これからのエネルギーの話をしました @ 未来館

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すっかり秋らしく涼しい季節になりましたね。

この夏、エアコンや扇風機を使って、上手に暑さ対策しましたか?

私たちの生活に電気エネルギーは、もはや欠かせないですね。

政府はこれからのエネルギー方針を決めるため、

私たち国民に「これからどの程度原発に頼っていきたいか」の意見を夏に募集していました。

未来館でも、お客さまと一緒に「これからのエネルギー」について話し合ってきました。今回はその結果を報告したいと思います。

前回のブログでも紹介したのですが、サイエンスミニトーク「どうする?エネルギーの選択」では、まずお客さまに「どの程度原発に頼りたいか」を伺いました。

(参考:2010年は26%原発に頼っていました)

その後、各発電の発電コスト・燃料の可採年数・CO2排出量・事故リスクなどの

データをご覧いただき、

 

[caption id="attachment_19167" align="aligncenter" width="430"]電源別CO2排出量 <電源別CO2排出量>[/caption]

 

最後にもう一度「どの程度原発に頼りたいか」を尋ねました。

1ヶ月間・のべ約560人のお客さまの投票結果です。

[caption id="attachment_19168" align="aligncenter" width="430"] <560人の投票結果>[/caption]

 

ゼロシナリオ15シナリオを支持するお客さまがそれぞれ39%、36%となりました。

政府が募集したパブリックコメントでは、9割近くがゼロシナリオを選んでいましたが(p.6参照)、その結果とは全く異なります。

どうやって話し合うかで、結果はずいぶん変わります。

またデータ説明の前後で、投票結果に変化は見られませんでした。

約1ヶ月にわたる結果を集計すると、ゼロシナリオと15シナリオの支持がほぼ同数でしたが、この集計結果はとても意外でした。

実は集計するまでは、ゼロシナリオ支持が多いと感じていたのです。

それは単にゼロシナリオ支持が多かった時のミニトークが、強く印象に残ったというだけかもしれません。それだけ、毎回の結果は違いました。

特に、その一例として注目していただきたいのが、

スーパーサイエンスハイスクールの高校生約40名を対象にした結果です。

[caption id="attachment_19169" align="aligncenter" width="430"] <高校生40人の投票結果>[/caption]

 

同じ未来館、同じサイエンスミニトークでも、老若男女集まった時と、同じ学校の高校生だけが集まった時とでは、ずいぶん結果が違います。

「類は友を呼ぶ」とことわざにもあるように、ついつい自分と似た考えの人とばかり話をしていませんか。

また、普段よく話をしているうちに、考え方が似てくる場合もあるでしょう。

誰と話すかで、結果は変わってくるのですね。

また、これだけ15シナリオ支持が多いと、場の雰囲気にのまれてしまうこともあるのでしょうか。

(今回の投票では「誰が・何に」投票したかは、周囲にわからないようになっていたのですが)

15シナリオ支持の理由としては、「いきなり原発ゼロにすると、原発で働いている人の雇用が心配」という意見が出ました。

社会に出る前の高校生から、この理由が挙がったことを意外に感じました。

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サイエンスミニトークの後には、お客さまにアンケートを書いていただきました。

一部を紹介します。

福島県から来ましたので、どうしても原発を将来的にゼロにして欲しいです。

事故が起きた時のあの怖さは、経験した人でないと分かりません。(40代・女性)

・人口減少社会は原発ゼロ。発電量は縮小する。GDPは下げてもかまわない。うちは計画停電を受け入れることができる。インドネシアへ行けば、日中32℃でも3時間の停電は当たり前。人工呼吸器が必要で生きるためには金持ちでなければならない。(40代・男性)

・エネルギーの使用量を減らす努力をまずすべきかと思う。

科学技術は進んでいくが、全てが解決できる訳ではないと思う。(30代・女性)

・原発問題だけでなく、CO2のこと、ヨーロッパの経済問題、

物質社会になり過ぎている人間に、地球からのメッセージだと思う。(30代・女性)

