ともに進める医療

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はじめまして、新人科学コミュニケーターの濱五十鈴と申します。

これまでずっと、 再生医学の研究をしていました。

みなさんは再生医学という言葉を耳にしたことはありますか?文字の通りに、「何か」を再生させるための学問なのですが、いったい何を??

答えは「私たちの肉体」です。

たとえば、手足が使えなくなったら?と考えてみてください。イモリだったら、切り離してまた新しい手足が生えてくるのを待てばいいかもしれません。でも残念ながら、私たち人間にはそんな能力はありません。ではあきらめるしかないのでしょうか?

実は、あきらめるのは早いのです!

思い出してください(と言っても、そのころの記憶がある人はいないでしょうが)。赤ちゃんとしてこの世に生まれる前、お母さんのお腹の中で、受精卵というたった1個の卵、たった1個の細胞から私たちの体はスタートしました。つまり、もともとは私たちの体にはすべてのパーツを作る能力があったのです。

では、もし、大きく育った私たちの細胞に、お母さんのお腹の中にいたころの能力を思い出させることができれば、手足を失っても、また再生できそうだとは思いませんか?

まるでSF小説のようなお話ですが、 細胞に記憶を思い出させることを可能にしたとして、最近注目を浴びている研究のひとつが「iPS細胞」です。

iPS細胞は、たとえば皮膚などの細胞から筋肉や骨など、体のいたる部分の細胞を作り出すことが可能だと考えられています。いまはまだ、手足や臓器のような複雑な構造をつくることはできていませんが、シート状になった網膜の細胞にすることなどには成功しています。自分自身の細胞から作られているため、移植に際しての拒絶反応が起こりにくいというのも魅力です。

しかも、iPS細胞の利用が期待されているのは再生医学の分野だけではありません。たとえば、薬の副作用の検査にも利用できます。利用法の広がりはまさに私たちの想像力次第です。

未来への多くの可能性を持つiPS細胞を取り上げて、未来館では6月13日~18日、「iPS細胞がひらく未来週間」を開催いたします。

http://www.miraikan.jst.go.jp/event/120406116865.html

開催に先立って、5階「ともに進める医療」のエリアでは、現在、みなさんからのご意見を集めています。

質問は、「あなたは、iPS細胞を使ったベンチャー企業をおこしてみたいですか?また、どんなことに応用してみたいですか?」です。

これまでにお寄せいただいたご意見の中には、「クジラから作り出したiPS細胞で食肉販売」や「毛を生やす! 30代でも悩みのない世の中へ!!」など、ついつい笑いがもれてしまうようなものも多く寄せられました。その一方で、「人の命に関わることなので、むやみに企業化することにはあまり賛成できない。もっと法律などが整備されてから考えたい。」などの慎重なご意見もありました。

新しい科学技術には賛成反対の両方があるのが当然、むしろ両方なくてはならないと思います。その上で、自分の意見をひとと交換してみる、そしてふたたび考えてみる。これを繰り返すうちに、徐々に自分たちの望んでいる未来の姿が見えてくるのかもしれません。

未来館の医療の展示は「ともに進める医療」と名付けられています。ともに進めるには、まず一緒に考えるところがスタートだと私は思っています。みなさんのご意見をお待ちしています!

このブログでもご意見を募集中です。この記事のコメント欄に、みなさんの自由なご意見を書いて送ってください。お待ちしております。

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この記事への2件のフィードバック

再生医学の研究が一刻も早く進んで欲しい、と心から願っておられる方が、たくさんおいでになるんでしょうね。

でも、私には「再生」という言葉にやや違和感があります。たぶん、きちんとした知識がないからなのですが・・・

「ともに進める医療」の展示をはじめ、未来館はなかなかおもしろそうです。

再生医療、興味あります。

そうですね、お母さんのお腹の中では小さな卵から自力で身体をつくって(栄養はお母さんからもらっていますが)産まれてきたのですからね。

まるでコンピュータのプログラムのように決まった速度で大きくなり、パーツを次々に作りますよね。その能力をもっと深く研究することで多くの患者さんが救われると思います。

友人は乳ガンの為、乳房を切除し、その後乳房再建の手術をうけましたがやはり本物の乳房のようにはなりませんでした。

よく温泉に一緒に行っていましたが、行かなくなりました。

でも失った乳房がもう一度新しく生えてくるとしたら!?

その時は本当に病気が根治したと笑えるかもしれません。

でも、再生してはいけないもの、再生する必要のないものまで再生できるようになってしまうと大きな問題も生じると思いますので慎重な協議が必要ですね。

一度未来館行ってみたいです。

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