社会は誰がカタチづくる?朝刊からのモヤモヤばなし...

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登場人物 眞木(後輩科学コミュニケーター)
     伊藤(先輩科学コミュニケーター)

去る9月26日(水)の朝のこと...

眞木:(久しぶりに新聞でも読んで、いい文章を学ぼう)

スタスタ......サク  朝日新聞を手に取る

スタスタ......席に戻る──

眞木:(まずは一面から目を通そう......新聞のインクの匂いはやっぱりいい匂いだな〜新聞を読むのをもっと習慣化しよう〜〜
ん?「伊方原発の運転認める 広島高裁 差し止め仮処分取り消し」
読んでみよう。むむ、いったい何が起こったということ??)

読む.........広島高等裁判所が四国電力伊方原発三号機の運転差し止めの仮処分を取り消したという記事

眞木:(3面に専門家の見解も載っているようだ。そちらも読もう)

3面も読む.........
主な内容は、四国電力の伊方原発3号機の再稼働について、広島高等裁判所が昨年12月の決定を取り消したことである。その根拠として使った言葉は社会通念であった。つまり、広島高裁は「国が破局的噴火への対策を進めていないのに、『国民の大多数は格別に問題にしていない』と指摘」し、決定を取り消した。(2018年9月26日(水)朝日新聞朝刊3面より)その他、火山の専門家の意見も寄せられている。

眞木:(ふ~。うーんと、これはどう解釈したらいいのだ?? 地質のエキスパート伊藤さんにもこの件について意見を聞こう。新聞だけでも渡してこよう)

スタスタ......

眞木:伊藤さーん、これ読みました??
伊藤:まきちゃん、俺これからシフトだよ
眞木:あ、すいません。んじゃとにかくこの記事読んで欲しいので、新聞おいときます。1面と3面ですよ。伊方原発の話です。
伊藤:あ、それ?(ニヤリ)
眞木:(ん?ニヤリ?)そうそう、あとで時間あるときに読んでおいてください〜伊藤さんの意見聞きたいので〜

伊藤さんの机に勝手に新聞を置き、サッサと去る......   ←強引 (笑)

――――数時間後

伊藤:まきちゃん、読んだよ。これ(ドサッとイスに座る)
眞木:あ、伊藤さん。ありがとうございます。話、長くなりますかね?(笑)
伊藤:これさ、率直に、原発が稼働しているときに、噴火警戒レベルが4とか5に引き上がったら、どうするのかな?って思ったよ、俺はね。
眞木:なるほどです。確かにそうですね!(そうか、私が引っかかっていたのはこれか!でも...)記事を読んで、そして伊藤さんの意見を聞いて、まだ私の中でモヤモヤしているのは、噴火警戒レベルが上がってやっぱり噴火しそうってなったときに、原発を止めるかどうかの判断をするのって誰なんだろう?というあたりです...。どうアクションするべきなのかについては、どこで誰が話をしたりして決めようと、決めるんだろうと思いまして...。この記事の中ではそういった次の具体的なアクションについては触れられていないので、もしやプロセスが決められていないかも?!と不安になっちゃいました...
伊藤:うーん...

少しの沈黙──

伊藤:社会通念という言葉が気になるよね
眞木:なるほど。う~ん、破局的噴火が起きそうなときに原発が稼働しているなんて容認していないです!と社会が声をあげれば、いつかはひっくり返ったりするってことなんでしょうか。社会通念ってつまり私みたいな市民一人が考えてできあがるものですよね...。

その後の28日(金)、大分地裁にて四国電力伊方原発3号機の運転差し止めの仮処分の申立てが却下されました。裁判長は「重大事故が起きるなどの危険性は『社会通念上、無視できる程度まで管理されている』と指摘した」(2018年9月29日(土)の朝日新聞朝刊37面より)といいます。ここでも、「社会通念」という言葉が使われています。

未来館は「対話」を中心的な活動にし、科学の社会における役割や、未来への可能性を考える場。
今回の、高等裁判所の決定は実際に起きたこと。それを受け止められるのか、受け止められないかは横に置いておいても。
伊藤さんや私ができる次のアクションはなんだろう?科学コミュニケーターとしても、その職業をこえても、二人で素直にそう思いました。あるいは、私一個人としては、私の家の人や同じ地域に住む未来館の同僚たちとどんな話をしたいだろう...と。

少し悩んでも、答えは出ませんでした。

もし、「私」というひとりが、たーくさんいて、集まったのが社会であるならば、集まったときに考えている総まとめを社会通念と呼ぶとしましょう。
その場合で考えると、自分から物理的にも精神的にも遠くに感じられる司法の場が、「私」という個人と関係があることを初めて実感しました。
その上で、どのようなアクションがとれるか、日々試されていたのかぁと改めて思い、身が震えるような怖い気持ちと、何を話したいのか明確な質問がでてこないことへの自分へのちょっとした怒りと、だからこそ誰かに話したくて、話したくてたまらなくなるそんな気持ちでした。

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伊方原発の位置 ©Google Map