・現状15シナリオが妥当かもしれないが生命と地球を思うと、全員協力してゼロシナリオを目指したい気持ち。節電にもはげみたいと思います。

・原子力を安全に使用する技術はまだ未成熟。大きなリスクはあるが、安全に使用するための技術開発は続けるべき。人類の英知はこの課題を乗りこえられるはず。(40代・男性)

・私は福井県から来ましたが多くの人々はエネルギーの選択を考えるというよりは補助金目的に原発を推進しようと考えているという現実があります。地元への補助金を打ち切り、それでも原発を存続させることができるのか考えてみてはどうでしょうか。(40代・男性)

自分と全く違うシナリオを支持している人、

同じシナリオを支持していても、その理由が違う人がいらっしゃると思います。

全体的にみんなで考えなければというご意見が多かったです。

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さらに、こんなご批判もいただきました。

「未来館は原発推進派なのですか?」

「未来館の使命は科学技術の光と影を伝えること。

エネルギーの話題なら、各発電のメリット(光)とデメリット(影)をお伝えして

お客さまと一緒に“これからどうするか”を考えること」だと話しました。

そして「なぜ未来館は原発推進派だと感じたのか」お客さまに尋ねると

「データの見せ方に偏りがある。各発電のCO2 排出量で、原発はCO2排出量が少ないと話していたが、放射線という観点で見ると、原発は放射線をたくさん出していて、その他の発電は放射線を一切出さないのに」とのことでした。

私自身は原発反対ですが、未来館の科学コミュニケーターとしては、中立の立場で話しているつもりでした。また、事故リスクとして、放射線の話もしたのですが…

いったん「未来館の科学コミュニケーター」の制服を着ると、

「原発推進派」と見られてしまうこともある…

事故リスクの話をしても、伝わらなかったんだと感じた出来事でした。

個人的な話をもう少し。

私は広島出身です。

当然周囲には「原発反対」の大人が多く、どこかの国が核実験を行ったら、被爆者が平和公園で抗議の座り込みをするような環境で育ってきました。

それは筆舌に尽くしがたい悲しい記憶がそうさせるのだと、もっと言えば感情論だと思い「発電目的なら原発利用も必要なのでは。日本は資源が少ないし、二酸化炭素も出さないし」と考えていました。

しかし今回の福島原発の事故でやっと「原子力は今の人類がコントロールできるものではない。コントロールできない原発はやめた方がいい」という結論に至りました。

広島市民としてもっと発言すると、「広島は50年(一説には75年)、草木もはえない」と言われていましたが、被爆後数日以内に、新聞も路面電車も復活し、まもなく被爆した木からも新芽が出ました。

被爆者は、今のような交通手段で避難できるわけでもなく、衛生も食事もままならない状況でしたが、現在人口110万人の政令指定都市として栄えています。

福島の方には、復興した広島の姿に、希望を見出していただきたいと思います。

未来館での話し合いは、いったん幕を閉じました。

しかし、エネルギーの問題は、生活に深く関わっていて(電気を全く使わない生活には戻れませんよね)これからも続いていきます。この話題にこれからも注目していただきたいと思います。

また、もし「自分の意見が絶対正しい!!」というメガネをかけているとしたら…

一度そのメガネを外して、他の意見にも耳を傾けていただきたいと思います。

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この記事への2件のフィードバック

これだけ議論が沸きあがったことに意義があったと思います。

未来館でこの話題でについては一旦終了とのことですが、

常になにかについて、こういう来館者を交えての議論は続けて欲しいです。

今ならさしずめ、iPS細胞に絡めて生命倫理でしょうか?

私も人間がコントロールできないエネルギーを使い続けるべきではないと思っています。

しかし科学の進歩をあきらめてよいのだろうか、という迷いもあります。

いつかコントロール可能になる日が来るのか、それが予測できる根拠が今の時点であるのか、等々、ぜひ未来館で知りたいと思っています。

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