科学クサさ を捨てること

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皆さん、こんにちは。科学コミュニケーターの早川です。320日は春分の日。未来館へのお客さまの数も今年に入ってからの最高記録を更新しました。そんな大忙しの中、ある来館者から次のような質問をうけました。「春分の日は本当に昼と夜の長さが同じなんですか?」

皆さんなら、どう答えますか。

正確には昼と夜の長さは違います。

原因のひとつは大気を通る光の屈折。地平線の下にある太陽が、地球をつつむ大気のいたずらで地平線の上にあるように見えるのです。詳しくは国立天文台のコチラのページをご覧ください。

しかしこのときはそうした説明はせず、こう答えました。

「その通り。今日は昼と夜の長さが同じ特別な日だよ」

ちなみに質問をしてくれたのは小学校低学年の男の子です。

なぜ上のように答えたのか。

それは10歳にも満たない彼にとっては光の屈折の話よりも、その日が365日中たった2度しかないスペシャルデーであることのほうが感動を与えると思ったからです。

ただし彼のお父さんには、こっそり本当のことをご説明しておきました。

来館者との対話に正解はありません。科学の知識を得たい人もいれば、そうでない人もいます。なにしろ未来館に来るすべての人が科学好きというわけではないのです。

目の前の来館者がどんな価値観を持ち、なにに一番興味がわくのか。それを対話のなかで探り、感動を与えるのが未来館科学コミュニケーターの大事な役目です。といっても、私も最初から上手な対話ができていたわけではありません。

今から2年前、夢と情熱をたずさえて未来館に入社したころ、思い通りの対話ができずくやしい経験を数多くしました。そうした失敗経験が、つまりはこれまでに出会った来館者の皆さんが私の科学コミュニケーションの力を伸ばしてくれたのです。

もうすぐ4月。未来館に新しい科学コミュニケーターがやってきます。彼らの科学クサさを洗い落し、ニュートラルな心で来館者と対話ができるよう、これから研修担当としてがんばっていきたいと思います。

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この記事への2件のフィードバック

早川さん、はじめまして。

実際調べてみると、思っていた以上に昼と夜の長さが違うのですね。

早川さんのおっしゃるとおりだと思います。

未来科学館に足を運んでいる子供達は興奮するような知識を得たいと思っていると同時に、科学の感動も得たいのだと思います。私もそうでしたから...

家に帰って新聞などで調べたら、春分の日の出と日の入りの時刻が違うことに気づき、更に疑問が深まるかもしれませんね。それで、もう一度質問に来たら、今度はより正確な事を教えてあげてはいかがでしょうか。

きっと、その子は2倍の感動を得ることになると思います。

Jukkaさん、初めまして!

コメントありがとうございます。

未来館は本当にリピーターが多く、中には子供の頃に未来館

に来たことがきっかけで今は大学で生物の研究をしている

という方もいます。

科学コミュニケーションは生ものですし、同じ展示を前にしても

100人の来館者では100通りの対話が生まれます。そこが

未来館で働く醍醐味でもあるわけです。

またおもしろ話、感動話をお届けしますのでぜひお楽しみに!

早川知範

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