姿勢制御は難しいため、360度全方向に繊細な風力の調節が必要になるからです。
20180216_tashiro02.PNG

しかし!

実はもう1つ、隠れた小型ファンがあるのです!
どこにあると思いますか?

外側からは見えないところ、Int-Ballの内部です!

まさか付け間違え?わざと隠してびっくりさせようとした?いいや、そんなはずはありません。
そうだとしたら、いったい何のために?

なんと、この内部にある小型ファンは、微小重力ならではの、ある現象からInt-Ballの身を守るために取り付けられた重要なファンだったのです!
知らなかった!

微小重力では、重力のある地球上とは違い、熱の対流が起こりません。

どういう意味か?

普通、ロウソクの火が上向きに細長くなりますが、それは重力があるからです。
まずロウソクの火の周りの空気が温められ、温められた空気は軽くなるので、軽くなった分、重力の影響を受けて上向きへと移動します。
こうして地球上では空気の流れ、つまり気流が生まれるため、ロウソクの火の形も上向きに細長くなるのです。炎の立場から考えると、自分が温めた空気は上へと移動していき、下から常に新しい冷たい空気が来ます。

しかし微小重力では、読んで字のごとく「ほとんど重力がありません」という意味なので、このような気流が発生しません。つまり温められた空気はいつまでもそこにあり続け、熱源によって温められ続けてしまいます。
その結果、何が起きてしまうかというと、熱がたまったことによる機械の不調や部品の故障です。

ロボットであるInt-Ballも、きぼう船内の写真撮影のために熱を持ちやすい部品を内蔵しています。
長い期間、微小重力で活躍するためには、こうした部品が壊れないように熱を逃がしたり、新しい空気を送って熱を持ちやすい部品を冷やす必要があります。
20180216_tashiro03.png そこで、13番目の小型ファンの出番です。

このファンがあることで、Int-Ball内に人工的な気流を作ることができます。
それによって熱を持ちやすい部品を冷やします。
もちろん部品を冷やした分、今度は空気が温まってしまいます。

この温まった空気はどうするかというと、12個の小型ファンが自律移動するときの風として外に放出します。
そうすると、また新しい空気が入ってきて、その空気で13番目のファンがInt-Ball内を冷やして...とまあこの繰り返しな訳です。
なんて素晴らしいアイデア!と驚いたのと同時に、このアイデアが生まれたのは、ずっと前からたくさんの人々が集めてきた宇宙に関する知識や経験があってこそなのだな、と感動してしまいました。
20180216_tashiro04.pngきっとこれからの時代は、Int-Ballのようにいろいろなロボットが登場して、宇宙飛行士と協力しながら宇宙開発が進んでいくのだろうなと感じました。
やっぱり宇宙って面白い!

そして頑張れ、Int-Ball!