クマグスと私

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初のブログです!新人科学コミュニケーターの岩崎茜です。

私の専門は哲学・思想で、いわゆる文系人間です。高校に入学して初めての定期テストで、理科(地学)は赤点ギリギリ!以後、高校生活で理科は落ちこぼれ続け、物理にいたっては習った記憶すらありません......。

では、かつて典型的な「理科嫌い」だった私が、なぜ科学に関わる仕事を選んだのか?

そこには、ある人物の存在があります。タイトルからお察しの方もいるかと思いますが、私は、南方熊楠(みなかた くまぐす)の思想に影響を受けて、科学に対する考えを新たにしました。

熊楠は美男子と言われていますが、どうでしょうか?(和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰館にて撮影)

熊楠は明治時代から昭和初期にかけて活躍した思想家で、日本で最初に「エコロジー」という言葉を使った自然保護運動家です。さらに、日本民俗学、博物学、粘菌学も究め、その博学ぶりから「知の巨人」や「歩くサイクロペディア(百科事典)」などと呼ばれました。

(ちなみに、去る5月18日は熊楠の生誕145周年。その日は記念として、Googleのロゴが熊楠の描いたキノコの彩色図バージョンに!未来館でも話題になりました~。)

さまざまな分野で立派な業績を残してきた熊楠さんですが、実は中卒です!

彼の学校嫌いは有名で、型にはまった学校教育になじまず、気の向くまま植物の採集に出かけたり、本を読みあさったりなどと、つねに自学の人。

東京大学予備門をドロップアウトして以来、最新の科学を求めてアメリカやイギリスを渡り歩き、植物学や民俗学に関わる数々の資料を精力的に集めて回りました。

熊楠は在野の研究者として、自然科学から人文科学まで分野にとらわれず、己の興味の向くままに物事を探究したのです。

経歴を見るとまっとうな研究者とはとても言えない熊楠が、科学の各分野でこれほどの業績を残せた理由は、強烈な好奇心と、純粋に「楽しい」という気持ちにあると、私は思います。

彼が粘菌を研究したのは、それが動物的性質と植物的性質を両方備えた特異な生物であり、その性質が面白くてたまらないという知的好奇心に突き動かされたからでしょう。


熊楠が描いたキノコの絵と英文説明。和歌山県白浜町の南方熊楠記念館にて撮影。

 

科学に関することは教科書を読んで頭で学ぶものだと思っていた私にとって、熊楠の世界観は衝撃的でした。そして、科学の見方を変えられました。科学は決して「理科のお勉強」や「専門家の手だけに委ねられるもの」ではない。

世の中の様々なことを「知りたい」と追究することこそ「科学的」な態度であり、「科学をする」に文系も理系もない!と。

「勉強したわけじゃないですが、ただ〇〇(天文とか、生き物とか)が好きなんです。」これは、来館するお客様からたびたび聞かれる言葉です。このセリフを聞くたびに私は胸を衝かれます。そして「好き!」「知りたい!」と思う気持ちこそが科学を発展させる原動力なのだ、という思いを一層深めています。

「なんで、なんで?」と問うことは哲学畑出身の私の得意分野です。こうして、世の中の様々なことを疑問に思い、その答えを追求することから、私も科学にアプローチできるかな。

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